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2020年01月19日19:37

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「強健術」案内136

今回より、『体格改造法』に発表された「椅子運動法」を見ていきます。

一 前腕と呼吸と、腹の力との調節運動
(イ)身体を正しく前方に向けて、椅子に腰かけます。
(ロ)両踵は椅子の脚の二寸ばかり高い所に附けまして、両足爪先は床に着けて居りまる。足と足との角度は直角となる様に開きます。
(ハ)すっかり力を抜いて胸を落とし、殊に肩を柔軟にして置きます。
(ニ)椅子の腰かける板の、前方に向かった方を右掌でペタッと張り附けた様に打ちまして、ズーッと精神を下腹部に落ち附けます。
(ホ)上体を軟らかに起こし、腰を据えて充分に反り胸を開くと共に、掌を上へ向け両腕を左右の体側から、力を入れずに円を描いて頭上にあげます。
(ヘ)其時其動作と調和して、スーッと息を穏やかに、充分吸い込みます。
(ト)息をスッカリ吸い込んだ時左手で右手首をキシッと握ります。(右手は人差し指と仲指とを折った前に拇指を折って寄せ附け、第四指で親指を爪の上から押さえ、小指を曲げてそれに近づけ、最も締まる拳を作るのです)両掌は前方に向けて居ります。
(チ)其の時までは眼光は、椅子の目二尺ばかりの床い注いで居りまして、姿勢も心も極めて穏やかでなくてはなりませぬ。
(リ)頭上の両腕を真直に顔の前を通って下へ降ろしながら、ウウーと鼻から息を長く細く強く徐々に十分に吐き出します。
(ヌ)下ろしながら右拳はウンと握りしめ、上方に向けて引き上げるようにし、左掌は下方に向けて押し下げるようにし、右前腕に強大なる力を込めます。
(ル)腕を下ろしながら、胸を柔らかに落として鳩尾の所をズウッと折れ込む様にくぼめ、腹にグウッと力を込めて鞠のように丸く、硬くします。同時にそろそろ頸を上げて眼を出来るだけ大きく見開き、視線をキッと前方の空間に注ぎます。
(オ)これが終わったら左腕に移りまして、同一の方法を行います。
(ワ)力強く穏やかに息を吐き出すのと、下腹部と前腕大緊張とがよく調和致しましえ、バラバラにならぬことが肝要でございます。
(カ)左右交互で、四回やれば十分です。(体格改造法 P.180〜182)

この型は、『体格改造法』に紹介された「椅子運動法」の特徴が良く出たものと言えます。

まず、「腰を据えて充分に反り胸を開く」ようにして、両手を挙げ息を吸い込みます。ここで、注意したいのは息を吸い込む際は「腰を据えて」いることつまり「腰を反っている」ことです。

次に型が決まり、「腹」と鍛える「前腕筋」に力が入った瞬間には、「胸を柔らかに落として鳩尾の所をズウッと折れ込む様にくぼめ、腹にグウッと力を込めて鞠のように丸く、硬く」します。この時には、息を吸い込んだ時とは反対に「腰を丸めて」いるのです。

このように、この頃の「椅子運動法」は、息を吸う時には「腰を反り」、息を吐き出す時には「腰をまるめ」て「腹力(後の中心力)」を造っている点が大きな特徴です。その様子は、写真を見れば一目瞭然です。

またこの型に特徴的なのは、始めに目線を二尺(約60cm)ほど離した場所に落としてややうつむいた状態で始め、型が決まった瞬間に「そろそろ頸を上げて眼を出来るだけ大きく見開き、視線をキッと前方の空間に注」ぐとしている所です。これは、以前も見ました首と連動した「瞳光の不睨」の方法を型に取り入れたものと考えることが出来ます。

さらに、この型の腕の握り方と動かし方は、前々著『心身強健術』の腕を組み合わせた状態で両腕に力を入れる静的な型に、前著『強い身体を造る法』の「力を垂直に用いる」原則を取り入れ動きが動的になっています。この腕の動かし方は、後に「簡易強健術」の「前腕筋練修法」に取り入れられることになります。

(写真は、「前腕と呼吸と、腹の力の調節運動」を行う春充)
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