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2020年02月08日11:34

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「強健術」案内156

今回は、『独特なる胃腸の強健法』に登場する「中心力養成法」を見ていきます。この型は、後に春充が「正中心に落節」するという体験を、この型を無心に行っていた時に経験したという意味において非常に重要な型と位置づけることが出来ます。

更に、型の名前に「強健術」の中心概念「中心力」という言葉が初めて使われ、その「中心力」を直接養成する型としている点でも大変重要です。これまで、「中心」という言葉は、過去の著作でも何回か使われてきましたが「中心力」という言葉は、前著『強圧微動術』の中で初めて一度だけ登場したのみです。

また、第三作目の著作『心身強健術』では「中心錬磨法」という練修法が紹介され、このブログでも見てきましたが、「中心錬磨」であり「中心力錬磨」ではありません。「中心」と「中心力」は意味的に異なります。「中心」は「腹」や「腰」のようにその位置を指し示し、「中心力」は「腹力」や「腰力」と同様「中心」に力が入ることを指します。

その力がどのように入り、どのように感じるかは、春充の解説の中に述べられているのでそちらにゆずりますが、『独特なる胃腸の強健法』に至り、それまで「腰」と「腹」に交互に力を込めていた練修法が、その両方に同時に力を入れて「腰腹同量の力」すなわち「中心力」へと昇華され、それを直接鍛錬する方法が生まれたのです。

先ほども述べましたが、この方法により春充は「正中心に落節」するという体験をします。それがどのような体験であったかは、刊行予定『聖中心伝−肥田春充の生涯と強健術−』(壮年編)第六章 第二十一節 聖中心悟得 にゆずりますが、この時初めてそれまでの強健術の欠点を克服し、同時に禅の悟境と同様の体験をすることになります。

このように、春充の境地を大きく飛躍させることになるのがこの型であり、「正中心に落節」した大正12年6月は、強健術において重要な日とされてきました。ところが、それ以前にほぼこの境地に達していたことが、今回見ている著作『独特なる胃腸の強健法』に出てきます。

その詳細はやはり『聖中心伝』(壮年編)にゆずりますが、春充はこの体験によりそれまでの「強健術」の誤りを正し、完全な型を悟ったとしてその詳細を語っています。

実は、今回見ていく型は、その欠点を正した型と全く同様のものであり、その重要な改良点はことごとくその中に含まれています。この事実は、大正12年6月以前に「正中心落節」とほぼ同様の境地にすでにこの頃到達していたということを指し示しています。

次回よりそのような点に注目しながら、具体的な方法を見ていきたいと思います。

(写真は、八幡野交差点より見た旧肥田邸跡遠景、この地で春充は「正中心」に落節しました)
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