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2020年01月12日23:02

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「強健術」案内129

今回は、『体格改造法』に解説される「大胸筋鍛錬術」を見ていきます。

大胸筋鍛錬術
◎氣合(殊に腹力)を以て胸の筋肉を鍛える法

(イ)柱の真横四尺ばかりの所に後ろ向きになって立っております。踵と踵とは殆ど附けて居ります。
(ロ)全身に力を入れない、自然本体の姿勢。(以上運動前の姿勢)
(ハ)腰だけ反る様にして力を入れ、重心を左脚に落とします。精神を下腹部に落ち着けます。
(ニ)右足先裏にてポンと床を打ち、跳ね返す勢いを利用して脚を伸ばし、真直ぐに前方に上げ。(以上準備姿勢)
(ホ)直に返えして来て、柱の側面にスッと踏込ます。
(ヘ)其の時左脚は爪先で立ち、グルグルと左足内側の平が、柱のこちらへ向いている面と平行するまで、一氣に転回致します。丁度二百二十五度廻ることになります。
(ト)右脚を柱の左側に踏み込んだときに、柱で自分の臍の高さ位の所にドシンと右掌を押し当てます。(小指だけ縦にあてて、四指は柱からはづします)
(チ)右上腕は体側から離さぬ様に致します。
(リ)右掌の側に右乳があるようになります。
(ヌ)腰を反り胸は確り起こして居ます。上体はやや左方に捻ります。
(ル)右脚を踏み込んだので、ストッと腹に力が出来、勢いを利用して前に飛び出そうとする。上体が腕で柱に支えられるから、大胸筋はキシッと痛いくらいに緊張を致します。(五指を柱に当てますと、目的以外である腕に、力が余計に這入ります)
(オ)踏み込んだ右脚は膝を折り、左脚は真直ぐにピンと伸ばして居ります。
(ワ)身体を起こし、左足を百三十五度転回して元の位置に返り、右足をもそれに引きつけて、自然体に返ります。
(カ)左右交互、回数は各二回。
(備考)踏み込んだ時、柱と反対の方向に上体を傾けると、大胸筋の緊張は最も旺んですが、柱の方へ向けますと、弛みますから緊張が不充分になります。
▲此の方法は、猫背の人や、胸郭の狭い方には、殊に必要です。(体格改造法 P.156〜158)

大胸筋の発達は、呼吸作用を妨ぐとのBoekmanの説に対して多少の疑問を挟みたるを以って、予が前に『強健術』を公にするに当たりては、此の方法を掲げることを憚りたりき。然れども更に厳密なる研究と、長き間の実験とにより、断じて此の事無きを確信するに至りたるを以って、敢て茲にこれを披瀝せるものなり。殊に―豪語することを許せ―予が大胸筋の発達を見よ。而して予が胸郭の伸縮の旺んなることを見よ。(体格改造法 P.199〜200)
手の柱に当たる部分は踏み込みたる場合に、丁度乳の辺にあるを可とす。(体格改造法 P.200)
なるべく柱に近寄りて動作すべし。(体格改造法 P.200)
体をかわし、脚を踏み込むの要領は、第四練修法三角筋の運動に於ける其れと同一なるを可とす。(体格改造法 P.200)

この型は前々著『心身強健術』に初登場しました。それまでは、(備考)にも書かれていますように、大胸筋の発達は呼吸に悪影響を及ぼすとの判断から、大胸筋そのものを鍛える運動法は「強健術」にはありませんでした。それを取り入れるようになったいきさつは、『心身強健術』の「第五練修法 大胸筋」を紹介した時に触れましたので(9月1日、2日掲載)そちらをご覧下さい。

『心身強健術』で解説された「大胸筋練修法」は、柱の手前に立ってそのまま柱に踏込む型でしたが、今回は柱に向かって後ろ向きに立ち右大胸筋を鍛える際は、反時計回りに回って柱の左横に踏込み、左大胸筋を鍛える際は時計回りに回転して柱の右側に踏込ます。

この型も、「上膊三頭筋鍛錬術」、「三角筋鍛錬術」の型などと同様、身体を回転させる「利動力」と、脚を踏みつける衝動力を利用した「踏附」を最大限に生かした「強健術」と言うことができます。

(写真は、「大胸筋鍛錬術」を行う春充)
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