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2019年06月20日06:59

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ウェスタン・スターズ

ブルース・スプリングスティーンの新作「ウェスタン・スターズ」を聴いた。
リリース前からちょこちょこと情報が漏れ伝わってきており、イメージとして「なんかドカントリーなアルバムだったら嫌だなぁ」と思っていたのだが、それは全くの杞憂に終わった。
それと「今までに聴いたことのないブルースがいる」的な情報もあった。
確かにアレンジ面では異質な香りはするけれど、どこをどう聴いても、これはブルースでしょ。
多面性を持つ彼が、今までに小出しにしてきた作風を、ちょっと1枚にまとめてみたらこうなりました、ってところでしょ。
少なくとも僕はそういう印象を受けた。

CDの解説やネットで各種雑誌のレヴューを読んでいると、本作に影響を与えたと思われる具体的なアーティスト名が登場してくる。
ジミー・ウェブとグレン・キャンベル、フレッド・ニールとハリー・ニルソン、フィル・スペクターとライチャス・ブラザーズ、レフト・バンク、そしてバート・バカラックなどなど。
確かにグレン・キャンベルの「ウィチタ・ラインマン」のサウンドを想起させるし、リード・シングルの「ハロー・サンシャイン」はニルソンの「噂の男」だし、「ザ・ウェイフェアラー」はモロにバート・バカラック(最初に聴いた時は本当に笑ってしまった)だし、「ゼア・コーズ・マイ・ミラクル」はフィル・スペクターによるライチャス・ブラザーズだし。
まぁ、フィルからの影響はボーン・トゥ・ランから既に始まっていた訳だし、オーケストレーションを用いた楽曲も今までにあった訳だから、全く目新しいという訳ではない。
それでもここまで全面に出してきたのだから、やはり「今までに聴いたことのないブルースがいる」という表現も(前言を翻すようだけれど)当たらずとも遠からず、といったところか。

歌詞を読んでみるとなんとなく全体的に「歳を取ってしまった元タフガイ」といった印象の楽曲が多い(ブルースも今年でもう70歳かぁ……)。
「トゥーソン・トレイン」とか、表題曲の「ウェスタン・スターズ」なんかがそれにあたる。
「ムーンライトモーテル」もそんな感じかな。
ちなみに「ウェスタン・スターズ」は「西の星」と「ウェスタン映画のスター」の二重の意味を持っている(ジョン・ウェインなんて名前も登場してくる)。
そういえば、マカロニ・ウェスタン(これ日本だけの表現?)の映画音楽の多くを手掛けた「エンリオ・モリコーネ」のトリビュートにもブルースは参加していたっけ。

とまぁ、取り留めもなく書いてしまったけれど、今回の作品、とても気に入っている。
何度も何度も聴いているうちに、どんどんと良くなってくる。
「ブルース=ボーン・イン・ザ・U.S.A.」という印象しか持っていない人にはお勧めは出来ないけれど、長年に渡りブルースを追いかけてきた人にとっては、噛めば噛むほど味が沁み出てくる極上の1枚だと思う。

Western Stars/Bruce Springsteen

Tucson Train/Bruce Springsteen

Hello Sunshine/Bruce Springsteen

There Goes My Miracle/Bruce Springsteen

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