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2016年08月06日22:36

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Special Prizeを受賞しました!

 毎年チェスプロブレムの世界大会において、日本チームはヘンテコなフェアリールールをお題としてSake Tourneyを開催している。今回、これに拙作を3題投稿したところ、そのうちの1作が運よくSpecial Prizeを受賞した。しかも、あのCaillaudと一緒にだ!(他の受賞作については、http://wccc2016.matplus.net/ct/The_6th_Japanese_Sake_Tourney_Award.pdfをご覧下さい)
 でもこのTourneyの結果はプロパラにしか載らないし、しかも英語で書かれているので、余程のもの好きでないと目を通すことはないに違いない。そこで、ここで自作を紹介してみよう。お暇な方は、ロジックの連鎖を追ってみて下さいな。(尚、Colorless Chessというのは「Kを含む駒は、初形配置においてはどちらの駒か確定しておらず、最初に動かした側の駒になる」というルールである)

高坂 研(Belgrade 2016 Sake Tourney, Special Prize)
フォト
H#2 Colorless Chess(20+0)

solution:1.Pa4xb3 e.p. 0-0 2.Bxe3 fxe3#

この手順中で色が判明している駒は以下の通り。
White : Pb4 Pd2 Ke1 Pe3 Pf2 Pg2 Rh1 Bh8
Black : Pa4 Ba7 Pe7 Qe8 Kf8 Pg7 Rg8

Pe7,Pg7がいずれも黒であることから黒Ba7は成駒であり、成った場所はg1に限られるので、Pg3は黒である。色がまだ不明な駒はPa5, Ra8, Pd6, Ph3の4枚。以下でこれらの色を確定していく。

Step1 Ph3は黒ではない

 Ph3が黒だとしよう。更に、色が不明なPa5, Ra8, Pd6が全て黒だと仮定すると、黒は全部で9回駒取りをしていることになるが(Pg3で1回、c筋のPが成ったとして6回、白Bc1も初形位置で取られていて、更にa筋で黒Pによるものが1回ある)、この場合白の配置は8枚なので矛盾。ここで更にPa5やPd6を白に変更すると、黒の駒取りは1回減るが、白の配置も1枚増えるのでやはり不成立。
 以上より、Ph3は白であることが示された。

Step2 Pd6は白ではない

 Ph3が白ということは、Bh8は白Pc2が5回駒取りをしてh8に辿り着いたことになる。すると、もしPd6が白ならば、これはa2から来たものということになり、白は初形位置の黒Bf8も取っているので、駒取りは全部で9回。しかし黒の配置は既に9枚あるのでこれは矛盾。よって、Pd6は黒である。

Step3 Pa5は白ではない

 Pa5が白だとしよう。前述の通り白は少なくとも6回駒取りをしているので、このPが駒取りをしているとすると全部で8回ということになるが、黒の配置は既に9枚なので矛盾。よってこの白Pは駒取りをしておらず、直進している。

A)Ra8が白の場合
黒はPg3が1回、そして成Bを作る為に3回、更にBc1も取っているので、全部で5回駒取りをしている。更にPa5が直進していることから黒Pa4も駒取りをしていることになるが、これは白の配置が11枚あることに矛盾。

B)Ra8が黒の場合
A)と同様に考えると、やはり黒は6回駒取りをしている。白も駒取りは尽きている。しかしそうなると、白がa筋の黒Pを取る手段がない。
以上より、Pa5は黒である。


Step4 Ra8は黒ではない

ここまでで黒の配置は10枚。白の駒取りは全部で6枚だったから、Ra8は白でなければならない。

以上で、配置駒の色はすべて決定した。つまり、出題図は以下のような局面だったことになる。

フォト

よって、確かに当初の手順で詰んでいることが示された。Q.E.D.


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 Ra8が白駒であることを証明する迄の、いかにもレトロらしい息の長い論証が面白いと思うのだが、どうだろうか?

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