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2019年05月16日00:10

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眉村ちあき

最近はお気に入りのアーティストが徐々に増えてきて、かなり幸せな気分に浸っている。
そんな中でも、一番のお気に入りなのが「眉村ちあき」。
このところ、テレビにも頻繁に出演しているので、ご存知の方も多いかと思う。
「即興で歌を作る人でしょ?」って覚えられ方をされているかもしれない。

僕自身は、とあるマイミクさんがこの眉村ちあきの名前を挙げていたので、気になり始めた次第。
実際にはそれ以前にテレビで彼女を見ていて「あれ、歌が上手い人だなぁ。それとちょっとポッチャリ」という印象を持ったのだが、すっかり忘れていた。
まぁ、その番組はあのちゃん目当てで見ていたから……。

それで色々とYoutubeで見たりしているうちに、「気になる」から「気に入る」になってきた。
そして彼女のアルバムを聴き終わった時点で「これはすごい!」ということになった次第。
ちなみに聴いたアルバムは「目尻から水滴3個、戻る」、「ぎっしり歯ぐき」、「めじゃめじゃもんじゃ」、コンピレーション・アルバム「鉄コンピ Vol. 4」、そして彼女が設立した会社「会社じゃないもん」の通販で買える「ハタチの女オブアメリカ」「海苔汁」「Germanium」の計7枚。
全7枚を一気に聴き通した(聴き通せた)ことになる。

僕の受けた印象は、まず「音楽で上手に遊べる人」だなぁ、ということ。
妄信的に音楽を信仰している訳でもなく、かといって音楽を軽んじている訳でもなく、馴れ合いになることもなく、絶妙な距離を保ちながら、お互いに対等な立場で遊んでいる様子がうかがえる。
聴き手である僕はそんな遊んでいる彼女の楽しそうな姿をみて、頬を緩ませているってところか。

そして「音楽の引き出しが多いな」という印象も受けた。
どういう音楽環境で育ってきたのかは知らないけれど、かなり広範囲のジャンルを上手く取り込んでいるように思える。
例えば「ハタチの女」は艶っぽい演歌だし、「リアル不協和音」にはアヴァンギャルドっぽいテイストがある。
「ピッコロ虫」ではモータウンのリズムを取り入れているし、「コカコ○ラのスリッパ壊れた」はXTCを、「ちゃら(CHARA)」はディヴィッド・ボウイを想起させる、なんて書いたら褒め過ぎだろうか。
メジャー初アルバム「めじゃめじゃもんじゃ」にはシークレット・トラック(Present Track となっている)として彼女が社長を務めている会社「会社じゃないもん」の社歌が収録されているが、これは完全に合唱曲になっている。
「大丈夫」なんかは割とまともなポップスだし(彼女自身、「変な曲を書きたいんだけど、それだけじゃ売れないから、ちゃんと計算してまともな曲も書いてます」なんてことを笑いながら語っていた……どこまでが本当でどこまでが冗談なのか……)、ラップ調もあればパンク風もある。
ちなみに僕にとってはこの「大丈夫」と「代々木公園」という曲が「まともな方の曲」の中では絶品な曲。
「東京留守電話ップ」なんかは「うんこ」という単語を連呼するソフトタッチな曲なのだが、これなんかは歌詞の是非はともかく「うんこ」という単語すらがスムーズに楽曲に溶け込んでいる。
まぁ「うんこ」を連呼する楽曲を作るのってどうなの? という議論はあるかも知れないけれど。

そしてやはり「歌が上手い」というのが彼女のもっとも大きな強みの一つだろう。
前出の「ハタチの女」の歌唱なんか、本当に艶っぽいし、「I was born in Australia」という曲ではソウルフルでパンチの効いた歌唱を聴かせてくれるし、「ツクツクボウシ」では可愛らしいデス声も披露している。
どんなに音楽で上手に遊べても、音楽の引き出しが多く幅広い楽曲をカヴァーできたとしても、歌唱が脆弱だったらやはり聴く方の気持ちも萎えてしまう。
彼女にはしっかりとしたヴォーカル力があるので、例え「うんこ」を連呼されても聴かせてしまうのだ(なんか「うんこ」だらけですみません)。

「遊び心」があるのにも好感が持てる。
例えばアルバム「目尻から水滴3個、戻る」のオープニングは「CDクリーニングが終了しました」という楽曲(ってかナレーション)になっている。
これなんかはかつてのとんねるずのアルバムの冒頭「ダビングすんじゃねーよ!」を想起させる遊びだろう。
「スーパーウーマンになったんだからな!」はかなり頻繁にピー音で歌詞が消されているが、このピー音自体も楽曲の一部として有効活用しているように思われる(間違いなく確信的に使用している)。
「会社じゃないもん社歌」なんかもおちゃらけた歌詞になっている。
他にも自虐的な歌詞や、楽曲の作者自身が楽曲中に登場するといったメタフィクション的な展開の楽曲もあり、爆笑とまではいかないけれど、クスクスと笑わせてくれる程度に面白い。

前出のように「即興で歌を作る人」という印象だけが独り歩きしてしまうと、彼女の本当の魅力が見えてこない。
彼女が出演したテレビもなるべく見るようにしているけれど、そこでは彼女の魅力の数パーセントしか披露できていない。
色物扱いで終わってしまうような危険性もある。
どういう売り出し方を考えているのか判らないけれど、慎重にやってほしいなぁ、なんて僭越ながらの老婆心を持っていたりする。
まぁ、彼女自身、頭のよい女性みたいだし、きちんと自己プロデュースできるだろうし(「株式会社会社じゃないもん」は彼女をプロデュースするために彼女自身が設立した会社)、ディスプレイ能力にも長けているようなので、あまり心配することもないのだろうけれど。
ちなみに彼女はミスiD 2019のファイナリスト10人に選ばれている。

いずれにしても、非常に面白い女性シンガー・ソングライター(彼女自身は「アイドル」と言っているけれど)が登場してきたはとても喜ばしいこと。
今はリアル・タイムで追いかけることができる楽しみに打ち震えている(ちょっと大げさか)。

ゲロ(即興)/眉村ちあき
*のちに「めじゃめじゃもんじゃ」に収録。

大丈夫の元歌(即興)/眉村ちあき

大丈夫/眉村ちあき

代々木公園/眉村ちあき

株式会社 会社じゃないもん 社歌/眉村ちあき

「めじゃめじゃもんじゃ」Trailer/眉村ちあき

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