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2020年01月14日09:45

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「強健術」案内131

今回は『体格改造法』に説明される「斜腹筋鍛錬術」を見ていきます。

斜腹筋鍛錬術
◎氣合殊に腹筋を以て横腹の筋肉を鍛える法
(イ)右方に向かって立ち、踵と踵の間は約一尺ばかり離し、両足の開き方は直角そして極く楽な、自然の形をとります。(以上運動前の姿勢)
(ロ)呼吸を下腹に押し附けると同時に、両膝を少し屈め右足踵を浮かし、爪先を正面に向ける。
(ハ)上体は柔軟、両腕を手首の所で交叉して軟らかに前に出し。
(ニ)突如両掌を以て左股を打ち、腰に覚醒を与えます。
(ホ)其の瞬間秒時の隙もなく、左脚を一歩スラリと真後ろに引いて、急激に体を左に廻します。
(へ)右脚は其のまま膝を折り、左脚は充分に伸ばす。右足と左足とは直角。
(ト)上体は腰の処から稍前に屈め重さを腹の上に落とし、全身悉く柔軟。
(チ)右手はゆるく伸ばして、右脚先一尺ばかりの処を指さし、左手は掌を後ろ向きにして、拇指と人差指との甲の方を軽く左腰に当てます。
(リ)眼光は右手人差指の示す所に注ぎます。
(ヌ)氣魄をジッと下腹丹田に収めて、山が崩れようがビクともしない態度を執ります。(以上準備姿勢)
(ル)急ち両掌を以て、ピシャッと左右の横腹を打ちて、急激極度の大緊張を斜腹筋と腹直筋とに与え、同時に腰に力を込めて上体をグイッと起こし、眼光をキッと前方臍の高さの空間に注ぎ、瞬時の躊躇もなく、呼吸を腹のドン底に押し附け、『ヨーッ』と一聲強く掛聲をする。同時に右脚を上げて四寸位突進しながら急速に確りヅシンと踏み附ける、全生命を踵にぶち込むの氣力を以て踏み附けるのです。横腹を叩いた両手は、直に拳を突作って、臍の前四寸ばかりの空間に突き出します。(余り力は入れません)
(オ)以上の動作を隙のない様にやるのです。其の間僅かに数秒時。
(ワ)右足を踏み出した時、其の距離は約四寸位。そして左足はもとの位置から、僅かに動く位のものです。
(カ)其のままの姿勢で全身の力を抜き、再びトーッと突き込んで掛聲をします。回数三。
(備考)活力を籠め、新生命をぶち込んでやれば、回数を多くやる必要は断じてありませぬ、ただ日々継続することだけが必要です。之は姿勢として一番鋭い形でありまして、攻撃防御の変化の機は最も完全に備わって居ります。たとえば、この形で敵のかかって来た、力を防げば、最も、確りして居りますが、両足を各々九十度転回して、体を右に代しますと、忽ち一変して攻撃となり、敵の力と姿勢は、自己の力と姿勢とを利用して、相手を真後に投げ飛ばすことが出来ます。尚この姿勢が強く鋭く確りして、恐ろしく見えますのは、光学上、光線の反射角度の関係から来るのです。そして敵の眼から心を乱してしまうのです。けれども之に打ち勝つの途もあります。(体格改造法 P.160〜163)

発声はトーッと腹のドン底より力を込め、『獅子高岳に吼えて、百獣戦く』の概あるべし。(体格改造法 P.202)

この型は、第二著『腹力体育法』に「腹筋」を鍛える型「第八練修法」とは別に「氣合発声強壮法」として初めて登場し、第三著『心身強健術』では、「腹直筋」を鍛える「第七練修法」方法として取り入れられてきた型の発展型と言えるでしょう。

『心身強健術』で発表された型との最も大きな違いは、『心身強健術』ではその場で、脚を三回踏つけましたが、今回は前へ前進しながら「踏附」けている点が大きく違います。

また、この型の姿を「姿勢として一番鋭い形でありまして、攻撃防御の変化の機は最も完全に備わって」いるとする点は、後の『健康の中心を強くする法』や『聖中心道 肥田式強健術』で発表される「中心力護身法」や、盟友 平田内蔵吉との共著『国民体育』に発表される「防御の型」、「突撃の型」などに応用される大変重要な視点です。

(写真は、「斜腹筋鍛錬術」を行う春充)
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