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2015年02月24日04:07

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ルーンクエスト・ワールドガイド6【歴史時代〜第1期〜】

●曙の時代(太陽暦0〜450年)
大暗黒が終わり、混沌と戦った諸種族は共同で「世界同朋評議会」(第一評議会)を立ち上げた。
それはドラゴン・パス地方に作られ、数世紀の間、周囲に影響を与え続けた。
しかし、やがて意見の対立や過去のしがらみなどで評議会は分裂し、本拠地を北のドラストールへと移して新たに「ジェナーテラ大陸最高評議会」(第二評議会)が立ち上げられた。

第二評議会はすでに「曙」から得た第一評議会の理想と理念を見失っており、もはや全種族が参加しているわけでもなく、指導者は勢力範囲を広げることに腐心するようになっていた。
北方ペローリア地方の騎馬民族をペント地方まで退け、ダラ・ハッパ地方を遊牧民たちから解放するが、彼らは武装蜂起による独立を宣言した。
第二評議会の指導者は神ならぬ身による統治に限界を感じ、人工の神を創造して統治することを計画した。
評議会に属していた多くの者が抗議し、またトロウルやドラゴニュートが離れていったが、現地のダラ・ハッパ人は賛同し、中心となって計画に参加していった。

そして、試行錯誤の実験により、“偽宇宙卵”というものの創造に成功した。
まだ盟約が始まって間もない世界は、いまだエネルギーが完全に形として固まっておらず、神話の時代ほどではなかったにしろ神秘に満ちていたのだ。
賢者たちはその“偽宇宙卵”から「オセンタルカ」を生み出し、“輝くもの”ナイサロールと名付けた。
この神が生み出された瞬間、世界は激しく動揺し、太陽すら一時中天に静止したという。

ナイサロールはラーショランという神の教え“啓発”を復活させ、領内の人々の心に寛容と融和をもたらし、多様性を受け入れる精神的土台を築くよう教化していった。
その教えは「謎かけ師」と呼ばれる宣教師たちによって大陸中に広められ、世界に平和と繁栄を築く一方、ナイサロールは彼の教えに反対して去っていったトロウルとドラゴニュートに呪いをかけた。
ドラゴニュートへの呪いは一頭の真のドラゴンが喰らったが、トロウルへの呪いは母神カイガー・リートールの魂の一部を破壊した。以後、健康なトロウルの代わりにかなりの確率で貧弱なトロウルキンが生まれるようになった。

ラリオスの領主に、アーカットという者がいた。
西方ではマルキオン教という、聖者マルキオンから生まれた唯一神教が信じられていた。
彼の領内に“謎かけ師”がやってきた時、急速な改宗と伝播に不審を抱いた彼は調査によって、“謎かけ師”たちが自ら疫病を広め、それを治すことで民衆の支持を得ていることを突き止めた。
彼はナイサロールが混沌の光の神であり、真の正体は“裏切り者”グバージであるとした。そして、第二評議会に対抗する為に大陸中を旅して軍勢を興し、仲間を集めていった。

仲間は主にマルキオン教諸国から集まり、フロネラの高名な剣豪にして親友“哄笑の戦士”テイロール、セシュネラの英雄“炎の剣もつ”ガーラント王やアロラニートの不老の領主たるタラー(支配者階級のこと)、マラスカン・フィリッペなど名だたる将軍たちとともに戦争に臨んだ。
これが、後の世に言う『グバージ戦争』である。

しかし、強大なナイサロールと第二評議会との戦いは熾烈を極め、グバージ戦争は次第に長期化の様相を呈していた。
長引くにつれ、アーカットはより強い力を求めるようになっていった。そして、ついにアーカットは禁断の背教の道へと傾いた。
彼は西方の洗練されたマルキオン教を捨て、蛮族との友誼を通じて戦の神フマクトへと入信した。さらにフマクトの剣の道も極めると、次に暗黒の戦神ゾラーク=ゾラーンへと入信した。
吟遊詩人はこの物語で、孤立と力への葛藤に苦悩するアーカットや、背教に走るアーカットへの友情と故郷への愛に板挟みになる親友たちの嘆きという見せ所をいかに表現するか技量を問われるという。

アーカットはその変節と裏切りからいくつものカルトに入信し、その奥義を極めていく過程で英雄界や神界の秘密を解明していった。
“大いなる盟約”と「時」の束縛を超え、神々の奇跡を模倣し、神話の出来事に干渉し、またその神秘であるルーンの力を入手する手段を確立した。これをヒーロークエストという。

ヒーロークエストを通じて強大な力を得たアーカットは、ついには暗黒の秘儀によって人間であることも捨て、女王種トロウルへと変じるとトロウルだけを率いて第二評議会のあるドラストールへと進軍した。
そこはむき出しとなった混沌によって人間では耐えることができず、トロウルだけが耐えることができた。
アーカットは「夢の塔」でナイサロール/グバージと対峙、アダマント製の剣「壊れずの剣」(フマクトの息子とも言われる)でグバージと一騎打ちし、打ち倒して五体をバラバラに引き裂いて封印した。

ドラストールは1000年経った現在も、おそましい混沌の怪物が這い回る沼沢地となっている。
また、アーカットはトロウルの王としてラリオスに暗黒帝国を開き、孤独と自責の念に苛まれながら晩年を過ごしたという。
伝承において、トロウルからは人間を欺いてトロウルに魔道を伝えた偉大なトロウルとされ、人間からは愚かな人間がいまだにアーカットに騙されているとされる。

蛮族の間では、グバージを造ったのはオーランスの司祭ロカマヤドンと伝えられている。
彼は強く賢かったが、驕りによって敬神の情を忘れ、まがいものの神を造ったという。
また、彼は「新たな風」という教団を作り、偽のオーランス信仰を広めた。
しかし、裸足のハルマストという正しい信徒が現れ、“光持ち帰りし者たちの探索行”のヒーロークエストを達成してアーカットという勇士を英雄界から連れ帰った。
間違いを犯したのがオーランス信徒ならば、間違いを正すのもオーランス信徒である。
(オーランスの伝承)

―こうして、第1期の曙の時代は終わりを告げた。

●歴史時代〜第2期〜へと続く
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