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2020年01月13日10:47

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「強健術」案内130

今回は、『体格改造法』に紹介される「広背筋鍛錬術」を見ていきます。

広背筋鍛錬術
◎氣合(殊に腹力)を以て背中の筋肉を鍛える法

(イ)三寸位の高さの角に右足爪先をかけ、両手をついて俯伏し、右足をも同様に乗せ、両足内側は密接させて置きます。
(ロ)両腕は伸ばして床に対し、垂直に着いて居ます。(肘を曲げないのです)
(ハ)両手の間隔は肩幅、両手は五指を揃えて正しく前方に向けます。
(ニ)頭は真直ぐで左右に曲げませぬ。(以上準備姿勢)
(ホ)力を入れずに息を吸い込みながら腰だけ下げます。けれども床に着けるのではありませぬ。肘と膝を曲げないことが肝要です。(以上運動前の姿勢)
(ヘ)両掌及び両足の位置を換えず、両腕及び両膝を曲げずに。
(ト)息を吐き出しながら、急激に腰を上げます。
(チ)其の時両踵は揃えて空間を下へグウと踏み付けるようにし、両掌では手首に力を込めて、肘を曲げずにウンと前の方へ押します。
(リ)背中が円くなる様に、力を其処へ纏めるのです。腹へは無論力を入れます。
(ヌ)上から下に移って一回の運動とし、凡てで三回。
(備考)僅かの高さでも、足を懸ける処があった方が、力の働き方運動上の興味及びその効果の点に於いて、非常に得であります。(体格改造法 P.158〜160)

本運動の目的は、体格の均整を謀るにあれども、殊に後背筋の発達を促すべし。是れ即ちウィーンブルフの椅子運動法に得たるものなれども、彼にありては、腕を曲げ、上体を下ぐるの一事ありて、為めに胸部の圧迫を覚え、頭部に充血して、不快を覚ゆるの欠点あり。又腕を曲ぐる事によりて腕の筋肉の発達を計らんとするは、其の目的を二にするものにして、飽くまでも精力を一方に集中するを方針とせる予が運動法上の原則と相容れざるものなり。(体格改造法 P.200)
なお彼れの運動法には仰向きと横向きの両法があれども、何れも踵を椅子又は机の端にかけて、身体を上下するものなるが故に、頗る窮屈にして踵はややもすれば容易く外れ落ちむとす。殊に仰臥の方法は、説明にも、図解にも両手の指先を足部の方に向け居るは不思議と云はざるを得ず。それで果たして身体を上下せしめ得るべきものなるか。予が実験せし所によればどうしても支えたる両手の指は、頭部と同一方向に向くるにあらざれば動作し難く、それにしても、安定を保つことは困難なる姿勢なり。予は彼の運動法よりは、俯伏して足端を踏み台の上に架する一点を採れば、其の長所はすでに十分獲得したるものと信ず。他は如上の理由により、悉くこれを省略しさりたるなり。サンドウにもマチャデンにも似たる方法はあれどもウィーンブルフの此れに及ばず。(体格改造法 P.201)
体を下したる時には全身に力を入れず。息は吸い込むべし。腰を上げた時に、両足踵で台を踏みつけるようにし、両手で地を押し付ける。両腕、両膝が曲がらぬことが肝要なり。(体格改造法 P.201 茶文字は心身強健術になし)(心身強健術 P.161)
足をかける場所の高さは、二寸位が、最も理想的なり。(体格改造法 P.201 高さが違う)(心身強健術 P.161)

この型は、処女作『実験 簡易強健術』からその姿をほとんど変化させていない唯一の型です。前著『強い身体を造る法』で初めてそれまでの強健術を大改訂した「呼吸応用強健術(後の簡易強健術)」を発表した時もこの型だけは、その形を変えていませんでした。『大胸筋鍛錬術』もその型をほとんど変化させていない型ですが、この型は三冊目の著作『心身強健術』から登場した型であり、また今回『体格改造法』で発表された型は、身体を回転させる要素を取り入れてその姿を変えています。

そのような意味でこの型は、強健術の中で完成度の高かったものといえるでしょう。この型は、最終的に完成形の「気合応用強健術」にほぼそのままの形で取り入れられることにもなります。この型の発想の元になった『ウインブルウ氏 簡易体力養生法』、『マヂャデン坐式運動法』などにつきましては、以前(9月4日掲載)に詳しく触れましたのでそちらを参照して下さい。

さて、型そのものは大きく変化していませんが、今回の型は、「背中が円くなる様に、力を其処へ纏めるのです。腹へは無論力を入れます」と、これまでに指摘していなかった注意があることが大きな特徴です。

これは、一つは背中を丸くすることにより「広背筋」の緊張を助けている目的があると考えらえます。またもう一点、背中を丸めることにより『体格改造法』の強健術の原則の一つ「やや胸を屈め水落の所を前の方に折る様にする」(体格改造法 P.125)を取り入れているのであると考えられ、型そのものはほとんど変化していませんが、新たな要素を取り入れていることが見てとれます。

(写真は、「広背筋鍛錬術」を行う春充)
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