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2019年12月07日07:32

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「強健術」案内94

今回も、『心身強健術』に初めて紹介された呼吸法を見ていきます。

「下脚緊張法」
イ、坐式自然体
ロ、左足の拇指の間に、右足の踵を乗せ。
ハ、両足爪先の力を極(きわ)め。
ニ、両足爪先を、成るべく、自分の方に、引きつくるが如くす。
ホ、静の呼吸。
ヘ、両腕は軽く、胸部にて組め。

備考 病症の人、修めて、此所に進み、よく丹田と脚下に、力を得るに至れば、『生死の間を踏断して、虚空消インし、鉄山砕けるの大観喜あらむ』

備考 薬もいらず、機械もいらず、寝床で、楽に出来る事なり。そして其の効果は極めて迅速、顕著なり。願くば努められよ。(心身強健術 P.380〜381)

この「呼吸法」は、前回紹介しました「下脚投打法」と同様、「脚」を覚醒し「腹力」を強めて「病気」の回復を早めることが目的です。また、この「呼吸法」のポイントは、「下脚投打法」と同様「両足爪先を、成るべく、自分の方に、引きつくる」ように「踵」に力を入れてつま先を立てることです。

「中心錬磨法」
イ、胡坐し。
ロ、両腕を背後にまわし。
ハ、左手にて右手首を握る。
ニ、右手は拳を作り、掌が上を向く様にせよ。
ホ、尻を後ろに突き出す様にし。
ヘ、胸を上げ。
ト、上体を前に傾く。
チ、身体は正面に向くべし。
リ、腰の骨が痛き程、反るべし。
ヌ、全身に力を入れず。
ル、呼吸は自然のまま。

備考 正しく坐った時も、立って居る時も、此の要領なるが最も可し。(心身強健術 P.321〜322)

この「呼吸法」において初めて「中心」という言葉が現れます。これまでは「腹力」とか「気合」または「丹田」などと呼んでいましたが、「呼吸法」または「強健術」の型で「中心」というネーミングがつくのは、この「呼吸法」が最も早いものです。そして、この姿勢をとりますとやや前のめりになって、腰が自然に反った形となり腹(中心)に力が入ります。

以上で、『心身強健術』に初めて登場した「呼吸法」をすべて見てきました。これらに共通しているのは、「脚」の力を応用して「腹(中心)」に力を込めることです。この方法は「自然療養」を春充が考案した際の「綱領」に沿ったものです。春充はその「綱領」に次のように述べています。

『腹圧によって中心を練ること』、『脚部を温かにして頭部の充血を下げる』(心身強健術 P.391)

これまでに、紹介した「呼吸法」はこれらの目的を達成するために考えられたことがおわかりになると思います。
また、今回見ている著作『心身強健術』において、初めて「脚」の力を応用して「腹力(中心力)」を造るという技法が「強健術」登場しましたが、その技法を「呼吸法」に応用したのが今回見てきました一連の「呼吸法」です。そして、以降の「呼吸法」には、「足」の動きを取り入れていくようになり「強健術」ばかりでなく「呼吸法」も大きく変貌していくことになります。

(写真は、「下脚緊張法」と「中心錬磨法」を行う春充)
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