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2020年02月09日23:13

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「強健術」案内157

今回は、『独特なる胃腸の強健法』に解説される「中心力養生法」の具体的やり方について見て行きます。この型は、後に「簡易強健術」の「外斜腹筋練修法」と名付けられる型であり、前著『強圧微動術』に紹介された立位の「内蔵操練法」を発展させたものです。

中心力養生法

イ、 両足を、踏み開いて立つ。直角よりも、稍や開け。

「直角よりもやや開け」とは、爪先と踵を結びつけた仮想の線を後ろへ延ばし、それが直角よりやや広くなるように足を開き立つという意味です。

ロ、両足爪先の間隔は、拇指と仲指とで計って四つ。即ち二尺(約60cm)強。
ハ、腰を反り、腹をきめて、体重を、両足の中央に落とす。
ニ、上体、柔軟。両膝は、ピインと伸ばせ。
ホ、眼光を決める。凝り固まるな。悠然とせよ。
ヘ、両手の指を揃え、掌を上にして、両体側から上げながら、胸を充分に開いて、息を吸い込む。
ト、スッカリ、吸い込んだ所で、両手をピシャッと合わせる。
チ、其の時、顎は、両腕の上がるのと、一所に仰いで、眼光が、両手指先を通じ、上方に濺ぐ。
リ、呼吸停止、三秒間。
ヌ、呼吸停止間に、五指を組み合わせ、顔の上で下へ、小円を描いて、掌を情報に向け、両腕をグイと伸ばす。
ル、息を吐きながら、組んだままの両手を、掌を前方に向け、腕を伸ばして、臍の前方まで下ろす。
オ、同時に両膝を折り、下脚を、地平に対して、垂直にする。(膝が前に出ない様にすることが大切、即ち体重が両足裏に、平均に落ちて、爪先へも、踵へも、内側へも、外側へも、片寄らない様にせねばならぬ。それが出来ないと、完全なる中心力は、造れないのだ。)
ワ、上体は、垂直に下りる。前にも、後へも傾かない。
カ、腕や肩に、力を入れない。鳩尾を折らない。

これまで、息を吸う際は腰を反り体重は爪先にかかり、息を吐いて腹に力を入れる際にはみぞおちをくぼめ腰を丸くしていましたが、今回は始めに「腰を反り、腹をきめて、体重を、両足の中央に落」として、最後に息を吐き出し型が決まった際にも「体重が両足裏に、平均に落」ちるようになっています。

また、これまで伸び上がったり、丸めたりしていた上半身は、「垂直に下りる。前にも、後へも傾かない」、「鳩尾を折らない」ようになっています。そしてそのようにしないと「完全なる中心力は、造れない」と指摘していますが、この点がこれまでの「腹力」から「中心力」へと昇華した最も大きな違いです。

ヨ、そうすると、股(腹)の真中を通過する垂直線と、臍を通過して、地平に対して平行な直線とがなす処の、直角三角形の角を、二等分した直線の方向、即ち、臍下丹田に向かって、引きしぼるような力が、ストッと動く。そして、下腹部を、ドカッと叩く。(其れが本当の中心力だ。其の力の動き方が分からぬのは、遣り方が間違って居って、真の要領に合しないからだ。此の中心力、美にして強。健康の極致、万芸の泉。)

ここに、「中心力」の生々しい感覚が述べられています。これと似た表現は、前著『強圧微動術』の改訂版『病弱者の力』に解説された「内臓操練法」に出てくるものと良く似ています。その理由は、『病弱者の力』が「正中心落節」の大正12年6月以降に出版されたものでありその後の進展が反映されたものであることは以前に指摘しました。

また、ここに「万芸の泉」という言葉が初登場します。これまで、肥田式強健術が武術、芸事などの奥義であるという意味で、この言葉が肥田式を知る人々の間で伝えられてきましたが、その原点はここにあります。

しかし、それではなぜこれが「万芸の泉」なのかは、ここには明確には語られていません。また、この「万芸の泉」という言葉だけが一人歩きをして、なんだか肥田式は凄いものらしいというイメージが拡大していました。春充がここで「正中心」を「万芸の泉」と言ったのには、明確な理由があります。

それにつきましては、丹田思想など非常に広い範囲の話をしなければならないので、刊行予定『聖中心道−肥田春充の生涯と強健術−』(青年編)「第三章 第九編 同時代の丹田の捉え方について」を是非ご覧下さい。

タ、上体は柔軟、只正しき中心力のみ、渾然として、大なる明玉の如く、腹と腰との中央に納まる。
レ、眼光は前方に濺ぐ。
ソ、息を吐いて、腰を下ろした時、ヅーッと体を決める。
ツ、其の際、息の吐き方、力の使い方、腰を下ろす動作が、自然加速度的に行って無理の無いようにする。
ネ、呼吸停止三秒間。腹と腰とへ、力を入れたまま。
ナ、練修の終わり毎に、ピシャッと両手で、自然に両股を叩く。健康の精気、溌々として、迸る。
ラ、回数五。
(独特なる 胃腸の強健法 P.354〜357 )

これまで、「腹」に力を入れる『強圧微動術』の「内蔵操練法」、『強い身体を造る法』の「斜腹筋鍛錬術」は、膝を曲げませんでした。

しかし、今回の型は膝を曲げ腰を落としています。これまで、後に「外斜腹筋練修法」と呼ばれ、肥田式強健術の最も重要かつ有名な型がなぜ腰を落とすのかについては説明されず、ただ型の手順と形だけが伝わってきました。

しかし、今回の解説を読み説くとその理由が見えてきます。本格的に述べ出すと非常に長くなりますので、簡単にその要点だけを略述しますと、その最も大きな理由の一つは、最も強力に「腰腹同量」の力を作り、体重を前後左右に傾かせないためです。

また、この時の感覚を「正しき中心力のみ、渾然として、大なる明玉の如く、腹と腰との中央に納まる」と表現していることにより、当時春充の境地が相当進んでいたことを見てとることができます。

(写真は、「中心力養成法」を行う春充)
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