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2019年07月19日02:28

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フレディ・マーキュリーの恋〜性と心のパラドックス〜

映画「ボヘミアン・ラプソディー」にすっかりはまった私、思わず目にとまった本でした。いや、作者が「竹内久美子」さんだったので、えええ??!思わず手にとってしまいました。(作者は某マネージャさんとは別人、同姓同名の理学博士(笑)
これがまた、腐女子にはツボ過ぎて、読み終わるのがもったいない位怒濤の勢いで読み終えてしまいました。
自分の見聞きする経験則からして納得できる内容でしたが、結論は至ってシンプル過ぎて、そうかもしれない・・・位ですが(笑)、すごく興味深かったことは間違いないです。
いずれ太古から同性愛者は普通に存在し(万葉集にも同性同士の恋文がある)、旧約聖書が世界中に広まるまでは、文化的に許容されていた恋愛関係の一種だったのです。
ちなみにホモセクシュアルは他の生物にもあることで、別にそれが異常でも病気でもなく、自然界にとっては意味があるだろうってのは、未来科学館で解説されたショウジョウバエの例で私は知ってました。
この本は、そもそも子孫を残しにくい同性愛者(バイセクシャルも含む)が、何故自然界に一定の割合で存在するのか、生物学的に考察している本です。

○フレディーの恋
フォト

男と女の性行動には違いがあって、女は妊娠出産で次の妊娠まで1年以上間が空く。生涯に残せる子孫の数は限られるので、相手選びは慎重になる。だから行為に至るまでの過程で相手が自分の子の半分の遺伝子を持つにふさわしいかをしっかり見極める必要がある。
一方男は、いつ何時いくらでも自分の子孫を残せるので、下手な鉄砲数打ちゃ当たるで、たくさん作る中に優秀な子孫が一人二人いればいい。相手をゆっくり選んでたら、他の男との繁殖競争に負けるわけだ。
だから、不特定多数と頻繁に性交渉を重ねたフレディーの行動は、同性愛者であるかそうでないか、妊娠のあるなしに関わらず、そもそも男とは繁殖の機会をより多く持ちたいものなので、自然の理にかなってるんだそうです。
そうか。ジム・ハットンが人生に悔いがあるとすればコンドームをつけなかったこと、って書いてたけど、そういうことなんだね。
バリバリ男性脳の人が書くエロ漫画があまりに即物的でリアリティないって感じるけど、腐女子の書くBL小説をゲイはまどろっこしくてこんなのあり得ないと思うそうだ。
異性の感性がわかる男性脳と女性脳、両方持つ両性脳の人が、優れた官能小説を書けるわけだね。
筆者曰く、文学音楽ファッション編み物料理他、芸術学問における天才の中には、並みの女性以上に女性の優れた特質を持ち合わせた男性、「超女性」がいるんだそうだ。
ダヴィンチ、チャイコフスキー、オスカーワイルド、三島由紀夫、・・・
宮沢賢治の代表作「銀河鉄道の夜」、カンパネルラのモデルが実在して、恋仲だったとわかる手紙が世に出た。そうだろうと思ったよ。だからといって、作品の価値が下がるわけでない。極めて自然な事象として私は受け止められる。

○性転換する一族
ドミニカの人口4300人の村に偽両性具有の男性が24人見つかった。染色体を調べたらXYなので男だが、彼らは子どものころは睾丸もペニスも外見的に見当たらない。なので女の子として育てられる。しかし、第2次性徴時に睾丸が降りてきてペニスも大きくなり声が低くなり筋肉がついて、完全な男性になり、女性に恋をし結婚して子孫を残す。
これは、二つの男性ホルモンのうち、一つが阻害される遺伝子を持っている一族だからなんだそうだ。疎外された方のホルモン、ジヒドロテストステロンは、胎児期に体の外の生殖器を作るホルモンだ。もう一つの男性ホルモン、テストステロンは胎児期には男性脳と体内の生殖器を作る。さらに第2次性徴期には体外も含め完全に男性にするのがこのテストステロン。第2次性徴期には、ジヒドロテストステロンは、ニキビやひげを作っている。この村の偽両性具有の男性はジヒドロテストステロンが働かないので、ひげやにきびがなく、なんとハゲないんだそうだ。
ええええ??つまりハゲは男性ホルモンのジヒドロテストステロンの働きによるので、このホルモンの働きを阻止するとハゲないんだってーーー!!
本来このホルモンを欠損させる遺伝子は親のどちらか片方しかもってなければ個体として発現しないのだが、この村は近親婚によってそういう特殊な遺伝子を持つ夫婦の婚姻で、外見女の子の男児が産まれたわけだ。
ここで重要なのは、ハゲの問題でない(^^;。
女の子として育てられた男の子でも、胎児期にテストステロンを十分に浴びていれば、女性に恋をするということ。つまり生まれた後の環境の前に、母胎にいる時に、脳の性別はほぼ決まってしまっているのだということ。

○統計的に男兄弟の弟にゲイが多い
胎児期にテストステロンという男性ホルモンシャワーを十分に浴びた子が男性脳になり、それが不十分だと男性脳女性脳両方の特質を持った個体になる、という説の出所は「男性脳、女性脳」
統計的に男兄弟の弟にゲイが多いらしい。
一つの仮説として、母胎がY染色体という本来自分の体内にないものを異物を判断し、2度目の妊娠からは抗体ができて、テストステロンの働きを阻害してるのではないかと。
つまり、妊婦の血液型不適合と同じ理由で男兄弟の下の子は、テストステロンを十分に浴びられないのではないかとの説。
あれ?でもフレディーは第一子だよね?
だから必ずしも弟に発現するわけではないけれど、胎内環境に起因するという一例でしょう。

○同性愛という遺伝のパラドックス
自分は子孫を残さないで、同じ遺伝子を持つ家族にせっせと貢ぐヘルパーという現象が生物にはあるらしい。端的に言って、蟻と蜂。働き蜂にとっては、女王蜂に子孫を産んでもらった方が自分が産むより効率がいいのだ。つまり直接子孫を残さない個体が、その種の繁栄にとって意味がないわけではないのが自然界。
同性愛者に優れた才能を発揮する人もいて、人類の科学・文化に貢献し、人を幸福にしてるという点で、種の繁栄を助けてるんだよね。
この本の結論は、ゲイの母方の女性親族は多産だという統計に基づくシンプルな説だ。
ゲイの親族を調べると母方の親族にゲイが多く存在するので、ゲイの遺伝子はX染色体上にある情報だと分かっている。子どもを多く生む女性は、一般的に女性ホルモンが強い。その体質のため妊娠中、男性ホルモンのテストステロンの働きを女性ホルモンが阻害してしまってるのではないか。
けれど、その一族は出産数が多いので、多少男子に子孫を残しにくい個体が産まれても、女の個体がせっせと出産するので、脈と脈とその女の遺伝子はX染色体上で受け継がれていく。そしてどの時代にも一定数男性同性愛者は存在するのだと。
ふーん。そうなの〜。ふう〜ん。

○腐女子という存在のパラドックス
この本では女性同性愛者の発現の仕組みは、はっきりしなかった。男性同性愛者とは逆に胎内にいる時男性ホルモンを浴びた女という可能性もあるが、調査しにくいらしい。というか、この著者も読み手も腐女子脳だから、興味が男性にしか向いてないんだよね(笑)いいんだよ、同性愛も異性愛もいていい。それは自然なことだ。
でもさ、なんでこういうことに脳が強く反応する腐女子脳が産まれるわけ?
ちなみに腐女子は欧米にも一定数存在するそうです(爆)。

私が思ったのは、血液型のA型にA×AとA×Oの組み合わせがあるように、 男×男  女×女  男×女  女×男の4種類の脳が確立として発生するんだよ。恋愛の志向とは一致しないまでも。
私は、男×女だね。胎内で女性ホルモンを多く浴びると人差し指が長く、男性ホルモンを多く浴びると薬指が長くなるというのが、科学的立証されてて、女性は人差し指が長く、男性は薬指が長い人が多いそうだが、私は人差し指より薬指が長い。良く母親に「お前は付いてるはずのものがついてないで生まれて来た」っていわれたもんね。全く女らしくないのよ〜がまん顔
でも全く同性に恋愛感情は抱いたことないし(オスカルよりアンドレが好き)、男×男の異性も苦手で、なんでか腐女子脳なんだよね。これも自然界にとって意味があるに違いない。ないと思う。ないんじゃないかな。まちょっとは覚悟しておく。

○ハンドルの遊び説
この本を出版するにあたり筆者は、男性同性愛者の方に感想を求めたそうです。その方は、達観したように「自分たちの存在はハンドルの遊びのようなものだ」と、存在意義の答えを導き出していたそうです。
獣は病気や怪我の仲間を見捨てるしかないけど、人間は病気の仲間を助けたくて、医学が発展したんだよね。つまり一見生産性のない患者がその後の医学の発展に寄与したんだよね。
世の中、全部右利き用にした方が物を作る上で効率いいけど、でも左利きの人がスポーツで優れた才能を発揮したりするよね。
色々自分と違う特性の人がいてこそ、多様な人の存在を知り、共存共生を図ってきたから、人類は繁栄して来たんだよね。人間誰しもどこかマイノリティーだし、所属集団によっていつ自分がマイノリティーになるかわからないから、マイノリティーを排除しない世の中の方が安心だよね。
「ハンドルの遊び」が必要なのってそういうことじゃないかな。
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