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2016年06月20日22:53

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楽しいレトロプロブレム(25)

(56)Andrej N. Frolkin(Die Schwalbe 180 12/1999)
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それぞれの文字に色と駒種を割り当てよ
1)現在黒番の場合
2)現在白番の場合

 どこから手を付けて良いのか途方に暮れてしまいそうな問題だが、まずはそれぞれの文字数を数えてみよう。そうすると、A=5, B=8, C=1, D=1, E=2, F=2, G=2, H=1, I=2, J=1, K=2, L=2の計29枚であることが分かる。特に、文字種が12種類ということは、全種類の駒が登場することを意味している。
 次に考えるべきは、Kがどれかということだ。Kの可能性があるのはC,D,H,Iの4つだが、明らかにDはKではない。よってKはC-JかH-Jかのいずれかである。

 では、これから最も枚数の多いBを分析の対象に定め、これが何を表しているのかを絞り込んでいこう。(尚、簡単の為にBを仮に白駒とするが、黒駒でもほぼ同様の議論が可能である)

Step 1 Bは白Qではない

 全部で3枚の駒取りが起こっているが、1枚駒取りをする毎に双方合わせて最大3枚の成駒が生じるので(PでPを取った場合)、この場合は盤面に最大9枚の成駒があることになる。しかし、このような駒取りをしても一方に生じる成駒の最大値は6枚を超えないので、Bは白Qではない。

Step 2 Bは白Bでもない

 Bが白Bだとすると、白が黒Pを3枚取って、6枚Bに成ったことになる。この場合、白桝Bと黒桝Bはいずれも偶数枚発生し、それにオリジナルのBを加えると、どちらのBも奇数枚になる。しかし、与えられた図を見ると白桝のBと黒桝のBはそれぞれ4枚ずつ。これは矛盾。

Step 3 Bは白Sでもない

 Bが白Sだとすると、白が黒Pを3枚取って、6枚Sに成ったことになる。これで駒取りは尽きているので、1枚しかないC,D,H,Iは双方のKとQに対応することになる。するとDがQであることになるが、これはどちらかのKに必ずチェックをかけていることになる。ところが一方、C,H,Jのうちどれが黒Kであっても、必ず白Sによってチェックをかけられていることになる(CにはSb5が、HとJにはSe3がチェックをかけている)。このときQも白駒なら不可能両王手だし、そうでなければ双方のKにチェックがかかっていることになるので、いずれにせよ矛盾。

Step 4 Bは白Pでもない


 Bが白Pだと仮定する。この場合、白に成駒はないのだからAが黒駒であることは明らか。これが黒Pの場合とそうでない場合に分けて、それぞれについて検証してみよう。

(4-1)A=黒P、B=白Pの場合

 黒Pが3枚消えているので、これらは直進途中で取られたか、或いは成っている。白Pc6が直進途中の黒Pを取ることはないので、黒Pは少なくとも一枚成っている。これで駒取りは双方1枚ずつ。残り2枚の黒Pがどちらも直進途中で取られたとすると駒取りが4枚になり矛盾。しかし2枚とも成ったとしても、1枚だけ成ったとしても、やはり駒取りの枚数が合わない。

(4-2)A≠黒P、B=白Pの場合

 黒は最低3枚の成駒を作る必要がある。白Pはc筋で1枚駒取りをしているので、残された駒取りはあと2枚。黒が3枚の成駒を発生させるためには、
(α)2枚の黒Pがそれぞれ1枚ずつ白駒を取る
(β)2枚の白Pがcross captureする
のいずれかしかない。
 黒側に2枚の駒取りがあった場合、白は成駒を作れないので、例えば黒が白のRとBを取ったとすると、白のK,Q,R,Bがいずれも1枚ということになる。すると黒Kを加えて5種類の駒が1枚のみということになるが、これは1枚の駒が4種類しかないことに矛盾。また、同種の駒を2枚取った場合も、条件を満たさない。
 逆に、白Pが2枚駒取りをした場合も、上と同様1枚の駒を作らない為に黒は更にPを成る必要があるが、駒取りなしではこれ以上成は増やせない。

従って、Bは白Pではないことが示された。


 前述の通り、ここまでの議論はBが黒の場合にも成立するので、結局BはRであることが判明した。つまり、この図は白Pが黒Pを3枚取って6枚の白Rを発生させたか、或いは逆に黒Pが白Pを3枚取って黒Rを6枚発生させたかのどちらかなのだ。いずれにせよ、1枚のみの駒はKかQ以外あり得ないことになる。

 では、Bが白Rの場合と黒Rの場合に分けて、更に分析を続けよう。

()Bが白Rの場合

この場合、すぐに分かるように、J=白K、D=白Q、C=黒Q、H=黒Kとなる。

(図1)
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 駒取りは全て白Pによるもので尽きているので、E,I,KはどちらのPでもない(Pの可能性があるのはA,F,G,L)。また、白Pが取った駒は全て黒Pだから、E,F,KはどちらのBでもない(Bの可能性があるのはA,G,I,L)。更にEf6に注目すれば、これが白Sでも黒Rでもないことが分かる。従って、Eは黒Sである。また、Kb4よりKは白Sではないので、Kは黒Rである。更にFg6を見ると、これは黒Bや黒Pではないが、Fがもし白Pなら白は3枚の駒取りで6枚の成駒を作ることができないので、Fは白Pでもない。よって消去法でF=白Sと決まる。

(図2)
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 残りは双方のBとPのみだ。白BとPはそれぞれ2枚であり、これがIとGに対応するのは明らか。白Pと黒Pが同筋ですれ違うことはないので、Lは黒Pではない。よってA=黒Pとなり、残ったLが黒Bとなる。これで全ての配置が確定した。
これは現在黒番の局面である。

(黒番の場合の解)
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()Bが黒Rの場合

この場合は()とは逆に、J=黒K、D=黒Q、C=白Q、H=白Kとなり、上と全く同様の議論により、E=白S、K=白Rが定まる。

(図3)
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Aが白Pではあり得ないので(全て直進している筈だが、それだと黒Pが最低4枚駒取りをしていることになる)、黒B,S,Pと白PがそれぞれF,G,I,Lのいずれかに対応することになる。従って、残ったAは白Bである。Fが黒Pならば黒が6枚の成駒を作ることは不可能であり、Fが白Pならば白が3枚成駒を発生させることは不可能である。従ってFは黒Sであり、I=黒B、そしてP同士はすれ違えないことからG=黒P、L=白Pと決まる。これで全ての配置が確定した。
これは現在白番の局面である。

(白番の場合の解)
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Q.E.D.

 辛抱強く推論を続けることで見えてきた光景、それは成駒6枚を含め8枚ものRが盤上に存在するという異様なものだった。他の配置がすべてillegalになるような仕掛けを施しつつ、作意の局面も一意に定まるような絶妙の配置を発見した作者には、心からの敬意を表したい。まるでチェスの盤と駒を用いて構成された高等数学のような本作、この種のチェスパズルにおける最高峰の一つだと言っても過言ではない。

 同様の作品を2題紹介しよう。是非こちらにも挑戦してみて欲しい。いずれ解答発表もする予定である。 

(56-a)Andrej N. Frolkin, Henri Nouguier(diagrammes 92 01-03/1990)
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それぞれの文字に色と駒種を割り当てよ。また最終手は何か?

(56-b)Nikolai Beluchow(Probleemblad 01-03/2011)
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それぞれの文字に色と駒種を割り当てよ。但し、大文字と小文字はそれぞれ白か黒を意味しており、同音の文字には同種の駒が対応している。

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(58)Julio Sunyer(The Problemist 10/1931)
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現在白番。黒Kに4手以内でチェックをかけよ(14+13)
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