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2019年01月12日16:39

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2018年ベスト・アルバム:邦楽

今回は2018年ベスト・アルバム:邦楽ということで。

最近は邦楽をよく聴くようになった。以前は殆ど洋楽オンリーだったんだけれど。歳とるとそうなるのかなぁ。
ということで、早速。

1位:クソカワPARTY/大森靖子


2018年、最もよく聴いたアルバムがこれ。そして最もよく観たミュージック・ヴィデオが最初に張り付けた「死神」。この映像、交通安全の旗や、ロフト、ロープ、包丁、子供たち、男の後ろについて歩く女性の防犯カメラらしき映像、などなど、ずっと不穏な雰囲気を醸し出していて、はっきりとは示されていないんだけれど、猟奇的な殺人事件をほのめかしているようにも感じられる。そこらじゅうに苦痛と諦念と死と生がごちゃまぜになっていて、何度観ても様々なことを考えてしまう。
彼女は色々な場所で詞の才能を取り上げられているけれど、メロディ・メイカーとしても抜群に凄い人だと思う。それにヴォーカリストとしても。彼女はこのアルバムで色々な声を演じている。白痴的なアッパー女から、文学的な女性、純粋な少女から、やさぐれた売春婦。曲ごとに変えることもあれば、1曲の中でその詞の情景にあわせて使い分けることもある。それも決して嫌味ったらしいシアトリカルな風情にはならず、必然をもってそのパートにきっちりとはまり込んでいる。楽曲もヴァラエティに富んでいて、静かなバラードから、ギンギンのロック、ディスコ風、アイドル風、そして彼女の原点でもある弾き語り。そのどれをとっても「大森靖子」印が付いている。
このアルバムには、彼女が「共犯者」として参加しているアイドル・グループ「ZOC」の楽曲も収録されている。2番目に張り付けた映像がその曲。吉田豪との最新のインタビューを読むと、この「ZOC」はなかなか面倒なメンバーの集合体とのこと。ちなみに大森靖子と西井万理那(生ハムと焼うどん)、以外はミスiD出身者。前出の吉田豪とのインタビューによると、このミスiDって問題を抱えた女の子の駆け込み寺的な存在でもあるらしい。そういえば乃木坂46の川後陽菜がミスiが好きで、テレビで紹介していたけど、確かに不思議な印象の女の子が多かった。このZOCにも少年院帰りとか、公園生活者とか、ケンカしてもう脱退しちゃった子とか、が存在している。西井万理那だって、金でもめて生ハムと焼うどんは活動休止中(断食中と称している)だし。ちなみにこの「ZOC実験室」の振付をしている「私。」って子もミスiD出身。なんか色々と大変そうだけど、僕は結構注目をしているアイドル・グループなので、なんとか頑張って活動を続けて欲しいなぁと思っている。
余談になるが、赤い公園のメンバーが通っていた高校が僕の家から自転車で15分程の所にあるのだけれど、この大森靖子が通っていた大学も、僕の家から自転車で15分程の所にある。もっと余談しちゃうと、乃木坂46の山下美月が通っていた(と噂されている)高校は僕の家から自転車で10分もかからない所にある。だからどうした? と言われたら「いや、別に……」としか返せないのだけれど。
大森靖子ってエキセントリックな言動が多いので、そっちばかりに注目してしまいがちだけれど、そんなことをしていたら彼女が持っている物凄い才能を見逃してしまう、という非常に損なことになりそう。そういう僕自身も、今までの作品は全て聴いてきているくせに、彼女の本当の凄さにやっと気が付いた、という体たらく。反省してます。

2位:バタフライ・アフェクツ/ソウル・フラワー・ユニオン

久し振りのアルバム。4年ぶりのオリジナル・フル・アルバムだそうな。派手さはありません。人の胸ぐら鷲掴みにして「どうだこの野郎! 聴けこの野郎!」的な音ではありません。なんていうか「スピードとでかい声でわめき散らすのは若い衆に任せとこう」といった体で、いぶし銀の熟練された音を奏でている、といった風情。まぁ、どちらがいい、悪いという訳ではないですが。「いぶし銀の熟練された音」なんてのがロックにふさわしいかどうかは判らないけれど、ロックだってもう初老を迎えている訳だし。まぁ、それはともかく。
このアルバム、2018年12月19日にリリースされているから、もう年末も押し迫った頃に購入した訳だけれど、それからは今日までほぼ毎日のように聴いている。特に「この地上を愛で埋めろ」「最果てのバスターミナル」「路地の鬼火」「深い河の彼方から」はヘヴィー・ローテーション。

3位:webbing off duckling/w.o.d

さて、その「いぶし銀の熟練された音」とは対極にありそうなのが、このw.o.d。神戸出身のスリーピースバンド。グランジっぽいって表現が当たっているのかな。とにかく、スピーディで勢いがあってパワフルで、それでも若さに任せてばかりじゃない、妙な引きも心得ているようなバンド。そしてなんといってもヴォーカルがよい。何を歌っているのかきちんと伝わってくる。口先だけでモゴモゴと格好ばかり付けているフチャニンヴォーカリストとは訳が違うのだ。

4位:戸川純 avec おおくぼけい/戸川純 avec おおくぼけい

昨年、一番ビックリしたのがこの1枚だったかも知れない。初めて聴いた時に、そこには僕が知っている戸川純の声がなかったから。「え、もしかして回転数が違うの?」ってCDなのに本気で思った程に、低くて太い声をしていたのだ。しかもその声がガッカリさせられるものではなく、物凄いインパクトを持って聴き手に迫ってきたからだ。2年前にリリースされた「わたしが鳴こうホトトギス」でもこんな声じゃなかったから、2年の間に何があったんだろう、なんて本当に心配してしまった。まぁ、聴いていくうちに「ああ、やっぱりいつもの戸川純だな」と思えてきたのだけれど。とにかく想定外のある意味「恐怖」を含んだ声で、しかも1曲目が「肉屋のように」のセルフ・カヴァーときたら、やはり怖いですよ、これ。「肉屋のように」って好きな男性を食べてしまいたい欲求をなんとか我慢しようとしている女性、といういわばカニバリズムを題材にした曲。この声で歌われるこの曲を聴いていると、自分の子どもを食い殺している「鬼子母神」の姿なんかが浮かんできたりします。ブルブルッ。
このアルバムは戸川純のヴォーカルとアーバンギャルドのキーボーディスト、おおくぼけいのデュエット作品。おおくぼけいのピアノ・ソロも何曲か収録されている。このおおくぼけいって人も不思議な人で性別は「ほぼ男性」で、あのミスidにも応募経験がある人(しかもファイナリストになっているし)。ピアノは「アヴァンギャルドってこんな感じなんだろうな」というのを絵に描いたような演奏。それが戸川純の歌と相まって、グイグイと迫ってくる。まさにインパクトの強さだけで言ったら2018年ナンバーワンかも知れない。ちなみにこのアルバムからの映像が全く見つからなかったので、戸川純がヴァンピリアに客演した時の映像を張り付けておきました。

5位:鯛 〜最後の晩餐〜/ザ・ナンバーワン・バンド

大森靖子のミュージック・ヴィデオ「死神」が不穏な雰囲気だと書いたけど、このザ・ナンバーワン・バンドも僕にとってはかなり不穏な作品。いや、演者である小林克也氏なんかはそんなつもりはないんだろうけれど、僕はあの「スネイクマンショー」の一連の作品も、どことなく不穏で怖い雰囲気を持った作品だと思っている。
小林氏によれば、「これが最後のザ・ナンバーワン・バンド」ということで、かなり力を入れた作品になっているとのこと。その言葉通り、聴きごたえがある作品になっていて、僕にとっては「桃」に並ぶくらいの傑作。とにかく聴いていて怖い(あくまでも僕が受けた印象ですよ)。ブラックユーモアだとしても笑えない。特に静かなバラード調の演奏に「お茶を飲みにきませんか」と歌われる「お茶物語」は本当に怖い。静かで平穏な歌と演奏の後ろで、ラジオニュースが流れている演出になっているのだけれど、そのニュースの内容が(聞き取り難いし英語でナレーションされているので詳しくは判らないのだが)中国、韓国、北朝鮮の情勢を伝えている模様。まるで無防備になっている日本の姿をそのまま映し出しているようで、いやいや怖い。
多分、どの音楽雑誌でも「2018年ベスト・アルバム」の1枚には選出されていないだろうなぁ。冗談抜き、奇を衒っている訳でなく、本当にいい作品だと思う。

6位:ソングライン/くるり

くるりも活動歴が長いバンド。1998年にメジャー・デビューしているから、去年は20周年だったことになる。僕は「坩堝の電圧」あたりからくるりを気にし始めた、割と遅いファンなんだけれど、その「坩堝の電圧」以降は「THE PIER」とこの「ソングライン」しかリリースしてない。その「THE PIER」もきちんと聴いてなく、最近改めて聴き直したら「うわ、これ、すごくいいじゃん」と今更ながらに感動した始末。いけないですね。
この「ソングライン」は4年ぶりのアルバム。グイグイとせまってくる作品じゃなくて、ジワジワと浸透してくるような作品。打ち込みや、パンクっぽいバンドが割と全盛の時代にあって、じっくりとバンドとして音を積み重ねていく「くるり」みたいな存在は本当に貴重だと思う。んで、話は変わるけどくるりの岸田繁が作る楽曲って、たまぁに「丁寧になった奥田民生」って感じがするんだけど、違います?

7位:Sonatine/D.A.N

こういうのを「お洒落」っていうんですかね? おじさんにはよく判らないんだけれど、妙に好きなバンドのひとつ。なんか自分で言うのも変だけれど、この手のバンドって今までの僕からしたら絶対に聴かないタイプ。なんで好きになったんだろう。そもそもファルセット・ヴォイスってあまり好きじゃないし。まぁ、好きになっちゃったもんはしょうがないということで。

8位:春と修羅/春ねむり

シングルTOP10にも入れてたけど、この人もかなり好き。声が好きだし、歌っている(語っているか)内容も嫌いではない。ちょっと「青臭いなぁ」なんて思えてしまうところもあるけれど、僕にしてみればそれも彼女の魅力の一つ。それにしても、これってやっぱラップになるんですかね。

9位:ビー・ザ・カウボーイ/Mitski

ニュー・ヨークを拠点に活動している人だから、邦楽扱いは間違っているかも知れない。歌も英語で歌われているし。でもまぁ、日本人ということで。以前に比べてオルタナっぽさや轟音ギターは控えめになってきたけど、しっかりとした楽曲と丁寧な歌と演奏がとても好感が持てる。じっくりと時間をかけて聴き続けていきたいな、と思わせてくれる作品になっている。

10位:Rei/Rei

若くて(25歳を若いと思うかは人それぞれ)可愛くて(まぁそう思うかは人それぞれ)しかもギター弾き。嫌いになれる訳はない!(まぁ、人それぞれ)。インディーズで3枚のミニ・アルバムと2枚のシングルをリリースしている女の子のメジャー第1弾アルバム。はてさて、ユニバーサルミュージックがどんな売り出し方をするのか、とちょっと不安に思っていた。で、このメジャー・デビュー・アルバムなんだけれど、うーん、ちょっと中途半端。ギタリストとしての彼女をメインに出すのか、シンガーソングライターとしての彼女をメインに出すのか、可愛い女の子(人それぞれ、ね)をメインに出すのか。どれもちょっとずつつまみ食いして詰め込んだら、こんなアルバムになりました、って印象を受けてしまった。出来ればインディーズ時代の、例えば「ブラック・バナナ」みたいな楽曲をメインに突き進んで欲しいなぁ、と思っていたんだけど、それじゃ採算は取れないと踏んだんだろうか。僕が心配しても仕方ないんだけれど。まぁ、色々と書いてきたけど、注目しているアーティストでもあるし、好きなアーティストの一人でもある。
ちなみに若くてかわいくてギター弾きの女の子として、もう一人現役女子高生の「カホリ」という女の子がいる。正直、Reiの方がギターは上手いんだけれど、このカホリはRei以上にブルースっぽい演奏をしているので、それだけでも好感が持てる。今回はどのTOP10にも入ってこなかったけれど(今年はインディーズからミニ・アルバムを1枚リリースしている)、彼女のことも注目している。何しろジミヘンの「レッド・ハウス」をカヴァーしている女子高生だ、好きにならずにいられない!
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