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2020年01月27日10:02

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「強健術」案内144

今回は、『強圧微動術』に紹介された「内蔵操練法」を見ていきます。この「内蔵操練法」は、前々著『強い身体を造る法』では寝て行う「呼吸法」でした。

しかし、今回紹介される方法は立って行う方法で、『強い身体を造る法』では「斜腹筋の型」として紹介された型とほぼ同じものです。

また、この型は初版の『強圧微動術』と、その改訂新版『病弱者の力』では、方法が違っている部分があります。それは、この型が後に「正中心」に落節する際に行っていた「外斜腹筋練修法」へと変貌していく過程が見える大変重要なものです。以下、その違いを見比べながら見ていきたいと思います。

内臓操練法(呼吸調和、全身の伸縮運動)

吸う時が胸式、吐く時が腹式、即ち一呼吸

(イ) 両足を二尺ばかり離し、確り踏ん張って立ちます。両足は直角、両膝を曲げず。眼光を前方に定める。

「両足は直角」とは、右足と左足それぞれの爪先と踵を結びつけて後ろへ延長した線が、直角に交わる角度に両足を置くようにするとの意味です。

(ロ) 尻を充分に突き出して、腰を反り、両腕に力を入れず、掌を上に向けて、スーッと軽く、両側から頭上にあげながら、静かに胸を開いて、息を充分に吸い込み、十指を頭上で組む、此の時約三秒間呼吸停止。(以上の動作をする時、胸、肩、腕を固くしない様に注意する。鳩尾から上は、何時でも柔軟、只腰だけ反らして、腹を前に突き出さない。腹はスッカリ凹んで居る。上体の重さは、両足爪先に落ちる。

ここでは胸式呼吸で、胸に息を吸い込んでいます。ですから、腰を反り腹はへこみます。また、腰を反っていますので体重は爪先へかかります。

(ハ) 息を力強く押しつける様に吐き出しながら、両手を組んだまま、両腕を前方に突きだし、段々下ろして、臍の前方迄、持って来る。そうして腹にウンと力を入れる。(強圧微動術 初版)

初版の『強圧微動術』はこのような記述ですが、『病弱者の力』では次のような一文が続きます。

同時に上脚が、地平に対して、水平になるまで、両膝を折る。(病弱者の力)

この部分、『強い身体を造る法』でも、両膝を曲げませんでした。

(ニ) 胸と肩とは、柔らかに落として、鳩尾をくぼめ、上体を臍の上へ、畳こむように
する。腹はまん円く、鉄板で張り詰めた球のようになる。(強圧微動術 初版)

これが、『強圧微動術』初版の記述です。そのやり方は、『強い身体を造る法』に解説される「斜腹筋鍛錬術」と同様、「水落をおとし胸を前に屈め」(強い身体を造る法 P.107)て、腹を丸くし「腹力」を造る方法です。しかし、「病弱者の力」で解説される型は次のように大きく違います。

(ニ)上体は其のまま垂直に下ろすと、臍を通過して、地平に対して、平行な直線と、股の側面を通過して、地平に対して、垂直な直線とが交差して、直角を造った其の角を、二等分する直線の方向に、強い力が動いて、下腹を、キュッと、緊張させる。下腹は、腹の内部から、ボクッと、撞木で、叩かれたような、感じがする。
(ホ)回数は五回。(病弱者の力 P.302〜304)

ここでは、「上体は其のまま垂直に下ろす」として、身体をかがめていません。

そして、そのように上半身をまっすぐにして腰をおとす時、臍を通過して背中に抜ける地面に水平な仮想の直線と、頭の真ん中から串刺しにしたように地面に対して垂直な仮想の直線がちょうど臍の後ろで交わります。そして、その二線が交わって出来た直角を二等分する方向(つまり身体の前面の下腹方向)に「強い力が動」き「下腹を緊張させる」のです。

この感覚を「腹の内部から、ボクッと、撞木で、叩かれたような、感じがする」と実感をこめて表現しています。

このように、この型は、『強圧微動術 初版』と『病弱者の力』では、「上半身をかがめ、腰を丸くして腹力」を造っていた型から、「上半身をまっすぐにして、腰を反ったまま腹力」を造る方法へと大きく変化しています。

その最も大きな理由は『病弱者の力』は、春充が正中心に落節した大正12年の後、大正15年に出版されたものだからと考えられます。春充は、後にこの「腰を丸めて」行う方法を邪道であると批判していますので、改訂する際にこの箇所を変更したものと考えられます。ですから、本来『強圧微動術』を発表した大正7年の頃は、「腰を丸めて」この型を行っていたと推察されます。

このように、この「型」は二つの違った方法が比較できるという点でも、非常に重要かつ興味深いものだと言えます。(なお、この型の写真はなぜか掲載されていません)

(写真は、八幡野海岸に落ちる滝)
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