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2019年04月30日22:31

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温故知新(詰パラ526号)

 今日読んでいるのは、詰パラ526号(平成12年1月号)。短期段位認定特別懸賞問題として、「ルートファインディング」が出題されている。早速分析してみよう。

波崎黒生「ルートファインディング」
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(詰パラ 平成12年1月号、第39期看寿賞)

66銀、同玉、69香、イ68歩、同香、同桂成、58桂、同桂成、

イ同飛成は75馬、同玉、74龍以下。
イ67合は78桂、77玉、86馬迄。

 これしかないとはいえ、3手目69香は心理的に打ちにくい。とはいえ、57とが動くと56龍以下簡単なので、この展開は妥当なところ。問題はここからだ。

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67歩、77玉、A95馬、ロ67玉、B94馬、ハ85歩、C12馬、ニ45と、85馬、66玉、

A86馬は同玉、84龍以下作意通り進み、1歩不足で逃れ。
ロ86歩は同馬以下作意に短絡。
B12馬は45と、94馬、66玉で逃れ。
ハ66玉は67歩、77玉、44馬、同銀、78歩以下。(⇔B)
ハ76合は同銀、同歩、65龍以下。
C85馬は66玉で6手目前の局面と同一。
ニ45歩は85馬、66玉、75馬、同玉、74龍以下。
ニ66玉は56龍、77玉、67龍、同と、78歩以下。

 Aとロを比較すれば分かるように、86玉の形で持駒が歩1枚なら逃れで、歩2枚なら詰み。しかし、足りない1歩をどこで稼ぎ出すのか?44馬と切って良いなら簡単だが、それだと同飛成で84龍と回れなくなってしまう。
 作者によるその回答は「馬鋸」だ!左右の馬を巧みに操りながら、11馬に鋸引きをさせるのだが、当然のことながらそのタイミングは完全に限定されている。当たり前だと思われるかもしれないが、2枚の馬が完全に独立して動けることを考慮すれば、それがいうほど簡単ではないことはご理解頂けるだろう。4筋のと金が上下する形も見慣れているので気付きにくいが、45歩合の変化処理も自然で巧妙だ。

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D67歩、77玉、22馬、ホ44と、95馬、67玉、94馬、85歩、23馬、45と、
85馬、66玉、

D22馬は44歩、67歩、同とで逃れ。
ホ44歩は同馬、同と、86馬以下。

 今度は45と型になっているので、先に22馬とすると44歩合で逃れ。この辺の手順前後を許さない仕掛けは実にうまくできている。先ほどと同様にして更に馬鋸をすると、11馬が23迄移動したことになる。

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67歩、77玉、86馬、同玉、84龍、85金、同龍、同玉、41馬、52歩、
同馬、同銀、86歩、同玉、87歩、85玉、95金迄47手詰。

 しかし、そもそも何のために馬鋸をしているのか?それは、39手目に41馬とするためだったのだ!この手が見えたとき、やっとこの作品の全貌が掴めたことになる。独創的な構成と、それを成立させる確かな創作技術。本作は、波崎氏の代表作の一つだといえよう。

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