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2020年01月18日09:33

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「強健術」案内135

今回より『体格改造法』に発表された、「椅子運動法」について見ていきます。

この「椅子運動法」は前々著『心身強健術』に「新式椅子運動法」として初めて発表されたものです。

今回、発表された型はその「新式椅子運動法」に新たに、前著『強い身体を造る法』に発表された「呼吸応用強健術(後の簡易強健術)」の要素を加味して出来たものと言えます。

また、前回の「新式椅子運動法」では、「椅子」と言いながら同時に机を利用した型(第二運動法(上腕)、第二運動法(肩))もあり、純粋に椅子のみを利用した運動法ではありませんでしたが、今回の型は椅子だけで練修が出来る工夫がされており、さらに将来の「簡易強健術」に採用される新たな型も生み出されていて興味深いものがあります。それでは、これより『体格改造法』の「椅子運動法」の「要領」を見ていきたいと思います。

此強健法実上の要領
(一)全身の力をスッカリ抜きまして、呼吸を静かに永く、自然に楽に、充分に吸い込みます。(息を吸い込む時は、いつでも力を抜き、身体を柔軟にして、胸をゆるやかに致します)
(ニ)呼吸を強く細く長く吐き出しながら、腹若しくは腰と身体の各部分(前腕、上腕、肩、胸、腹、上脚、下脚)とに力を込めるのでございます。
(三)吐き出す息と調和しまして、力を徐々に込めます。スウーと吸い込みまして、ウーッと力強く吐き出すまで、急がず周章(あわ)てず、隙の出来ない様に致します。

この点は「椅子運動法」の呼吸の仕方が「強健術」の呼吸の仕方と大きく異なる重要な点です。「強健術」では「力の入れ方は、『加速度的で、段々に強くいたします。』呼吸はそれに調和しますから、矢張り同じ要領で『段々と太く吐き出します。』(強い身体を造る法 P.38)」とされていました、しかし「椅子運動法」では前回の「新式椅子運動法」でも「徐々に強く、筋肉を緊張させる事。息を出しながら、段々と力を込めること(心身強健術 P.342)」とありましたように、呼吸は「強く細く長く吐き出」し、緊張させる筋肉には「吐き出す息と調和しまして、力を徐々に込め」るのです。

(四) 其の時腹の形は、腹直筋と斜腹筋の緊張と、横隔膜の圧下とのため、丁度鞠の様に円くならなければなりませぬ。

この腹に力を入れた際に「鞠の様に円く」なるのは、今回の「強健術」と同様で「力を入れる時に、上体を柔軟にして、やや胸を屈め水落の所を前の方に折る様にする((体格改造法 P.125)」ことにより腹の形は丸くなるのです。これは、後に個々の型の写真を見ていけばさらに良くわかります。また、「腹」を丸くするのは、「上体」の鍛錬の時です。これは後の(七)の備考に出てきます。

(五) 腰の時は椎骨との接合点の処に力を入れます。力を入れるとは反ることです。

ここでの「腰の反り」は、(七)の備考に出てきます「下体」を鍛える際の姿勢を指します。

(六)姿勢を動作と調和させまして、自然に変化していく様に致します。
(七)上体の各部を鍛えますのには、其の基礎たる腹を主として、これに呼吸を調和し、下体の各部を鍛えますのには、其の枢軸たる腰を主とし、これに呼吸を調和して練修致します。腹と申しますのは解剖学的に云いますと、腹直筋の緊張若しくは緊縮でございます。この腹と腰とが上下の形を司って、中心に於いて合致し、始めてほんとうに美しい姿勢となり、身体変化の、妙機を備えるように、なるのでございます。(体格改造法 P.179〜180)

この備考に出てくる、「上体の各部を鍛えますのには、其の基礎たる腹を主として、これに呼吸を調和し、下体の各部を鍛えますのには、其の枢軸たる腰を主とし、これに呼吸を調和して練修致します」というのが、今回『体格改造法』に発表される「椅子運動法」の特徴です。

先ほども見てきましたが、上半身の各筋肉を鍛える際は、「腹を主」として「鞠の様に円く」しますが、下半身の各筋肉を鍛える際には「椎骨との接合点の処に力を入れ」て「反り」ます。この「腰の反り」が後に「強健術」の大きな特徴となりますが、この時点では、「腰を丸く」する型と「腰を反る」型が混在していたことは大変重要な特徴として指摘しておきたいと思います。

次回より、具体的な「型」を見ていきたいと思います。

(写真は、旧肥田邸跡そば八幡野来宮神社境内)
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