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2019年11月06日21:50

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M.Caillaudレトロプロブレム傑作選(10)

(9)Michel Caillaud (Die Schwalbe 84 12/1983, 3rd Prize)
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#1 (14+11)

 なくなった駒は白がBPの2枚で、黒はQRSPPの5枚。また白側の駒取りはb-e筋でのPによるものが4枚で、黒はPd3とPf4によるもので尽きている。ここからh筋の白Pは成っていることが分かり、白Pによる5枚目の駒取りがg筋であったことや、h筋の黒Pが直進して成っていることも判明した。

 さて、左下の膠着状態をどうやってほぐすかが問題である。しばらく図を眺めていると、b1に何か黒駒を置いて、Sd1-b2 Pb2-b1=? という逆算が見えてくるが、この黒駒は右の方から侵入してくるのだから、Bだとすぐに分かる。そしてこの黒Bを盤上に発生させるにはh筋の白Pがuncaptureする他なく、その前にh筋の黒Pの成も戻さなくてはいけない。双方の成駒はそれぞれSb1とSe5であることが明らかなので、逆算は以下のような感じになる筈だ。

Retract: 1...Sf3-e5 2.Sd2-b1 Sh4-f3 3.Sf3-d2 Sf5-h4 4.Sg5-f3 Sg3-e2
5.Sh7-g5 Sh1-g3 6.Sf6-h7 Ph2-h1=S 7.Sg8-f6 Ph3-h2 8.Sf6-g8 Ph4-h3
9.Sg8-f6 Ph5-h4 10.Pg7-g8=S Ph6-h5 11.Pg6-g7 Ph7-h6 12.Ph5xBg6
Bf5-g6 13.Ph4-h5 Bg4-f5 14.Ph3-h4 Bd1-g4 15.Ph2-h3 Bc2-d1 16.???

(図1)
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 ところが、この逆算だと1手足りない。黒Bがb1に辿り着く前に白の逆算手段が尽きてしまうのだ。これは黒から逆算を始めたせいではないし、黒Bを取る枡をg4にしても同じである。しかし、これを解決する方法は、案外シンプルなものである。

Retract: 1...Sf3-e5 2.Sd2-b1 Sh4-f3 3.Sf3-d2 Sf5-h4 4.Sg5-f3 Sg3-e2
5.Sh7-g5 Sh1-g3 6.Sf6-h7 Ph2-h1=S 7.Sg8-f6 Ph3-h2 8.Sf6-g8 Ph4-h3
9.Sg8-f6 Ph5-h4 10.Pg7-g8=S Ph6-h5 11.Pg6-g7

(図2)
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 ここまではさっきと同様に戻すが、ここからの数手が肝心である。

11...Pf5-f4 12.Ph5xBg6 Bh7-g6 13.Ph4-h5 Pg6xBf5 14.Bg4-f5 Pg7-g6

(図3)
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 気付いてみれば何のことはない、黒もuncaptureしてくれれば良かったのだ。これで白が手詰まりになることはなくなった。尚、白Pをh4にとどめておくのも地味ながら重要なポイントで、意味は後になって判明する。

15.Bh5-g4 Bf5-h7 16.Bg6-h5 Bg4-f5 17.Bh5-g6 Bd1-g4 18.Bf3-h5 Bc2-d1
19.Be2-f3 Bb1-c2 20.Bf1-e2 Bc2-b1 21.Pe2-e3 Bb1-c2 22.Sd1-b2 Pb2-b1=B+
23.Se3-d1 Kd1-c1 24.Sf5-e3....

(図4)
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 b2にいた白Sを外へ脱出させるにはPe3を下げておく必要があり、そうすると白Rをh1に戻す為にはPh4はこれより下げることができない。これで左下をほぐすことに成功したので現在は白番であり、1.Bd2# (1...Rxc4#?? but illegal!)が作意と言うことになる。
 尚、熱心家は図4からどう戻したら黒Kが脱出できるのか、更に逆算手順を考えてみて欲しい。
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(10)Jacques Rotenberg, Michel Caillaud
(Europe Echecs 259 07/1980)
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#3 (12+10)

所謂“Mutually exclusive castling”というもの。どちらか一方にしかキャスリングの権利がないことを示し、それを利用して黒Kを詰めて下さい。
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