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2020年01月25日11:59

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「強健術」案内142

今回は、『強圧微動術』に解説される「腹胸式呼吸法」の「腹式二呼吸の型」を見ていきます。この呼吸法は、前著『体格改造法』に発表された「腹胸式呼吸法」の解説を詳細にしたものと言えるでしょう。なお、写真は、『体格改造法』のものと変化ありませんので省略します。

腹式二呼吸の型

(イ) 両肘をついて、体をそり、椎骨と仙骨との接合あたりの下へ、両手拳が這入る位にする。そうすると、中心即ち、腹と腰との働きが寝て自由になる。只仰向きに寝たままであると、姿勢が死んで仕舞う。
(ロ) そうして置いて、両手は腰(カン骨のあたり)に、四指を前、拇指を背部にして軽くあてる。(これは胸式呼吸をやる時、拇指に力を入れて、肋骨の拡張を援ける為めである。)

ここまでは、前著『体格改造法』の解説とほぼ同じです。

(ハ)口を閉じ、鼻から静かに、空気を吸い込みながら、下腹部を出来るだけ膨らす。
(ニ)それから又息を吐き出しながら、更に腹部を膨張させる。これで一呼吸。(吸うときは正式、吐く時は逆式)

この部分は、前著『体格改造法』では「始めは正式の型により、更に逆式の型をとって充分に力を臍下に込むるのである」と、やや曖昧な表現でしたが今回は、はっきりと始めは息を吸う時に腹がふくらむ正式呼吸で行い、さらにその後に息を吐き出す時に腹をふくらませる逆式呼吸を行うと解説しています。

(ホ)そのまま腹を膨張させたまま、再び鼻から息を吸い込み、(正式)
(ヘ)充分に吸いきった所で、ウンと腹に力を込め、約三秒間、呼吸を停止する。

春充は、初期の頃は「呼吸停止」について反対していましたが、第三冊目の著作『心身強健術』において「腹力」が「呼吸停止」の弊害を無害化するとして、呼吸停止も呼吸法などに取り入れていました。

しかし、その停止時間については「呼吸停止の時は、七秒間を越ゆべからず」とだけ解説されて具体的に何秒であるかは指定されていませんでした。

また、前著『体格改造法』でも呼吸停止については「腹にウンと力を込めました場合、呼吸は勢い停止せざるを、得ない場合があるからですが、呼吸の原則としましては、なるべく、停止せぬ様にせねばなりませぬ」と解説されています。ところが、今回ははっきりと呼吸停止するのは「約三秒間」であると指定されています。

今後この「呼吸停止三秒」は、「呼吸法」、「強健術」の重要な要素となっていきます。

(ト)腹を突き出して、力を込めた時には、両足踵をグーッと伸ばし、拇指に力を入れて、爪先を確り立てる。其の時、
(チ)上体は軟らかに縮めて、鳩尾即ち臍の上部=胃腑と肝臓とのある所を、凹める。そのくぼめた所から脊髄の方へ、力が円形に働いて、下腹を臍の方へ、突き上げる心持ちで、腹を鞠の如く、瓢の如くする。

この上体を縮めてみぞおちのあたりをくぼめて下腹を突き上げるように腹力を造る方法は、前著『体格改造法』の呼吸法と同じです。この腰を丸くする動きをしやすくするために始めに、「体をそり、椎骨と仙骨との接合あたりの下へ、両手拳が這入る位に」して腰を反るようにしたのです。

また、後に春充はこの腰を丸くして腹力を造る方法を「円形緊張」と呼ぶようになり、腰を反って腹力を造る「楕円緊張」と呼ばれる方法と区別をするようになります。これは、まだ先のことですが、この違いは、強健術にとって非常に大きなもので、今後非常に重要な要素となってきますのでここで指摘しておきます。

(リ)それから、腹へ力を込めながら咽喉の奥でイキム様にし、ウウーンと、極めて静かに、強く、長く、鼻から吐き出す、途中で二回位、息を吸い込んで出しながら、漸時、腹を凹ませ、終わりまで確り、肺中の空気を(生理上残る処の一定量の外)吐き出してしまう。(正式)…(人間の血液は、ザット二升四合(約4.32L)位ある。そのうち一升二合(約2.16L)は腹に這入り、六合(約1.08L)は筋肉に行き、残りの六合(約1.08L)が、皮膚、脳髄、其の他の内臓を養うと、云う具合である。処が、腹の中の循環器は、筋肉中のそれと違って、伸縮が自在であるから沢山の血が滞り易い。腹の皮が柔らかで、動悸がドキドキと打って居るのは、そう云う人である。故に腹から、悪血を押し出すようにしなければいけない。それには、腹へ力を入れて、腹を固くすることが肝要になって来る。そうして腹の圧力を強くすると、腹と脚の間にある、静脈弁は閉じるから腹部の鬱血が、心臓の方に這入る。即ち身体栄養の根源たる血液を清新にし循環を盛んにする働きとなる。其の他横隔膜の圧下によって、腹部諸神経に刺激を与え、又心臓を非常に楽にする。

ここに、「腹式呼吸」を行うのは、腹の中に滞った血を循環させるため、また血液を新鮮にして循環を盛んにするために行うなどの生理学的解説が詳しくなされています。

(ヌ)以上が腹式一回、二呼吸の型である。そして始めに吸うのが正式、次に吐き出すのが逆式、その次に吸うのも、吐くのも、正式である。(正式とは前に述べた通り息を吸う時腹を膨らし。吐く時凹くする遣り方を云うのであって逆式は其の反対、即ち息を吸う時、腹が凹くなって、吐く時にふくらすのである。)(強圧微動術 P.288〜289)

以上で、「腹式呼吸法」の解説は終わりですが、基本的に前著『体格改造法』の呼吸法のやり方を、呼吸の仕方、呼吸停止時間の指定など更に詳細にしたものが今回の「呼吸法」であると言えます。

(旧肥田邸跡そばの八幡野来宮神社)
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