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2019年09月23日09:33

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「強健術」案内20

前回は、「第六練習法」を見てきました。今回は、引き続き「第七練習法」を紹介します。方法は、以下の通りです。
実験 簡易強健術 第七練習法
イ、両椀を伸張して、俯伏(ふふく:うつむくこと)したる時に、頭部より脚部に至るまで水平を保ち得る程の高さの場所(机、椅子、踏台、或は窓の肘掛など適宜)に両足を掛け、
ロ、足指の裏面を其(その)物体に着けて支(ささ)ふべし、
ハ、両椀は真っ直ぐに伸ばし、
ニ、掌は五指を揃(そろ)えて地に突き、
ホ、両手の間隔は、体側に添いたる位置をとれ。
へ、両掌と足端も、終わりまで位置を換えず。
ト、頭は真直。
チ、視線は両手の真中に落とし、
リ、渾身、足の指先まで力を込めて緊張し、(以上準備姿勢)
ヌ、然る後、徐(おもむろ)に腰部のみを上下せしむべし。
ル、出来うるだけ腰を高く上げ、又低く下ろす。
ヲ、腰を下ろしたる時腕を曲げぬように注意すべし。
ワ、上より下に移りて一回の運動とし、凡(すべ)て五回すべし。
(備考)
本運動の目的は体格の均整を謀(はか)るにあれども、殊(こと)に後背筋の発達を促(うなが)す、是(こ)れ即(すなわ)ちウィーンブルフの椅子運動法に得たるものなりと雖(いえど)も、彼にありては、腕を曲ぐるの一事ありて為(ため)に胸部の圧迫を覚え、頭部に充血して不快を覚ゆるの欠点あること、内篇に於(お)いて述べたるが如(ごと)し。予の本運動には特別に腕の筋肉の発達を目的とせず、そは他に於(お)いて其(そ)の方法を取りたるなれば、ただ体格の均整という一事に其(そ)の目的あるものと知るべし、非常なる虚弱者にして、此(こ)の運動を最初より五回連続することの困難なるものは、初めは三回位なるも可なり。(実験 簡易強健術P.240〜243)
この「第七運動法」は、主に「広背筋」を鍛えます。そして、「四大要件」の一つ「体格の均整」つまり「バランスのとれた体格」を、達成する運動法でもあります。
この運動法は、「ウィーンブルフの椅子運動法」からヒントを得たものと言っていますが、それは『ウィーンブルウ氏 簡易体力養成法』津田房之助、高見澤宗蔵編 大学館刊という本に載っているものです。この運動法は、椅子運動法と名付けられていますが、椅子は単なる台として使用されてるに過ぎず、別に椅子でなくても少し高い台さへあれば十分に出来る運動です。主なやり方は、足を高くした腕立て伏せだと考えればよいかもしれません。そして、春充も言っていますが、腕は他の運動法で鍛えられるので、この運動法を改良して、主に体格のバランスと広背筋を鍛える運動法にしたのが、この「第七運動法」、後の「気合応用強健術」における「広背筋練修法」なのです。
ところで、この運動法は「体格の均整」を達成する運動法という位置づけです。また、これまで出て来た運動法で「第四運動法」と「第五運動法」は、「動作の敏活」を目的としたものでした。このように、「強健術」は「四大要件」(筋肉の発達、内蔵の壮健、動作の敏活、体格の均整、後に八大要件に発展)を達成するために設計、考案されているものです。この「四大要件」を、単なる「強健術」の効能書き、「強健術」をやるとこのような効果があると紹介することがほとんどですが、そのような表面的な観点からでは「強健術」の本当の意味するところ、なぜこのような運動法になったのかという原理は決して見えてきません。
春充が「四大要件」を達成するために、どのように「強健術」を構想しそれを達成していったかの道程は、刊行予定『聖中心伝―肥田春充の生涯と強健術―』(青年編)に詳細に論述してありますので、「強健術」の本質とその成り立ち、原理についてはそちらにゆずりたいと思います。
(写真は、「第七運動法」を行う春充と「ウイーンブルフの運動法」)
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