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2017年04月22日23:17

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Retros on Weekends(14)

(13)Niels Høeg(The Chess Amateur 1923)
フォト
白が1手戻し、それから#1にせよ(9+15)

 白からの1手詰は1.Qd1#に違いない。だが、白はそうせずに別な手を指した為にこの局面に至ったというのが問題設定だ。では、白の最終手は何だったのだろうか?その答は、局面を精密に分析することで徐々に明らかになる。

 まず、なくなった駒は白がBBSSPPPの7枚で、黒はS1枚のみ。黒Pa3はe7から来ているので、このPだけで4枚駒取りをしている。b筋でも1枚駒取りをしているので、結局黒はPで計5枚の駒取りをしていることが分かる。
 次に考えるのは、左上の塊のほぐし方だ。Pb2-b4と戻して黒Kを解放するしかないが、ここで一つ考慮すべきことがある。白Bc1が原型位置で取られた可能性はあるのだろうか?もしそうだったとすると、黒に残された駒取りはあと1枚。従って、f-h筋の黒Pはいずれも直進していることになる。だが、もしそうだとすると、f-h筋の白Pはどこへ消えたのだろうか?白に許された駒取りは1枚しかないので、成ることができる白Pは1枚しかない。しかし、成ることができない残り2枚の白Pは盤面の左半分のどこかで取られることもかなわない。従って、白Bc1が初形位置で取られたことはあり得ないことになる。そして同様の議論により、Pb2-b4と戻す前に白Ra1も戻しておかないといけないことも分かる。ここまできてやっと、この作品のミッションが判明した。それは「黒がretro-stalemateに陥る前に白のRとBを戻し、Pb2-b4とせよ」というものだ。

 しかし、黒Kを自由にすればそれで一件落着という訳でもない。Pb2-b4として黒Kを解放したあと、どうやったら白Kはa8から脱出できるのだろうか?左上のほぐし方をもう少し丁寧に考えてみよう。黒Qa5と白Ra6を動かしてから、うっかりPa6xb5??としてしまうと、白Kは永久に初形位置に戻れないことになってしまう。ここはSa6-b8からBb8-a7としておいてPa7xb6とするのが肝心で、これにより2枚の黒Rはいずれも白Kと干渉しないよう外に出ることができる。
 するとここで、重要なことに気付く。ここまで判明した黒Pによる駒取りは、いずれも黒桝なのだ!従って、白Bf1を取ったのはf-h筋の黒Pのいずれかであり、これらの黒Pのうちのどれかが白Bc1もuncaptureしないといけないから、a1に戻すべき白Rは現在d8にいるものであることが分かった(つまり、このRは成駒ではない)。
 これで黒の駒取りは尽きている。ということは、f-h筋の白Pは直進途中で取られたのではないのだから、いずれも成っていることになる。だが、白に許された駒取りは1枚のみ。これより、黒がcross captureしていることが判明した。cross captureに関与していない黒Pは直進しているのだから、その黒Pの対面の白Pは駒取りをして成っている筈だ(これが白の唯一の駒取り)。そして、残り2枚の白Pは、駒取りをせずに成っているのだ。

 分かり易いように例を挙げると、例えばPg4,h3/Pg5,h4で
々Ph4xg3とする
白Ph3が成る
9Pg5xh4とする
でPg4も成る
というような感じだ。
 ということは、逆算手順はこれを反転させたものなのだから、少なくとも1枚白駒の成りを戻さないと、黒のuncaptureもできないことになる。勿論、成りを戻すのは白Qだ。2枚目の成りを戻す白駒は存在しないので、結局黒は白の黒桝Bしかuncaptureできない。あとは、f-h筋のどこを通して白Rd8をa1に戻すかということを考えることになる。結論を言うと、それはh筋だ。その場合の逆算手順は次のようになる。

Retract:1.Rh8-d8 Pg3-g2 2.Qd5-g1 Ph3-h2 3.Qg8-d5 Ph4-h3 4.Pg7-g8=Q Ph5-h4 5.Pg6-g7 Ph6-h5 6.Pc2-c3 Pg7xBh6 7.Be3-h6 Pf3-f2 8.Rh1-h8 Pf4-f3 9.Ra1-h1 Pf5-f4 10.Bd4-e3 Pf6-f5 11.Bb2-d4 Pf7-f6 12.Bc1-b2 Pg4-g3 13.Pb2-b4...

 従って作意は、-1.Rh8-d8&1.Qd1#となる。もし、Retract:1.Rf8-d8??と戻して、その後この順と同様に戻そうとするとどこに矛盾が生じるのか、これは読者の皆さんへの宿題としておこう。

 尚、興味深いことに、本作にはHannu Lehtoによるversion(オリジナルの発表後80年以上も経ってから!)が存在する。詰将棋で言うなら、「図巧」や「無双」の中の一作品とほぼ同様の構図を用いた作品が新作として発表されたようなものだろう。こういうのも許容するプロブレムの世界というのは、なかなかに懐が深いというべきか。

(13-a)Hannu Lehto(Thema Danicum 123 07/2006)
after Niels Høeg
フォト
白が1手戻し、それから#1にせよ(9+15)

 ちなみに、こちらの作意は、Retract:1.Qa1-g1 and 1.Qd1#である。

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(14)Mark Kirtley(StrateGems 10 04-06/2000, 3rd HM)
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Proof Game in 19.5 moves(15+15)

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