mixiユーザー(id:1107882)

2019年12月10日12:18

61 view

「強健術」案内97

今回も、『強い身体を造る法』の中に紹介される「強健術」を見ていきます。

(簡易なる説明)
(二) 内蔵操練法(吸う時が胸式、吐く時が腹式)
〇仰向けに臥します。
〇両腕を伸ばして体側から頭上にあげながら、息を吸いこんで胸を広げますと。同時に。
〇両足を揃えて伸ばし、爪先を伏せる様にして力を入れます。
〇即ち息を吸う時が胸式です
〇頭上の両腕を交叉して、胸上に下ろしながら胸をすぼめて息を吐き出します。
〇其の時、水落(みぞおち)を軟らかにくぼめて、下腹を固く鞠のように緊張させます。
〇両脚は、息を出すと共に爪先を立て、踵に力を入れて徐々に開きます。
〇即ち息を吐く時が腹式です。
〇つまり一呼吸で、胸式と腹式とを行うのであります。
〇約三十秒かかります。

〇要領に合しますと、頭に鬱血したのを容易く下げることが出来ます。殊に慢性の胃腸病を根治しますのには、此方法を実行しました上に、食物の注意をなされば宜しいです。それは
(1)節食
(2)菜食
(3)よく噛むこと
(4)水を多く飲むこと。(強い身体を造る法 P.50)

(詳細なる説明)
(ニ)内臓操練法(呼吸と筋肉の働きとの等分運動)
(イ)、体を真直ぐにして仰臥します。腰を反らして、両手の拳が其の下に這入る様にして、全身の力を抜いて終います。
(ロ)、腰を反らしながら、胸を開き、両手を伸ばした儘、両手の指先でスーッと畳をを摺って、肩の所で掌を上に向け、更に頭上にあげます。此の時両足は揃えて爪先に確り力を入れます。全身をピインと真直ぐに伸ばします。
(ハ、)斯くしていきを充分に吸い込みます。手、腕、肩、胸、には成るべく力が這入らぬようにします。かくの如く、吸う時が胸式です。
(ニ)、息を吸いきったら、両手を寛く頭上で交叉し、息をはきだしながら、両手の指先を床から離さずに、右手は左頸の横に、左手は右頸の横に持って来ます。そして上腕は静に胸の上へ引き降ろして、前腕をX型に組みます。其の時、頭を引き、顎を充分に上げます。
(ホ)、両手を交叉し始めた時から、両脚をだんだん開いて、踵に力を入れます。
(ヘ)、其の時、胸上の両腕をかえし、小指が水落の所を、後戻りに通過する様にして、左右の体側に落とし、腰はやや屈める工合にして、腹に力を入れて膨らませます。かくの如く息を吐く時が腹式です。
(ト)、即ち一呼吸に胸腹式を併せて行って、それを数回繰り返すであります。
(チ)、これは精神作用から来るのではありませぬ。ですから別に精神を統一する必要は有りませぬ。けれども、ウーッと、息を吐き出して仕舞って、力をグッと下腹部にまとめますと、水落ちから上は、ポーッと直ぐカラッポになります。まるで上体は斬って無くしたようになります。胸がすいて、肩が楽になって、頭が軽くなり空々乎として、太虚に浮かんだような心持ちになります。こう云う感じがする生理的作用は色々ありますが。心臓に余裕が出来て、楽になりますことと、中心の緊張を得ることが第一の理由であります。これは形から来るのですから、精神が忽ち機械的に、浮雲の如くなるのでなければ、まだ要領にかなって居らぬと云はなばんりませぬ。
それには、胸を軟らかにかがめ、肩の力を抜き、顎を充分にあげて気管を楽にすることが必要であります。(強い身体を造る法 P.85~88)

この呼吸法は、『強い身体を造る法』に初めて出てきたものです。

この呼吸法の特徴は、まず『心身強健術』から取り入れられた「脚の働き」を「腹力形成」に応用することを取り入れている点です。始めの胸式呼吸の時は、足先を寝かせ、後編の腹式呼吸で腹に力を入れる時には足先を立てています。これは以前見ました、「下脚投打法」及び「下脚緊張法」で腹に力を入れる際、つま先を立てて踵に力を入れた原理と同様です。基本的にこのような足先の使用法は、この後の呼吸法のほとんどに取り入れられるようになります。

また、この呼吸法は後に春充が「邪道に陥った」という大きな特徴が現れている点でも重要です。
それは、後半の「腹式呼吸」を行う時「水落(みぞおち)を軟らかにくぼめて、下腹を固く鞠のように緊張させます」、「腰はやや屈める工合にして、腹に力を入れて膨らませます」とある点です。腹に力を入れる時に、それまでは反っていた腰をかがめて腹に力を入れています。これはリンクをはってあるGIFアニメをご覧になれば一目瞭然ですが、春充の腰のベルトの動きをみますと、腹に力を入れると同時にそれまで斜めだったベルトが縦に近くなります。つまり腰を丸くかがめて腹に力を入れているのです。

これは、「腰を反る」のが大きな特徴である「肥田式強健術」では特異なことです。実は、『強い身体を造る法』の中で紹介される「強健術」は、ほとんどすべてこの「腰を丸める強健術」です。そしてこれが、後に春充が「邪道に陥った」と酷評する点です。では、なぜこのような「邪道」に陥ったのか、それは本当に「効果」がないものなのかなどにつきましては刊行予定『聖中心伝−肥田春充の生涯と強健術−』(壮年編)の第六章32節「それまでの強健術の誤り」の中で詳細に解説していますのでそちらをご覧下さい。

(写真は、「内蔵操練法」を行う春充)

連続写真GIFリンク先→ http://hidashiki.na.coocan.jp/
「肥田春充師活動写真」の「内蔵操練法」をご覧下さい。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する