mixiユーザー(id:1107882)

2019年12月16日14:01

44 view

「強健術」案内103

今回は、前回に引き続き「腓腸筋鍛錬術」を見ていきます。前回の最後でも述べましたが、この型は今まで見て来た「腓腸筋」の練修法とは大きく形を変え、しかも「腓腸筋」を鍛える型であるのに、上体を前後させたり手を広げたり、「腓腸筋」とは関係がないような動きをします。これまでは、その手順と形だけが伝わり、なぜそのような一見奇妙な形になったのかは全く語られてきませんでした。しかし、春充がこれまでに述べてきた「強健術」の解説と注意事項を注意深く読み込んでいれば、この動きの意味が見えてきます。反対に、これまでに触れてきた春充の解説、注意事項等を知らずに型の解説文だけを読んでその手順を知ったところで、春充が意図した効果を出すことは難しいと思います。
それでは(詳細なる説明)を見て、なぜこのような型になったのかを見ていきたいと思います。

(詳細なる説明)
(一) 腓腸筋鍛錬術
ふくらはぎと腹とに、力が這入るようにする方法

(イ)、左足を一歩踏み出し、爪先を内方に向けた右足と、恰(ちょう)ど『ノ―』の形になる様にして立ちます。両足の間隔は約一尺位、左膝は曲がっても構いません。
(ロ)、全身の力を抜いて、腰を充分に前に屈(かが)め、両腕は力を抜いて背後にのばし、右足の踵は畳から浮かせます。
(ハ)、息は穏やかに充分吸い込みます。(以上準備姿勢)
(ニ)、
(甲)息は力強くウーッと吐きながら。腰を充分に後ろへ反らすと同時に両腕を一旦胸部で交叉し、直(ただち)に水平に後方へ開きます。その時掌(てのひら)は後ろに向くようにします。両腕と肩と胸とはグニャグニャで、力が入らない様にします。上体が伸び上がったり固くなったりすれば、それに比例して腹の力が減ります。
(乙)浮かしていた右足の踵を、確り踏みつける。その時右脚の膝がピンと真直(まっすぐ)になって、曲がらない様に注意して下さい。そうしますと腓腸筋だけが確り緊張します。そして腹力と調和した力が其処(そこ)に這入(はい)って来るのであります。
(ホ)、以上の動作が三回済みましたら、左足に更えまして同じ運動を三回やるのであります。(強い身体を造る法 P.98~99)

この型の眼目は、はじめにありましたように「ふくらはぎと腹とに力」を入れることです。そこで、まず脚の形をいわゆるアキレス腱を伸ばすストレッチ運動のような形にします。これで、形の上から「腓腸筋」が緊張しやすい脚の形になります。この時、前回の(簡単な説明)ではありませんでしたが、後ろにした足の踵が上がっていることにご注意下さい。
これで、後ろ足の踵を踏みつけて「腓腸筋」を緊張させて、呼吸をしながら「腹」に力を入れればこの型の必要な条件はそろうのですが、足をほぼ固定した形では「腓腸筋」の緊張も、「腹」に力を入れるにも「呼吸」の力だけでは弱すぎます。これまで見てきました「強健術」は「脚の踏み込み、踏みつけ」等の「脚の力」を「腹力」に変え、体を回転させる、ジャンプするなどの動きで生じた慣性の力「利動力」を利用して「腹力」、「目的の筋肉」の「緊張」を生み出してきまました。

今回の型は、脚をほぼ固定した中でこの「利動力」を最大限に引き出す工夫がなされています。それが上体を前後させ、その動きで「利動力」を発生させる一連の動きです。上体を前後に動かし、踵を踏みつけることによる「利動力」を利用して、「腹力」と「腓腸筋」の緊張の二つを同時に達成しています。この時腕は、上体が後ろに反る際に上に上げると引力に逆らった無理な動きになりますし、下げたままですと「利動力」を減殺してしまいます。ですが、手を上体の動きに沿って横に広げれば、そのまま上半身の「利動力」を最大限に引き出すことができます。

このように、「脚を固定」した中で「利動力」を最大限に発現する工夫が上半身を前後し、腕を横に広げる独特の動きの理由です。リンク先のGIFアニメをご覧になれば、上半身をムチのようにしならせて「利動力」を生み出している様がよくおわかりになると思います。

(写真は、『強い身体を造る法』に掲載されている「腓腸筋鍛錬術」の連続写真、これをGIFアニメにしました)

連続写真GIFリンク先→ http://hidashiki.na.coocan.jp/
「肥田春充師活動写真」の「腓腸筋鍛錬術」をご覧下さい。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する