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2019年10月16日22:44

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M.Caillaudレトロプロブレム傑作選(07)

(6)Michel Caillaud (Die Schwalbe 67 02/1981, 3rd Prize)
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R#1 (11+14)
b)Rf5→B

 明らかに、白のcastlingの可否が問題である。以下では「白はcastling可能」と仮定して、推論を進めていくことにしよう。

 なくなった駒は白がQRBSSの5枚で、黒はBPの2枚。白側の駒取りはb,c筋のPによるもので尽きていて、一方黒はPc6で1枚、Pe4で少なくとも2枚駒取りをしている。ではまず、白Pによる駒取りに注目してみよう。
 左下のように白Bをa2に潜り込ませるには、Pa2xc3xc4としてから白Bをa2に入れ、それからPb2-b3とするしかないことに気付くのが肝心である。この駒取りはいずれも白枡で起こっているので、黒Bg1が成駒ということはあり得ない(もしそうだとすると、白Pは初形で配置されていた黒Bを2枚とも取ったことになるから)。
 このことから、白Pg3,h3のどちらが先に動いたかが分かる。つまり、初形でf8にいた黒Bを白陣に潜り込ませるには、2枚の白Pがそれぞれg2/h3となっていなければならないのだ。h筋の黒Pは成っていることが明らかだが、この白Pの配置より、その為に駒取りが2回必要となる。以上より、駒取りはすべて判明した。(この時点ではまだ、黒Pe4がh筋のものでg筋の黒Pが成った可能性もあるが、いずれにせよ駒取りの総数は変わらない)

 この駒取りを更に細かく分析してみよう。白Pa2は黒Bc8を取っているのだから、このPがc4に辿り着く前に白は1枚c6に捨駒をしなければならないが、それがSであることは明らか。また、白は黒PとBが両方ともh2を通過からPg2-g3とし、この白Bをa2に持っていってからPb2-b3とするのだから、黒Bが侵入する前に白Bc1,Qd1が黒に取られることはない。従って、白のQとBを取ったのは黒Pe4ということになる。ところが、白Bは黒枡のものだから、g筋の黒PはPg7-g6-f5-e4というルートを辿ることはできない(ここから、黒Pe4がh筋のPではないことも分かる)。よって、黒Bf8はPe7-e6としてから外に出ることになる。すると黒としてはPd7xSc6としてBc8を出してから、Pe7-e6としてBf8を動かしたことになる。

 さて、ここで問題である。h筋の黒Pと黒Bは、どちらが先に白陣に侵入したのだろうか?

(図1)
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 一見、このような局面からSg3 Pxg3 Rh2 Pxh2 Pg3...と進めて良さそうなものだが、実はこれは不可能である。何故なら、Pxg3の局面は次にBxf2#迄の1手詰があるので、ReflexmateというルールによりRh2としてもPxh2とは出来ないのだ!という訳で、先の問いに対する答は「黒Pが先」ということになる。

(図2)
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 すると、上のような局面からSg3 Pxg3 Rh2 Pxh2 PxBb3 Ph1=Q PxQc4 Bh2 Pg3...と進展したことになるが、これだと白Bがa2に入る道は閉ざされてしまっている!以上より、a)では白の0-0-0はillegalであることが示された。従って、a)の作意は1.Rd1 Bxf2# ということになる。

 b)も同様に白のキャスリングがillegalになるように思えるかもしれないが、こちらには旨い解決策がある。白Sをc6ではなくf6に捨て、黒Bf8を右側から解放するのがそれで、今度はc6が塞がれていないので白Bはa2に到達できる。よって、b)の方の作意は b)1.0-0-0 Qb2#となる。

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(7)Michel Caillaud (Die Schwalbe 70, 08/1981)
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#1 (13+12)

 これも(2)と同様の手番問題。レトロ解析によって、現在どちらの手番なのかを決定して下さい。
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