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2017年02月28日22:19

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「カピタン」研究(88)

 なにやら訳の判らぬSeparationも、次の例題を見て頂ければ「なるほど、Separationとはいう云うことか」と感心されるかもしれない。これもSeparationの一表現形式である。いかにも様式の曲詰的な作品ではある。

(C)Arthur Robert Gooderson
American Chess Bulletin 1952
フォト
#2(6+9)

1.Sg4! (2.Rxe5#)
1...Qe8 2.Qd5(A)/Sg5(B)/Rf4(C)/Re3(D)#
1...Qc3 2.Qd5(A)/Sg5(B)/Rf4(C)#
1...Qh2 2.Qd5(A)/Sg5(B)/Re3(D)#
1...Qe7 2.Qd5(A)/Rf4(C)/Re3(D)#
1...Qe6 2.Sg5(B)/Rf4(C)/Re3(D)#
1...Qg6 2.Qd5(A)/Sg5(B)#
1...Qf4 2.Qd5(A)/Rf4(C)#
1...Qf6 2.Qd5(A)/Re3(D)#
1...Qd4 2.Sg5(B)/Rf4(C)#
1...Qd6 2.Sg5(B)/Re3(D)#
1...Qh5 2.Rf4(C)/Re3(D)#
1...Qd5 2.Qd5(A)#
1...Qg5 2.Sg5(B)#
1...Qc5 2.Rf4(C)#
1...Qf5 2.Re3(D)#

 詰方の「Re5まで」の狙いを外して玉方Qを逃げると全部で15通りのQの逃げ方に応じて(A)(B)(C)(D)の4通りの詰め方が全組み合わせ的に成立する珍作品。創作はすごく難しいと思われる。


2)Dual Avoidance(複数の詰め方回避のテーマ)

 Dualは攻め方の選択によって生じる複数の詰め方のこと。(余詰のこともDualと云う)このテーマの意味は、或る玉方の応手に弱点が有って、一見すると何通りもの詰め方が成立するようだが、その応手の一寸気が付き難い効果のため、結局、詰手順は1通りに限定されていると云う構成を表現するものである。Dualが成立しそうでしない微妙な味がDual Avoidanceの狙いである。もちろんこのような玉方応手は1回だけでは駄目で、1局で何通りもDual Avoidanceを対比的に表現するのである。

(D)Petrus Overkamp
Probleemblad 1951
フォト
#2(10+11)

1.Rg6(2.Rd8#)
1...Pxd4 2.Qg5#(A)
1...Sbxd4 2.Se3#(B)
1...Sexd4 2.Bc4#(C)
1...Bxd4 2.f4#(D)
1...Rxd4 2.g8=Q#(E)

 初手の狙いを外すため、玉方はPd4を取ってしまう。何で取っても(A)-(E)の5通りの詰め方が成立しそうだが、詰手順は各々1通りに限定され(Dual Avoidance)、しかも各々違っているのがこの作品のイノチ。

 Separationは微妙なテーマで、作者の苦心の割合には評価され難い(解答者にそれと判らぬ場合さえある?)のではないかと思う。Separationには他にも色々と表現の形式があるが、一応ここらにしておきたい。

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