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2016年11月28日22:52

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楽しいレトロプロブレム(最終回)

(100)Rene J. Millour(Rio 2009 Sake Tourney, Special Prize)
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H#2 (9+7)
Invisibles 2+8

1.Ixg4 Kc1 2.Qa4 cxb8=S#

 実に白黒合わせて10枚もの透明駒の正体がたったの2.0手で全て判明するという、信じ難い作品。以下、その論理構成を丹念に追ってみることにしよう。

 まず、初形が黒番であることからf2又はg3に少なくとも1枚透明駒があることは明らか。取り敢えずここから1.Ixg4 Kc1 2.Qa4!と進めてみることにしよう。黒の2手目から初手の駒取りがen passantだったことが証明できるのは、前作で予習済み。また白の初手がcastlingであることから、白の透明駒のうち1枚はRa1であることが分かる。
 ではここで、出題図の0.5手前の局面に遡ってみよう。

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(赤枡は透明駒が判明した箇所)

 するとここから、実に多くの情報を引き出すことができる。まず、白Bd3,黒Bh1はいずれも成駒である。この成駒を作るのに、黒は最低5枚白駒を取らなければならない。ところが現在盤上にある白駒は可視駒が9枚+透明駒2枚で合計11枚。即ち、黒駒の駒取りはこれで尽きている。しかし白Bf1は原型位置のまま黒Pに取られる筈はないので、これは今も存在している!つまり白の2枚目の透明駒はBf1である。

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 更に分析を続けよう。これで白の駒は全て判明したのでQh4の利きを遮っていたのは黒の透明駒である。en passantが可能だったことからそれが存在するのはg3ではなくf2であり、尚且つ白のcastlingを妨げないとなると、これはRしかない。

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 今度は白Bd3について考えてみよう。現在盤上にある黒駒は可視駒が7枚+透明駒8枚で合計15枚。ということは、白は一枚しか駒取りすることができない。従って白の成Bは、f筋の白Pがe8又はg8で駒取りをしてできたものである。ということは、黒Bf8は取られていないということになり、これで黒側の透明駒は3枚目まで判明した。

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次に目を左側へ転じてみよう。前述の通り、既に黒の駒取りは尽きているので、a-b筋の黒Pは駒取りをしていない。又、白もこれ以上の駒取りはできない。従って、これらの黒Pは正面の白Pとすれ違うことはできず、a筋の黒Pはa5かa7に、そしてb筋の黒Pはb7にいることが確定する。(2.Qa4によって、a4にはいないことが証明されている)これからBc8も判明し、更にPa7ではRf2がillegal positionになるのでPa5も証明できた。更に、Bd3の利きを止めるためにSb5も必要。これでとうとう黒側の透明駒も7枚証明できた。

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 ここまでくれば、もう後は簡単だ。外出できないもう一枚の黒Rは白Pに取られたのだとすれば、残った黒駒はS1枚のみ。これがb8にいたということを2...Pxb8=S#によって証明し、全ての透明駒が判明した。
 透明駒とレトロ解析を組み合わせ、これほどまでに重厚かつ綿密なロジックを組み立てた作者に、心から敬意を表したい。傑作!
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