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2016年11月07日23:10

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楽しいレトロプロブレム(63)

(96)Thierry le Gleuher(diagramme 110 07-09/1994)
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Monochrome Chess
盤面の向きを直し、それぞれの文字に色と駒種を割り当てよ。但し、大文字/小文字はそれぞれ白か黒を意味しており、同音の文字には同種の駒が対応している。更に、黒Rh8が取られた場所を確定せよ。

 まずは、盤面の向きに関わらず確定する事実を見つけていこう。使用されているアルファベットはA〜Eの5種なので、K〜Pのうち1種は使われていない。また、大文字と小文字でそれぞれ1枚ずつ配置されていて、かつ色違いの枡目にあるB(b)がKであることも明らか。更に、D(d)はQやRではあり得ないし(双方のKに同時にチェックがかかってしまうから)、CもQではない(bに対し不可能両王手がかかるから)。
 これらに加え、Monochrome Chess特有の現象も考慮する必要がある。つまり、Monochrome ChessにおいてSは1段目と8段目以外には存在できないので、C,D,EがいずれもSでないことも言えるのだ。

ではまず、盤面の向きがこれで正しいと仮定して、議論を進めてみよう。

・盤面の向きが正しい場合

 この場合、e1にいるBが白Kでa4にいるbが黒Kだ。これから大文字が白駒、小文字が黒駒を意味するということになる。またA≠S, E(e)≠Pも明らか。上の表より、D(d)はBかPのいずれかである。

1)D=Pの場合
 CがR,Bのいずれの場合も黒Ka4にチェックをかけることになるが、Rだとあり得ないチェックをかけていることになるので、C=Bしかない。一方、EはQかRということになるが、そうすると今度はc1のeが白Kにもチェックをかけてしまう。これはillegal。

2)D=Bの場合
 やはりEはQ又はRということになる。すると、いずれにしてもc1のeが白Kにチェックをかけることになるので、CはPでなければならない。E=Rとしよう。その場合はA=Qということになる。

(図1)
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 この場合、最終手はRa1xBc1+ということになる。黒Bは1枚成駒であり、黒Pは成る為に黒桝にいる白駒を少なくとも4枚取ったことになる。黒の取りを戻した時点で白の黒桝の駒は4枚であり、これより黒Pに取られたのはSPPPの4枚。ここで実際にやってみれば、これら3枚の黒枡Pのうち少なくとも1枚は成っていることが分かる。ところが白Qa5も成駒だから、白は黒枡で計8枚駒取りをしていることになり、これは矛盾。
 ここまでの議論はE=Qとしても成立するので、結局D=Bでもないことが示された。

 以上より、盤面の向きがこのままでは解がないことが分かった。ここ迄の議論は180度回転しても同様に成り立つので、盤面の向きは±90°回転することになる。

・反時計回りに90度回転した場合

この場合、e1にいるBが黒Kでa4にいるbが白Kだから、大文字が黒で小文字が白ということになる。これまでと同様DはBかPのどちらかであり、そしてCはPではないので、C=Rと決まる。

3) D=Pの場合
 先程と全く同じ議論により、不可能局面である。

4) D=Bの場合
 g1にある黒Rは白Kにチェックをかけているが、これはPh2xg1=R+という逆算が可能である!勿論黒Kにチェックをかけてはならないから、E=Pとなり、残ったAはQかSのいずれか(Qだとしてもチェックになっていないのでillegalではないことに注意!)。

 当然のことながら、時計回りに90度回転した場合はプロモーションができないので、この配置はillegalということになる。これで、配置はほぼ確定した。
仮にA=Qとして、推論を進めていこう。

(A=Qの場合の局面)
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では、黒Pは最終手で何を取ったのだろうか?白Sだと考えるのが一番自然なので、とりあえずこれを戻して分析してみることにしよう。

(-1.Ph2xSg1=R+とした局面)
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 白の配置は黒枡に2枚、白枡に3枚の計5枚で、黒は黒桝に4枚、白枡に3枚の計7枚。ということは、白は黒枡の駒を6枚、白枡の駒を5枚取られていて、黒は黒枡の駒を4枚、白枡の駒を5枚取られていることになる。また、白Bは1枚が成駒で、黒はRg3とQd1が成駒。駒取りの枚数から、黒にはこれ以上成駒はないことも分かる。
 成駒を1枚作るのには最低4枚駒取りが必要で、更に黒Ph2も既に3枚駒取りをしているので、これで黒側の駒取りは尽きている。Ph2はe7から来たことも確定。黒の黒枡での駒取りは7枚だが、白が取られた黒枡の駒は6枚しかない。これは黒がen passant captureしていることを意味する。一方白は、Ph3で1枚、そして成Bを作るのに4枚、計5枚の黒駒をいずれも白枡で取っている。

 さて、次に考えるのは、黒Pがh2で取った白駒は何かということだ。もし白Pだとすると白Rh1がいないことに矛盾するので、この白Ph2は動いているに違いない。しかしこの白Pもまた黒Pに取られている筈なので、結局Ph2-h4とした後で成ったことになる。ところが、よく考えてみるとこれは不可能である。何故なら、この白Pが成るには黒枡の黒駒を4枚取らなくてはならないが、その中には黒Sb8も含まれるからである!以上より、黒Pがg1で取った駒は白Sではないこと、及び黒Pが白Ph2を取っていることが示された。
 ここで用いた「Sは初形位置で取られている」という事実から、A=Qが正しいことも分かる。何故なら、A=Sならd1で4枚目の駒取りをしていることになるが、そうすると白Sb1を取った駒が存在しないことになるからである。
 では、g1で取られた白駒はBだったとして、分析を続けよう。

(-1.Ph2xBg1=R+とした局面)
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 最後の黒Rを除く成駒はいずれもSを取って成っているので、黒Rg3はg1で、黒Qd1はb1で、そして白Bはg8でそれぞれ成ったことが分かる。また、黒Ph2は白Ph2を取っていることも先程の議論から明らか。更に、初形で配置されていた白Rは3段目で、黒Rは6段目で取られていること(成ったPはいずれもダブルステップしているから)、黒枡の黒Pによるen passant captureがあったことなどを考慮すると、次のような局面が想定できる。

ここから
(1)Pe2-e4 Pd4xe3 e.p.とし、続いてxf2xg1=Rとする
(2)Rh1をb3に持っていき、Pc4xb3xa2xb1=Qとする
(3)Ra1をg3に持っていき、Pf4xg3xh2xg1=R+とする
(この途中にBh3 Pg2xh3が入る)

という手順を踏めば、先程の局面を作ることができる。

(図2)
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 さて、これで黒Rh8の取られた場所が確定しているのだが、お分かりだろうか。黒Rがいずれも6段目でPに取られていることと、Sg8が取られてからRh8が外に出ることを考慮すると、
()c筋の白Pがc4xd5xe6xf7xg8=Bと成る
()Rh8が6段目に出てきて取られる

の順に進んだ筈。この()の手順中、e6で取られるのがRa8なのだから、Pa7は不動の筈がない。つまり、a筋の黒Pが取られたのはa5である(よって、成ったのはb筋の白Pである)。すると、白Pは黒Pa5を取ってから黒Rh8を取るのだから、取った場所はb6しかない!

 Monochorome Chessにおけるレトロの極北を目指したような作品。たった11枚の配置でここまで奥深い論理展開が可能なのかと感嘆を禁じ得ない。

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(98)橋本 哲(Problem Paradise 2009)
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白Kを加えてから白のみ連続して17手指し、黒をstalemateにせよ。
Variables 0+16
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