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2019年12月11日14:18

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福島の小さな旅 その3

びっくり食堂の扉を開ける。

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「いいですか?」
「ご飯がなぐなってもう麺類しかできないですけど」
「ビール飲みたいです」
「どうぞ」

ありがたいことにお客はひとりだけ。
素朴な大将とゆんたくを始めた。

まずはやっぱり、
なんでびっくり食堂なんですか?

「2週間ほど前にテレビが取材に来てね、
 さっき放映されたんですよ」

あら、それは見たかったが、
びっくりの由来はどこ行った?

「テレビ局のスタッフにも訊かれたんだけどね」

そうつながるのか。

開業するときに組合長が、
人目をひく屋号がいいだろうって決めてくれたのだそうだ。

確かに組合長の思惑通り、
ぼくはひかれた。

「特にびっくりするようなこともなくてすみませんね」

いえいえ、なんとも味わいのある雰囲気が素敵です。

やはり震災の後、商売はしんどいとのこと。

この辺りはそれほど被害が大きくなかったのに、
どうして観光客が減ったんでしょう?

「そりゃ原発だよ」

あぁ、そうか、風評被害。

東京では、
「いわきナンバーには近寄るな」なんて、
恥知らずなことも言われているらしい。

本当に民度の低いこの国。

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この辺りじゃ東電の補償もないんでしょうね?

「最初に12万くれたきりだよ。
 子どもがいたら40万だったけどね」

それにしても総額はすごいだろう。
それが電気料金や税金で賄われたのだ。

こちらでは広島の平和公園で被爆がわらを見つけるよりずっと簡単に、
原発災害にまつわる裏事情を拾うことができる。

ゆっくりゆんたくさせてもらったあと、
「テレビ放映でお店が繁盛しますように」
「お客さんも気を付けて」

びっくりはなくても人情味のあるお店、
ぼくの嗅覚はまちがっていなかった。

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