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2020年01月20日07:38

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1375

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1375                

村田沙耶香 「コンビニ人間」           

読書を趣味とする人なら多かれ少なかれ経験が
あると思うのだが、気になる本を見つけたものの
結局読まずじまいで終わることがある。新聞や
雑誌の書評欄や本屋の平積みで見つけた本。
手に取ってパラパラと少し読んだもののイマイチ
ピンとこなかった本。
いつか買おうと思いながら買わなかった本。
買ったものの“積んどく”状態のままの本。
図書館で予約しようと思ったのだが、あまりの
予約件数の多さに予約をしなかった本。

そのような数々の本は、ほとんどの場合、
死ぬまで読まれない。なぜなら、その本の後に
次から次へと魅力的な本が出てくるからだ。

「コンビニ人間」も、僕にとって“読まれない”
本になりそうだった。既に創刊から3年半。
だが、第155回芥川賞受賞作ではある。
しかし、僕の場合主要文学賞というのは
必ずしも読書選定基準ではないのだ。

ずいぶん前置きが長くなったが、本にとって
幸運だったのは、これがブックオフでなんと
210円で売られていたからだ。定価1300円
(税抜き)がこの安さ。ブックオフでも珍しい
価格なのだ。

主人公は36歳のコンビニ店員。女性、未婚の
一人暮らし。大学時代のバイト先だったコンビニ
店に、なんと卒業後も働いている。しかも
正社員ではなくバイトで。彼女は少し“普通”で
ない性格があり、コンビニは彼女の職場として
居心地がいい。周りの店長や仲間ともうまく
いっている。

そこにバイトで同世代の男がやってくる。
今の世の中の仕組みや格差、不平等などに
腹をたてている。コンビニの仕事もうまくこなせず、
しばらくしてやめてしまう。ところが、ひょんなこと
から彼女は彼を自室に住まわせることに。
恋愛感情はないし、もちろんセックスもなしだが
同棲生活がはじまる・・・。

今の日本社会の“普通”とは何なのか? 普通で
ないことはアブノーマルなことなのか? 普通で
ない生き方ってアリなのだろうか? いわゆる
世間の常識に疑問を投げかけ、読者の中にも
きっとある普通でないものを社会としてどのように
容認していったらいいのか! 重要なテーマを
軽いタッチで表した傑作だ。


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