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2019年02月17日10:11

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1325

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1325

藤田宜永 「喝采」「タフガイ」                    

久々に藤田宜永の作品を2作続けて読んだ。     
かつて「鋼鉄の騎士」で注目されハードボイルドの
分野で活躍した著者だが、一時低迷し(と僕は
思っている)その後、恋愛小説に転じ成功した。
恋愛小説「愛の領分」で直木賞を受賞。その後は
恋愛、家族など芸域が広がり、年に2冊くらいの
ペースで長編小説を書き続けている。

彼が近年ハードボイルドをかなり書いていることを
知ってはいたが、僕は読んでいなかった。

今回紹介する2作品は、主人公が同じで、つまり
シリーズと言ってよいのだが、今のところ3作目は
出ていない。

「喝采」から簡単に紹介しよう。
時代は1970年代、主人公の浜崎順一郎は亡き
父の後を継ぎ新宿で探偵をしている。引退した
女優探しの仕事を受けるが、発見したものの
女優は毒殺されていた。浜崎は友人の記者や
歌手、父の元同僚の刑事らの協力を得ながら
調査を進める。その一方、父が調べていた現金
輸送車襲撃事件とが絡み合ってくる。

「タフガイ」は「喝采」から2年後。浜崎は自分の
事務所の近くでチンピラにからまれていた少年と
少女を助ける。少年を親元に届けるが、少年の
父親は浜崎のかつての友だちだった。2人は
少年院で共に過ごしたのだ。少年の父親は今では
大企業の跡取りだった。ところが、その友人の
義妹が殺された。いったい誰に、何故? 浜崎は
友人の義理の父親から調査を受ける。

ハードボイルドの作品は最近多くない。だが、
この2作は、まぎれもなく正統派ハードボイルドである。
著者は1970年代に舞台を設定した。これが成功したと
言える。その時代の社会における人間模様が今の
時代よりも浮き彫りにしやすいのかもしれない。

そして、この時代の新宿や六本木などの盛り場を
知っている人間にとっては懐かしい店や通りなどが
登場する。これも楽しかった。

著者は他にも探偵ものを書き続けている。もう70歳
近いが、そのエネルギーに敬服する。



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