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2019年10月24日08:35

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「強健術」案内49

今回も、「腹胸肩式内蔵操作練法」の(備考)を見ていきます。
備考 呼吸は出来得る限り、穏やかに、静かに、且つ自然にして、無理のなき様になすべし。(心身強健術 P.132)
備考 腹式にて息を出す時には、極めて、長く力強くすることを可とすと雖(いえど)も、ウーンと一息に縷(る:糸、細いもの)の如くゆかざる時は、中途、少しずつ息を足しながら、成るべく無理のなき様につとめ、要領に合して、而(しか)も楽に出来る様になすべし。(心身強健術 P.133)
「腹式呼吸」で吐き出す際は、できるだけゆっくりと長く、すべての息を吐き出すようにしますが、吐き出す際に「スッ」と軽く一息、息を吸い込んで吐くのを楽にすることもあります。この時、一息で全部を吐き出すことが出来るのであれば、それでもかまいません。要は、春充が言うように「成るべく無理のなき様につとめ、要領に合して、而(しか)も楽に出来」れば良いのです。この呼吸操練法の時、力んだり、無理な力がどこかに入っているのは不可です。
備考 胸式の時は、胸を出来る丈(だ)け、横に開きてより、更(さら)に口より十分に肺の内部に空気を吸い込むべし。(心身強健術 P.133)
基本的に、「呼吸操練法」の「吸い込む」息は鼻で行いますが、「胸式呼吸」では鼻でこれ以上吸い込むことが出来ない最後に、一息だけ口で空気を頬張るように吸い込みます。これは、今後の「胸式呼吸操練法」に共通の技法となります。
備考 仰臥の時、両足爪先は力を抜きて各々外方に倒すべし。(心身強健術 P.133)
これは、「自然体休養姿勢」の時に、足の力が完全に抜けると自然に爪先が外側に少し倒れることを指します。
備考 エリザベス・タウンの呼吸観念調和法、ベークマンのLang and Mascle Culture肺と筋肉の同時運動。ローミュラーの不安定姿勢による呼吸法、デルサートの起立逆式呼吸法、さては一般に、心理的より生まれて、腹式のみに傾きたる東洋の儒者、僧侶の呼吸法、生理的より出でて、一般に胸式のみに流れたる泰西の学者、体育家の呼吸法等、厳正なる審査を施せば、何れも完璧のものにあらず。(心身強健術 P.133)
ここに出てきます「エリザベス・タウンの呼吸観念調和法」と「ベークマンのLang and Mascle Culture肺と筋肉の同時運動」は、それぞれエリザベス・タウンの『如何にして太陽神経叢を覚醒すべき乎』という本に紹介されている呼吸法、フォン・ベークマンの『強肺術』に紹介される呼吸法を指し、すでにこのブログでも紹介済みです。また「ローミュラーの不安定姿勢による呼吸法」とは、H.ローミュラーの『手拭運動法』の中に紹介されている、一枚のハンカチや手ぬぐいを両手に持ってひっぱりつつ行う運動の中で行う呼吸法です。これらついては、刊行予定『聖中心伝―肥田春充の生涯と強健術―』(青年編)で詳細に解説していますのでそちらをご覧下さい。
また、「デルサートの起立逆式呼吸法」とは、フランス人フランシス・デルサート(1811〜1871)の考案した運動法で、日本女子大学の体育教師 白井規矩郎(1870〜1951)がそれに自らが草案した体操を組み合わせ『新式女子表情体操』(育成会 明治34年発行)という本に発表した呼吸法です。「表情体操」とは聞き慣れない体操ですが、ネーミングから想像される顔の表情を変えるような体操法ではなく、感情(情)をおどりによって表現(表)する体操のことを指し、扇を持って歌にあわせてその感情を表現した踊りを舞う一種の創作ダンスのようなものです。この本では「気息の訓練」として呼吸法を紹介しています。その方法は、直立し両腕は軽く拳を握って垂らします。そしてゆっくりと息を吸い込み、いっぱいになったら少し呼吸を止め、次に「ヒー」と発音しながら徐々に息を吐き出していきます。また、同様に呼吸を止め「ハッ」と発音しながら息を吐く、さらに「ハツル」と発音しながら息を吐くとあります。そしてこれら以外にも「アイウエ」などの母音を発音するのも良いとありますので、一種の「発声練習」のようなものと考えられます。
ここで春充は、いままで見てきたような西洋の体操法は「胸式呼吸」のみであり、一方東洋の養生法などは、肉体を鍛える目的より精神を落ち着かせるものとして「腹式呼吸」に偏りすぎているとしてどちらも不十分であると考え、そこで自身の考案した呼吸法はその両方をミックスし完全なものとしたのです。
(写真は、八幡野海岸に落ちる滝)
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