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2016年11月09日22:53

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局面構成問題をはじめから(6)

 前回の宿題は、「32の地点を含む盤上に、玉2枚と銀3枚を王手が掛かっていない状態で配置し、残りの駒は適切に両者の持駒に配分して不可能局面を作れ。ただし、銀は成銀として使ってはならない」というものでした。正解は以下の図です。

(正解図)
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 この局面が先手番だとすると、直前の後手の着手はありません。しかし、後手番だとしても、先手が何か手を戻した後、更に前の後手の着手が存在しないことを確認して下さい。従って、これは不可能局面です。
 なお、先手の持駒なしというのもちゃんと意味があります。もし1枚でも先手に持駒があると、先手が最終手で駒取りを戻す逆算が可能になり、その更に前の後手の着手が生じてしまうからです。

 最後に、illegal clusterを紹介しましょう。これは「不可能局面であるが、双方の玉以外の任意の1枚を取り除くと合法な局面になる」という配置のことを指します(ちなみにこの条件は、T.R.Dawsonによって1933年に提唱されたものです)。例えば、第4問(中村作)は、この条件を満たしていますね。他の例も紹介しましょう。

(illegal clusterの例1)
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 これは明らかに34金が43にあった後手の駒を取った局面ですが、先手の持駒はありません。よってこれは不可能局面です。また、飛、角、金のどれか一枚を取り除くと、これは合法な局面になりますね(各自ご確認ください)。よってこれはillegal clusterの条件を満たしています。

(illegal clusterの例2)
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 直前の後手の着手は22飛打しかありませんが、するとその前にも先手玉に21香で王手がかかっていたことになりillegal。もし32歩がなければ、これは合法な局面になりますね(後手は持駒を持っているので)。21香、22飛を除去した場合も明らかに合法なので、これもillegal clusterの条件を満たしています。

 実は、このillegal clusterという概念を用いると、「自明な」不可能局面を排除することができるのです。以下の図がいずれもillegal clusterになっていないことをご確認ください。

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では、最後の出題です。

(第5問)
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上図に先手玉を含む3枚を追加配置して、illegal clusterを構成せよ。
但し、成駒の形で追加してはならない。
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