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2019年09月18日22:19

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M.Caillaudレトロプロブレム傑作選(03)

(2) Michel Caillaud (Die Schwalbe 64, 08/1980)
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#1 (13+11)

 なくなった駒は白がQBPの3枚で、黒はRBSSPの5枚。黒側の駒取りはb,c,e筋での黒Pによるもので尽きている。すると黒Pa4は直進していることになるので、白Pa5は少なくとも2枚駒取りをしている。他にもb,f,g筋の白Pで合わせて3枚の駒取りがあるので、白側の駒取りもこれで尽きている。これより、d筋の白Pは直進して成っていることが分かるので、最終手はPd5xc4ではない。
 一方黒の方も、h筋のPが直進して成っている。この成駒は盤上に残っている筈で、それがQa6であることはすぐに分かる。この成を戻して黒Pを下げてから白Pg6の取りを戻し、黒Pg3を引き下げ、それから白Pg5xf6とすれば黒Kが解放され、以下局面をほぐすことは容易である。これで逆算の目標も定まった。
 黒Qa6を戻すルートはa7-b8-c7-d8-e7-f8...というものしかなく、この途中で白Kにチェックがかかるので、遮蔽駒も必要になる。これが白Sa1であることも明らか。よって、逆算は以下のようになる。

Retract:1.Sc2-a1 Qa7-a6 2.Se1-c2 Qb8-a7 3.Sf3-e1 Qa7-b8 4.Sh4-f3 Qb8-a7 5.Sf5-h4 Qa7-b8 6.Se7-f5 Qb8-a7 7.Sc6-e7 Qc7-b8 8.Se7-c6 Qd8-c7+ 9.Sf5-e7 g4-g3 10.Sd6-f5 Qe7-d8 11.g5-g6 Qf8-e7 12.Sf5-d6

 即ち、この局面は後手番である。よって最終的な解答は、1...Qxb5# (1.Rd6#?? illegal!)というものになる。


 本作に似た構造の作品を一つ挙げておこう。間違いなくCaillaudは、本作を知っていた筈である。尚、Ortho-reconstructionは、詰将棋のばか千日手によく似たルールで、「将棋流に数えて奇数手で、局面を完全に復元させるような手順を求めよ」というものである。

(2-a)Luigi Ceriani(Die Schwalbe 03-04/1949, 2nd Prize)
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Ortho-reconstruction, n=53.5 (11+13)

1-9.Rh2 Sbc3-a4-c5-a6-c7-e8-g7-h5-f4 10-13.Rh1 Bh2-g3-h4-g5
14-20.Rh1 Sh5-g7-e8-c7-a6-c5-b3 21-23.Rg1 Be3-c5-b4
24.Rh1 Sd4 25-29.Rg1 Bc3-a1-b2-c3-b4 30-36.Rh1 Sb3-c5-a6-c7-e8-g7-h5
37-40.Rg1 Bc5-e3-g5-h4 41.Rg1 Sf4 42-44.Rh1 Bg3-h2-g1
45-53.Rg1 Sh5-g7-e8-c7-a6-c5-a4-c3-b1 54.Rh1

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(3) Michel Caillaud (Die Schwalbe 66, 12/1980)
dedicated to L.Ceriani
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Release the position (11+10)

「局面をほぐせ」という問題。黒Kの侵入経路はどのようなものだったのでしょうか?
ちなみに、一般にこの条件下では、逆算手順は完全限定ではありません。

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