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2016年05月15日14:30

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楽しいレトロプロブレム(17)解答編

(49)屋並仁史(Problem Paradise 8, 1998)
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Proof Game in 20.0 moves (15+15)

 なくなった駒は白がB1枚で、黒はP1枚。どちらも駒取りのあった場所は確定しています。意外にも、白の盤面配置を作るのにはh1にいたRをa3に持っていく方が手数が少なくて済み、これで18手。Bf1をc6に捨てるのにも2手かかりますから、白の手はこれでちょうどです。特に、Qがd1-d4-f6と動いたことも分かりました。
 一方、黒側の盤面配置を作るのには(黒は0-0-0の後でRがd8-d4-a4と動いたとして)11手かかります。先にe3に捨駒をしないとd筋のPが成れないので、盤面にある駒のうちどれかは成駒であることも分かりますね。成るのに5手、そこから移動するのと、先にe3へ捨駒をする手とを考慮すると、実際には黒にも殆ど余裕はありません。

 では、序を考えてみましょう。白がBをc6に捨てるのには3手かかりますが、白Qの軌跡を考えると黒は2手目迄にd筋のPを突く訳にはいきません。すると、黒の待ち手はSa6-Rb8しかなく、実は黒がcastlingしていないことが判明しました。すると、自然にこの黒Rをe3に捨てる順が見えてきます。つまり、盤面にある2枚の黒Rのうちどちらかが成駒なのです。手数計算をしてみれば、それがa4の方であることもすぐに分かります。黒側もこれで20手ちょうど。あとは実際に駒を動かしてみれば、容易に作意に到達できる筈です。

作意は、1.g3 Sa6 2.Bg2 Rb8 3.Bc6 bxc6 4.Sf3 Rb3 5.0-0 Re3 6.dxe3 d5 7.Qd4 Bf5 8.Rd1 e6 9.Rd3 Qg5 10.Qf6 d4 11.Ra3 d3 12.Se5 d2 13.f3 d1=R+ 14.Kf2 Rd4 15.b3 Ra4 16.Bb2 Bb4 17.Bd4 Se7 18.Sc3 Kd8 19.Rh1 Kc8 20.Ke1 Rd8 となります。

 白はcastlingしてないようでしている、黒は逆にcastlingしているようでしていない(anti-castling & pseudo-castling)というパラドキシカルなテーマを、見事に表現していますね。


(50)Narajan Shankar Ram(The Problemist 1981, 1st Prize)
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#16 Pacific Retractor(3+4)

 初手は1.Bh7-g5しかありません。黒の応手は1...Rg7-f7の1手で、以下2-6.Kg6-f5-g4-f3-g2-f1 Rf7-g7+まで、紛れるところはありませんね。

(図1)
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 ここで白Kは7.Kg7-g6として、QとRに両王手をかけられに行きます。7...Rf6-f7+の1手にすかさず8.Kf7-g7とすれば、これまたBとRの両王手。従って、黒は8...Re6-f6+とするしかありません。もうお分かりですね。9-15.Kc3-c4-d4-d5-e5-e6-f6-f7 Rb2-b3+と、きれいなK鋸が現れました。

(図2)
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 あとは16.Bc2-h7 & 1.Bg5#で詰となります。簡単な仕掛けで白Kが所狭しと駆け回る、楽しい趣向でした。

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