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2019年09月18日08:25

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「強健術」案内15

前回は、著作『実験 簡易強健術』に発表された初期の「強健術」の「第一練習法 乙」を見てきました。今回は、これに引き続き「第二練習法」を見ていきます。「第二練習法」の方法は次の通りです。
実験 簡易強健術 第二練習法
イ、直立し
ロ、左足の指先を正面に向け、右足は之(こ)れと直角を為(な)す様にして、踵と踵とを着けよ。
ハ、右拳を握りたる儘(まま)腰に当て、左手は拳を握りたる儘(まま)垂加すべし。(以上運動前に姿勢)
ニ、左足を遽(にわ)かに一歩踏み出すと同時に、
ホ、右椀は一定の空間を貫く心持にて、水平に前方に突き出すべし。
ヘ、踏み出したる左脚は、膝を曲げ、
ト、右脚は十分伸ばし(図参照)
チ、腕を突き出したると同時に、肩部にある三角筋と下腹部とに力を込むべし。(この時左手は拳を握りたる儘(まま)に垂加す)
リ、迅速に原位置に復づると共に力を抜くべし、これにて一回の運動とす。
ヌ、右肩三角筋の運動(即ち脚は左方の運動)を五回終わりて、次に左肩の運動に移る、其(そ)の方法は前と同じ、回数五回。
(備考)
本運動の目的は三角筋に運動を与えるものなれば、通則たる下腹部の緊張以外には、他の筋肉に力を込めず又注意力を向く可(そべから)ず、その大体の用意は、第一運動の備考に記たるところと同じ。(実験 簡易強健術P.229〜230)
この運動法は、春充が書いているように肩の「三角筋」を鍛える運動方です。現在よく知られる簡易強健術の「三角筋練修法」とも、気合応用強健術の「三角筋練修法」とも大きく違います。この「三角筋」の型は、強健術の発展の中で大きく姿を変えていく型の代表的なものです。
この型の原型は、「サンドウ体力養生法」にあります。春充の説明を読みますと、空手の「逆突き」のような印象を持たれますが、原型は鉄アレイを持ち、腕を突き出して脚を踏み込むと同時に前へ差し出し、主に三角筋でアレイを支える型です。ですから「強健術」の場合は突くというよりも、三角筋で腕全体を支える感じになるでしょう。
ここでも、春充は鉄アレイの代わりに「集約拳」を使用してアレイと同じ効果を出そうとしています。また、後に「中心力」に発展する「下腹部の緊張」があるのも、右足と左足を直角にしているのも他の練修法と同様です。「サンドウ体力養生法」の型と「強健術」の型の比較の写真、図は刊行予定『聖中心伝―肥田春充の生涯と強健術―』に詳細なものを掲載しましたので是非参考になさって下さい。
しかし、『サンドウ体力養生法』にも説明がありますが、この型は三角筋ばかりでなく、上腕三頭筋、大胸筋、広背筋、上脚二頭筋、上脚四頭筋も同時に緊張させてしまい、強健術の目的である「一筋の緊張」を完全に達成することが出来ません。これが、この型が大きく姿を変えていく大きな要因の一つとなるのです。
(写真は、「第二練修法」を行う春充)
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