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2019年10月23日21:52

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M.Caillaudレトロプロブレム傑作選(08)

(7)Michel Caillaud (Die Schwalbe 70, 08/1981)
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#1 (13+12)

 オリジナルの白Bc1は初形位置で取られているので、なくなった駒は白がQBPの3枚で、Ba7は成駒である。一方黒は、RSPPの4枚が取られている。又、黒側の駒取りはPb6,Pd6によるものが2枚で、後は白Bc1で尽きている。すると黒Pe6は駒取りできないので、白Pe7は2枚駒取りをしていることになる。それに加えてPh5による駒取りが1枚あり、ここまでで3枚。更にc筋の白Pは、途中で駒取りをしてb6或いはd6で取られた
にせよ、直進して成ったにせよ、1枚駒取りをしているので、白側の駒取りも尽きている。従って、a筋の白Pは直進して成っている。つまり、白Ba7はc筋の白Pが成ったものであることが判明した。
 右上の膠着状態は、Pc7xd6と戻す以外に解消する手段がない。よって黒Bb8はb6を経由しており(d8-c7-b8というルートではなく)、左上の局面は
(1)黒Pc7xd6としてから白Pc7xb8=Bと成る
(2)黒Bをc7へ入れる
(3)黒Pa7xb6としてから、白Pがa8で成る
と進んで構成されたのだ。
 すると、最後に成った白駒はまだ盤上に残っている筈だ。盤上を注意深く調べると、その駒は白Sg7以外ないことが分かる。しかし、これを動かすには直後にg7を埋めてくれる黒駒が必要だ。これもまた、黒Sa6しかないことは明らかだ。では、直接それを狙いに逆算してみよう。すると例えば以下のような手順になる。

Retract: 1.Ph4-h5 Bc7-b8 2.Bb8-a7 Sb4-a6 3.Ba7-b8 Sc6-b4 4.Bb8-a7
Sd4-c6 5.Ba7-b8 Sf5-d4 6.Sh5-g7 Sg7-f5+

(図1)
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「あれ、案外簡単じゃないか」と思ったかもしれないが、勿論これでは失敗である。何故なら、黒Bb8の形で白Sをc7に入れた瞬間、黒が手詰まりになってしまうからだ。
これを防ぐ為には白Ph4の駒取りを戻せば良さそうなものだが、そうすると今度はg筋の黒Pが成れなくなってしまう(この黒Pは直進途中で取られることはないので、成っている)。
 しかしこのことに気付いたときに、正解も見えてくる筈だ。正しい逆算は以下のようになる。

Retract: 1.Ph4-h5 Bc7-b8 2-6.Bb8-a7 Sg1-f3-e1-d3-c5-a6 7.Ba7-b8
Pg2-g1=S 8.Ph3-h4 Pg3-g2 9.Pg2xSh3

(図2)
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 慌てずに、まずはg筋の成を戻すのが先決。g7に挟まるのは、g筋の白Pによって取られた黒Sの方だったのだ!

9...Sf4-h3 10-12.Bb8-a7 Sf5-h4-g6-f4 13.Sh5-g7 Sg7-f5+ 14.Ba7-b8
Bb8-c7

(図3)
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 この形なら、先ほどと違って白Sをc7に入れた瞬間、黒にはPg4-g3と戻す手がある。その後も、黒Bを動かせない状態のときはいつも黒Pを戻せば良い。

15-17.Sc7-d5-f4-h5 Pg4-g3 18.Sa8-c7 Bc7-b8 19.Bb8-a7 Pg5-g4
20.Pa7-a8=S Pg6-g5 21.Pa6-a7 Pa7xQb6...

(図4)
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 上の手順中で黒Bが動けない状態は3度あるから、これ以外の逆算では(例えば黒Pg4の状態で白Pg3xSh4などとしても)旨くいかないのは明らかだろう。以上より、現在後手番であることが示されたので、作意手順は 1...Qxg7# (1.exf8=S#?? but illegal!)というものになる。

 ちなみに、このような「白Ba7(b8)の形から、如何にして白Pの成を戻すか」というのも、L.Cerianiが追求したテーマの一つ。その一例として次図を挙げておこう。

(7-a)Luigi Ceriani(Europe Echecs 58 10/1963)
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Release the position(12+14)


Retract:1...Rg6-g7+ 2.Pd3-d4 Sd7-f8 3-9.Pd2-d3 Se5-d3-f4-xPh5-f4-d3-e5
-d7 10.Ph4-h5 Sd7-e5 11.Ph3-h4 Sb8-d7 12.Ph2-h3 Sa6-b8 13.Bd7-e8
Sc7-a6 14.Bb8-a7 Sa7-c8 15.Bc8-d7 Pf3-f2 16.Ba6-c8! Sc8-a7 17.Bb7-a6
Sa7-c8 18.Ba8-b7 Sc8-a7 19.Pa7-a8=B Pf4-f3 20.Pa6-a7 Sa7-c8...

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(8)Michel Caillaud (Die Schwalbe 74, 04/1982, 12th Com)
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H#2 (11+12)
b)Ph7→h6

これもキャスリングの可否を問う問題。0-0-0が可能なのはa),b)いずれの場合でしょうか?


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