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2016年05月22日13:43

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楽しいレトロプロブレム(18)解答編

(51)Michel Caillaud(Messigny 05/2005, 1st Prize)
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Proof Game in 21.0 moves(15+13)

 白のなくなった駒はBのみで、黒はRPPの3枚。また白側の駒取りは全てPh5によってなされており、黒はc6で白Bを取ったことが確定している。g,h筋の黒Pは駒取りができないので直進するほかなく、白Pe2はまずf3で黒Rを取ってから、更に2枚の黒Pを取っていることが分かる。
 続いて手数計算をしてみよう。白は盤面を作るのに19手かかり、Bf1がc6に行くのに2手かかるので、これで21手ちょうど。対照的に、黒はかなりの余裕がある。黒は一体何をしているのだろうか?

 まず序は、1.h4 h5 2.Rh3 Rh6 3.Rd3 Rf6 4.Rd5 Rf3 5.exf3 Pg5 6.Bb5 Pg4 7.Bc6 dxc6までは絶対。

(図1)
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 この後黒はKをb6に連れていけば良いのだが、その方法が問題。でんと居座った白Rd5のせいで、黒Kはお供の者にその利きを遮断してもらいながら、そのラインを何度も跨ぐ羽目になる。また、黒Kの軌跡はd7-e6-f5-e4-d3-c4-b5-b6となるので、白はその邪魔をしないように、注意深く残りの駒を移動させなければならない。
 7.0手以降の手順は次のようになる。

8.Sc3 Qd6 9.Se2 Kd7 10.c3 Ke6 11.Qb3 Qe5 12.Kd1 Kf5 13.xg4+ Ke4 14.Kc2 Qd4 15.Kb1 Kd3 16.Qa3 Kc4 17.xh5 Qc5 18.d3+ Kb5 19.Bf4 Kb6 20.Bh2 Qd6 21.Sf4 Qd8

 詰将棋で言う「夏木立型」趣向によく似た手順が楽しめる。役目を果たした黒Qは原型位置にスイッチバックし、仕上がりも完璧。流石はCaillaudだ。

 本作はMessigny 2005の課題作で、お題は「異なる2本のライン上で、駒Aが駒Bの利きを遮断する」というもの。参考までに、他の入選作も紹介しておこう。


Reference Problems

(51-a)A.Frolkin, K.Prentos(Messigny 05/2005, 2nd Prize)
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Proof Game in 14.5 moves (14+12)

1.Sf3 e5 2.Sxe5 Bc5 3.Sxd7 Bxf2+ 4.Kxf2 Sxd7 5.Kg3 Sdf6 6.Kh4 Bh3 7.xh3 Se7 8.Bg2 Se4 9.Qf1 Qd4 10.Qf6 0-0-0 11.Rf1 Sd5 12.Rf5 Sf4 13.Bf3 Sg3 14.Bh5 Qf2 15.d4

 こちらは、黒Qの利きを2枚の黒Sが交互に遮る構成が楽しい。

(51-b)Michel Caillaud(Messingy 05/2005, Special Prize)
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Proof Game in 18.5 moves (15+10)

1.h4 g5 2.xg5 Sf6 3.xf6 a5 4.xe7 f5 5.xd8=S f4 6.Sc6 dxc6 7.Rxh7 Bg4 8.Rf7 Bf3 9.exf3 Be7 10.Se2 Kd7 11.Sg3 Ke6 12.Sh1 Bf6 \13.Qe2+ Kf5 14.Qa6 Kg6 15.Bc4 Bg7 16.d3 Kh7 17.Bd2 Kg8 18.Bc3 Bf8 19.Rg7+

 (51)と同構想の作。或いはこちらがオリジナルだったのかもしれない。
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