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2020年01月29日23:02

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M.Caillaudレトロプロブレム傑作選(21)

(20)Michel Caillaud(Europe Echecs 310 10/1984, Com)
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H#1.5* (12+13)

 どう見てもcastlingの可否が問われているのだが、それが可能なのは本手順だろうか、それともセットの方だろうか?それを知る為には、この局面に至る手順を明らかにする必要がある。

 なくなった駒は白がQSSPの4枚で、黒はSSPの3枚。白はb-d筋でPで3枚駒取りをしており、駒取りはこれで尽きている。黒もc筋とg筋でそれぞれ1枚ずつ駒取りをしているが、白はこれ以上駒取りできないことを考慮すると、e,f筋の黒Pはcross captureしていたことになり、黒側の駒取りもこれで尽きている。双方とも撮られた駒の中にはPが含まれるが、これらが直進途中で取られる筈はないから、a筋の黒Pとh筋の白Pはいずれも成っていることも判明した。

 では、現在白番だとし、黒の0-0-0が可能だと仮定して、逆算手順がどのようになるか考えてみよう。すぐ分かるように、動かせる駒は白Kと黒Bしかない。よって、白Kをc6に挟み込んで白Rb5を解放し、これをh8でunpromotionするというのが目標となる。すると、逆算手順は次のようになる筈だ。

Retract:1...Ba5-b4 2.Bb8-a7 Bb6-a5
3-11.Kb4-a3-a2-b1-c2-d1-e1-f1-g1-h1 Ba7-b6

(図1)
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 ここまで紛れるところはない。そしてここからの逆算も 12.Ka5-b4 Pg4-g3
13.Ka6-a5が必然だが、ここで黒にはKを動かす以外に合法な戻し手がない。つまり、白番の場合の0-0-0はillegalであることが証明された。

 しかし、もし出題図が黒番だったとしたらどうだろうか。この場合は同様に戻すと、次のような局面に到達する。

(図2)
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 図1との違いは黒Bがa7にいるか、それともb6にいるか、たったそこだけである。しかし今度は、11.Ka5-b4 Ba7-b6+ 12.Ka6-a5 Pg4-g3 13.Kb7-a6...と逆算することができるので、当初の予定通り白Rb5を解放することが可能になる。つまり、こちらは0-0-0が合法なのだ。
 まとめると、作意順は
Set:1...0-0-0 2.Rb8#
1.d6 Bf7 2.Rb8#
となる。
 白Kと黒Bのタイミングが合うかどうかで、castlingの可否が決定するという本局、面白いと思いませんか?

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 楽しみにされていた方がいらっしゃるかもしれませんが、一寸仕事が忙しくなってきたので、この連載はしばらくお休みします。再開は4月頃の予定です。

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