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2016年11月26日22:40

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楽しいレトロプロブレム(66)

(99)Dmitro W. Pronkin, Andrej N. Frolkin (Die Schwalbe 117 06/1989, Prize)
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Proof Game in 57.5 moves(14+14)

 まず、盤面に双方合わせて16枚ものRがあることに驚かされる。このうち12枚は成駒だが、取られた駒はたったの4枚。果たして、これだけの駒取りで成駒を12枚も発生させることが可能なのだろうか?
 しかしよく考えてみると、これは確かに可能である。以下の配置を見て頂きたい。

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 このような配置から、例えば白Pa2が直進して黒Pb7を取れば、2枚の白Pはどちらもb8で、そして黒Pa7もa1で成ることができる。このようにして、1枚の駒取りで3枚の成駒を作ることは可能である。なくなった駒は4枚だから、確かに12枚の成駒を作ることが可能であること、そして取られた駒はすべてPであり、R以外の駒はどれも初形位置で配置されていたものであることが分かった。つまり、このような駒取りと成が、a-b筋、c-d筋、e-f筋、そしてg-h筋の4つのエリア(これらを順に、エリア機銑犬般症佞韻襪海箸砲靴茲Α砲乃こっているのだ。このうち2つのエリアでは白の成Rが2枚、黒の成Rが1枚発生し、残りの2つでは逆に白の成Rが1枚、黒の成Rが2枚発生している。また、双方の成場所が必ず異なる筋となることも重要な事実だ。

 ではこれから局面を丹念に分析し、判明する事実を積み重ねていくことにしよう。

Fact 1 黒はcastlingしている

 出題図においては、1段目の黒Rも8段目の白Rもない。ということは、同じ筋で2枚Rに成る際、最初に成ったPは成る迄に5手、そして成ってから2手、つまり最低でも7手動いていることになる。後で成る方のPは6手の可能性があるが、ではこのような6手の成Rは何枚あるのだろうか。実際に考えてみると、これが意外に少ない。黒Rは全部エリア靴鉢犬砲△襪、6手の成Rは各エリアに高々1枚しかないので、あっても2枚。ということは、残りの成Rは全部最低7手動いており、これだけで6×2+7×4=40手かかっている。他の黒駒の手数はそれぞれQが1手、Bが1+2=3手、Sが3+4=7手で、ここまでで51手。すると黒に残された手はあと6手だが、もし黒がcastlingしていないとするとKだけで4手かかるので、初形で配されていた黒Rはそれぞれ1手ずつしか動けない。よってRa8がg8へ、そしてRh8はh5に動いたことになる。すると黒Rg7はPg7が6手動いてここに来たことになり(黒はエリア靴鉢犬飽賈腓困6手の成Rを持たねばならない)、成り場所はg1。すると白の成り場所はh8となるが、これは黒Rh8-h5という手と矛盾する。よって黒はcastlingしていることが分かった。この場合、Kが0+2手、Rが1+3手(又は2+2手)で57手ちょうどとなる。従って、なくなった黒Pはいずれも初形位置で取られていることになる。

Corollary 1-1 黒P2枚はいずれも初形位置で取られている
Corollary 1-2 黒駒はいずれも最短手数で動いている


Fact 2 エリア機a-b筋)における成場所はa1/b8である

 黒Kにチェックがかかってしまう為、黒がcastlingしてからだと白は成れない。よって白の成り場所はb8であり、これより黒の成り場所はa1と確定する。(このように、双方の成る筋は必ず異なることに注意!)また、白Ra1は最低2手動いていることも分かる。


Fact 3 白駒もすべて最短手数で動いている

 エリア気砲6手の成Rがないので、この時点で白の成Rには最低でも6×3+7×3=39手かかっている。他の白駒の手数はそれぞれQが3手、Bが2+2=4手、Sが2+4=6手で、ここまでで52手。castlingしていないとすると、Kに2手(Ke1-f1は不可能!)、Rに2+2=4手で58手ちょうど。一方、castlingしているとすればKに0+1手、Rに2+2=4手で1手余るように見えるが、この場合はRf2がcastlingしたRだとすれば6手の成Rが1枚減り、Rf2が6手のものだとしても、その時にはcastlingしたRがそのあと更に2手動いているので、どちらにしても58手になる。手数計算だけでは白がcastlingしているかどうかは判断できないが、いずれにせよ、他の駒は最短手数で出題図の位置に到達していること、そしてなくなった白Pはいずれも初形位置で取られていることが分かった。

Corollary 3-1 白P2枚はいずれも初形位置で取られている


Fact 4 エリア掘e-f筋)ではf8で白の成Rが2枚、e1で黒の成Rが1枚発生している

 エリア靴2枚成駒を作ったのは白である。何故なら、もし黒が2枚成Rを作ったとすると白Pe2又はPf2が不動のまま取られたことになるが、どちらのPを取られた場合も白はcastlingできず(駒取りをした黒Pと同じ筋の白Pは、黒が駒取りをするまで動けない!)、そのうえ白Kが3手以上動かなくてはならないからである。これより白は黒Pe7,f7のどちらかを取っているが、いずれにせよそれは黒のcastlingの後である。
 また、白が成ったのはf8で、黒が成ったのはe1であることも分かる。何故なら、もしf筋の黒Pがf1で成っているとすると白Kは2手以上動くことになり、かつ白の成り場所はe8になるが、そうすると白はこのエリアに6手の成Rを作れず、手数オーバーとなるからである。

Corollary 4-1 f8での成は黒のcastlingの後である


Fact 5 エリア検g-h筋)における成り場所はg1/h8である

 手数を考慮すると、白Rh6は6手のものでなければならない。従って白が成ったのはh8であり、黒の成り場所はg1である。このエリアには黒の方も6手の成Rが必要だから、Rg7がそれである。

Corollary 5-1 Rg7はg1で成った後1手でg7に動いている


Fact 6 エリア供c-d筋)で取られたPはPc2,Pc7のいずれか

 このエリアから得られる情報が最も漠然としている。どれかの白Rが6手のものだということが分かるだけで、どちらの成のタイミングも、そして成り場所も確定しない。ただ、それでも「このPは取られていない」というのは分かる。それは白Pd2と黒Pd7だ。もし白Pd2が黒Pに取られたとすると、白Pc2が6手でRc3〜c5のどれかになっていることになるが、そうすると白Qd1が2手でc7に行くことはできない。また、白Pc6xPd7はチェックになるので、黒はcastlingできなくなってしまう。

 これだけ分析してもまだ不確定要素が多いが、ゆっくりと、しかし確実に歩みを進めていこう。


Fact 7 エリア気2枚成ったのは白である

 エリア気2枚成ったのは黒であると仮定する。

(A)白がcastlingしている場合

 その場合、Sa2はSb1が2手動いたものであることが分かる。(もしSa2がg1から3手かけて来たものであるとすると、Sd6はb1から3手で動いたものになる。ところがこれだと、白のcastlingの際に黒Rg7の利きを遮断する駒が存在しない)
 この白Sの動きとa筋の2枚の黒Pを考慮すると、Ra1はd3に行くしかないので、エリア兇惑鬚2枚成っていることになる(黒が2枚成っているとすれば、Rd3は成駒でなければならない)。従って、残ったエリア犬蝋が2枚成っている。
 さて、そうなると黒がcastlingする前に白はb8とc8で3枚成Rを作る必要がある。、更に3枚目の成Rを引いてから黒がcastlingする為にはSc5とするのが必然。すると、例えば以下のような配置になる。

(図2)
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 この後白がcastlingする為には黒がg1で2枚目の成Rをg7へ引く必要があり、更にその前に黒はPd7をd3まで運んでからBf8をd4に持っていかなくてはならない。ところがこれでは白はcastlingできない。


(B)白がcastlingしていない場合

 前述の通り、この場合の白Kの動きはe1-f2-f1となる。すると手数計算から、2枚目の成Rf8を1手でf2に引くことが必然となる。するとBc1はa3経由でf8へ行かねばならない。というのは、もしh6経由だとすると、Kf2,Rf8,Bh6/Rg1の形となり、このまま身動きが取れなくなるからである。
 白Bc1が動くまでは白Ra1も動けないので、Bをa3へ出すとa筋の白Bと黒Pはこのような配置に必ずなる。

(図3)
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 さて、ここから手を進めてKf1-Rf2として初めてBf8と指せるのだが、そのあとPa4がa1で成った際、このRによるチェックを白は受けることができない。

 以上より、エリア気嚢が2枚成Rを発生させることはできないことが分かった。


 これとFact4から、結局エリア気鉢靴任惑鬚成Rを2枚、黒は成Rを1枚作っていて、逆にエリアと兇鉢犬任惑鬚成Rを1枚、黒は成Rを2枚作ったことが判明した。ここまでで判明した事実を図化しておこう。

(図4)
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(黒は成のあった場所、赤は駒取りがあった場所。Rは成ってから1手で引いたもの)

ここまできてやっと、白もcastlingしていることが証明できる。

Fact 8 白もcastlingしている

 白がcastlingしていないとする。その場合、Fact7の(B)の証明中にあるように、白Bf8はh6ではなくa3を経由していることが分かる。白がf8で成る前に黒がcastlingする必要があるので、例えば以下のような配置になる。

(図5)
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 出題図でのRa3,a4はいずれもb8で成った白Rであり、またRd3はd8で成ったもの、Rf2はf8で2枚目に成ったもの、そしてRh6もh8で成ったものである。従って、c筋の3枚のRは、初形で配置されていた2枚のR及びf8で最初に成った方のRということになる。
 castling後の黒Rd8の動きを考えると、f8で成った2枚目のRをf2に引いてからでないとd8=Rとはできないことが分かる。するともしBf8-g7としていると、g1での成Rを引くことができないので、黒Bf8はg7-d4ではなくc5-d4と動くことになる。
 さて、黒Bf8-c5として初めて、白はf8で1枚目の成Rを作ることができる。この成Rはc3かc4に入れることになるが、この時点でRa1の行先がc4かc3に確定し、残ったRh1をc5に持っていくことになる筈。ところがこれは不可能なのだ。
 何故なら、この白Rはh5-c5と動くので、黒はh1を経由して成Rをh5へ持ち込まなければならない。白がRh5-c5としなくてはこの黒Rh1は動けないが、そのためにはBc5が動かねばならず、その為には白がd8=RとしてこのRをd3へ引かねばならず、更にその為にはRf8をf2へ引かねばならず、その前にKf1としなければならないことになる。これは黒Rh1がいることに矛盾。b8での2枚目の成Rをb5に引いた場合にも、ほぼ同様の論法でやはり矛盾が発生する。


 恐らく、局面の解析で得られる情報はこれくらいだろう。後はこれまでに分かった手掛かりを元に試行錯誤するほかない。但し、ここまで積み重ねてきた事実があってもなお、作意の特定はかなり困難である。ここまでお読みになった熱心家は是非、再挑戦してみて下さいな。
 作意は以下の通り。

1.a4 h5 2.a5 h4 3.a6 h3 4.axb7 hxg2 5.h4 d5 6.h5 d4 7.h6 d3 8.h7 dxc2 9.d4 a5 10.Bh6 c1=R 11.e4 Rc5 12.Se2 Rh5 13.e5 c5 14.e6 Sc6 15.b8=R a4 16.Rb4 a3 17.Ra4 c4 18.b4 c3 19.b5 c2 20.b6 c1=R 21.b7 Rc4 22.b8=R Qa5+ 23.Rbb4 Bb7 24.S1c3 0-0-0 25.exf7 e5 26.Rc1 Bc5 27.f8=R a2 28.Rf3 a1=R 29.Sa2 g1=R 30.Rfa3 Rg6 31.f4 Re6 32.f5 g5 33.f6 g4 34.f7 g3 35.f8=R g2 36.Rf5 g1=R 37.Bf8 Rg7 38.Sg3 e4 39.Bd3 e3 40.0-0 e2 41.Rcc3 e1=R 42.Bc2 R1e3 43.d5 Rdd7 44.d6 Rdf7 45.d7+ Kb8 46.Qd6+ Ka8 47.Qc7 Sge7 48.d8=R+ Sc8 49.Rdd3 Rhg8 50.h8=R Rae1 51.Rh6 R1e2 52. R1f2 Rce4 53.Kf1 Bd4 54.Rfc5 Se5 55.
Sf5 Sc4 56.Sd6 Sb2 57.Rbc4 Sb6 58.Qb8+

 プルーフゲームで初めて50.0手を超えた記念碑的作品。作者達の努力と情熱に対し、心からの敬意を表したいと思う。
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