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2020年02月12日09:40

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「強健術」案内160

今回より『二分三十秒の運動で健康の中心を強くする方法』に登場する運動法を見ていきます。

この本に紹介される運動法は、「腹胸式呼吸法」と前著『独特なる胃腸の強健法』で初登場した、鉄棒を使用する「上体操練法」、「下体操練法」、と「中心力養生法」になります。興味深いことに、「上体操練法」、「下体操練法」と「中心力養生法」は、『二分三十秒の運動で健康の中心を強くする方法』では「中心力養生法」の甲 上体、乙 下体、丙 中体と名付けられており、これらの運動法を「中心力養生」の文字通り中心と見なしていたことがわかります。

『二分三十秒の運動で健康の中心を強くする方法』に登場する「腹胸式呼吸法」は、『独特なる胃腸の強健法』に紹介された「腹胸式呼吸法」とほぼ同じなので今回は省略して、「中心力養生法」の甲 上体、乙 下体を見ていきます。なお、写真は『独特なる胃腸の健康法』と同じものなので省略します。

中心力養生法
甲 上体

イ、鯨尺で、長さ二尺、重さ八百匁(約2.8 kg)位の、鉄棒を、掌を前方にして握る。両手の間隔は、肩幅。
ロ、両足を、直角に踏み開いて立ち、爪先と爪先との間隔、各人の仲指と拇指とで計って三つ。即ち約一尺六七寸(約32cm)位。

この仲指と親指で測る爪先の間隔の測り方は、以前解説したものと同様です。

ハ、姿勢を真直ぐにする。
ニ、上体の力を抜き、腰を充分に反る。上体は真直。
ホ、そうすれば、体の重さが、爪先へも多く落ちない。踵へも多く落ちない。即ち体重が両足の中央へ落ちて、最も正しい姿勢となる。
ヘ、両眼をパッと見開いて、視線を正面の空間に定めて置き、瞬きを少なくする。これは、始めから、終わりまで変わらない。すると、精神が、自然に統一して来て、秋の空のような心持ちがする。(以上準備姿勢)

これは、お馴染みの「瞳光の不睨」にあたります。

ト、上腕を、体側に着けたまま、両肘を曲げて、鉄棒を、胸部の上へ、両肩の前方に持ち上げる。
チ、同時に、穏やかに、力強く、息を吐く。
リ、上げきった時、キュッと、両手を握りしめ。鉄棒を固く掴む。
ヌ、中心力、十分。上膊二頭筋(上腕前方の肉)九分の緊張。

ここに、初めて「中心力」と「部分力」の緊張の分配が登場します。これは、今後「強健術」を行う際非常に重要な要素となり、これが欠けた「強健術」は、「強健術」の意味を失うことになると言っても過言ではありません。これは、これまで見てきました春充が「サンドウ体力養生法」などの運動の過激を克服した過程と、「腹力」が「中心力」に昇華した結果が融合して出来たものです。

ル、呼吸停止、三秒間。(以上本運動)
ヲ、姿勢は少しも、変わらぬ。伸びもしない。縮みもしない。(鳩尾の処で屈み度がるものであるから、注意、腰は反ったままである。)上体は垂直。
ワ、静かに、両腕を下ろしながら、穏やかに、息を吸い込む。
カ、両手を下ろす時、下した時、何れも、全身に力を入れない。
ヨ、息を吐ききった処で、呼吸停止三秒間。
タ、そして第二回の練修、に移る。
レ、回数十。
ソ、運動時間、約一分間。
ツ、この練修は、上体によって中心力を練る。

ここにはっきりと、この運動法が「中心力を練る」方法であることが解説されており、「中心力養生法」とされた理由がわかります。

(健康の中心を強くする法 P.99〜103)

乙 下体

イ、両足の間、約一寸(約3cm)を離して、揃える。両足は平行して、少しも、角を作らない。
ロ、姿勢を正しくして、直立。
ハ、上体に力を入れない。腰を反って居る。
ニ、眼光は、前方に濺ぐ。
ホ、心を落ち附けて、静かな自然呼吸、両三回。
ヘ、穏やかに充分、息を吸い込む。
ト、スッカリ吸い込んだら、呼吸停止、三秒間。(以上準備姿勢)
チ、息をウムと、加速度的に、力強く、吐き出しながら、両膝を折って、上体を垂直に下ろす。真直ぐに下ろすことが、肝要。
リ、体が下りる時、踵が上がって、爪先立となる。
ヌ、両腿は平行。なるたけ、密接させる。
ル、腰は十分に、反って居って、尻をスッカリ下ろさない。踵から、約五寸位、離れて居る。
オ、腰と腹とへ、等分の力が這入る。
ワ、腰を確り反れば、腹へは、ドッカッと、力が這入る。入れるのじゃない。此の姿勢と動作の為めに、自然に這入るのである。丁度、下腹を、腹の中から、太い撞木で、ドッと突かれた様な、緊張を覚える。腰の力を、下ッ腹へ、ぶち込むのだ。

この部分は、『独特なる胃腸の強健法』の解説にはなかった、非常に具体的な身体感覚の記述です。ここに解説されていますようにこの姿勢を執りますと、自然に姿勢によって「中心」に力が入り、腰を下ろす動作と呼吸によって更に「中心力」は強化されます。

カ、上体は、何時でも、真直ぐで、何時でも、柔軟、肩、胸、腕は、何時でも、力を入れない。(上体を柔らかに、真直ぐにして、尻を後ろへ突き出し、腰を確り据える。腹で膝を、覆い隠して、仕舞う心持ちとなる。上体へ力を入れたり、上体を伸び上がったりすることは、大禁物。常に引力の働きに従う。物理的重心と底面の中心とを連結した垂直線に従って上下する。)

ここにもありますように、鉄棒を持っていても上半身には力は入れません。そして、上半身は、真っ直ぐに前にも後ろにも傾きません。

ヨ、腰を下ろした時、爪先で立ち、尻を踵から離して居れば、両股は丁度、彈機のようである。円満にして、強固なる中心力が、ストッと、下腹部にまとまる、此所に無限の、妙諦が潜む。健康の極致、万芸の泉。
タ、鉄棒を持った両手は、両膝頭の前にやる。両腕に、力を入れないことは、勿論である。
レ、中心力十分、上膊(脚)四頭筋(上脚前方の筋肉)九分の緊張。
ソ、呼吸停止、三秒間。(以上本運動)
ツ、息を吸い込みながら、立ち上がって、元の姿勢となる。
ネ、吸いきった処で、呼吸停止、三秒間。それから、
ナ、次の練修に移る。
ラ、十回やる。
ム、運動時間約一分間。
ソ、此の練修は、下体から行って、最も強固にして、円満なる、中心力を養う。
(健康の中心を強くする法 P.103〜108)

以上の解説にもありますように、この方法は最も「強固にして円満」な「中心力」を養う方法です。

晩年は、この方法のみで春充は健康と明晰な頭脳を保ちました。しかし、この方法は、いわば肥田式強健術のエッセンスが凝縮された型とも言え、非常に高度かつ精妙な練修法とも言えます。それは、これまで見て来た強健術の変遷の長い道程からも見てとることが出来きます。

次回は、この方法とともに肥田式強健術の中心的練修法となった「丙 中体」を見ていきます。

(写真は、旧肥田邸跡近く八幡野神社境内、春充はこの境内でも度々強健術を練修しました)
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