(5)Luigi Ceriani(Europe Echecs 19 03/1960)
#2 (14+8)
なくなった駒は白がBPの2枚で、黒がQRBBSPPPの8枚。このうち4枚は、白Pb3/c5/e6によって取られている。ここでSa1に着目してみよう。これが白Rを取っているかどうかで、2通りの逆算が考えられる。
(A)Sが白Rを取っている場合
この場合は、盤面の2枚の白Rのうち少なくとも1枚が成駒ということになる。成ったのはe〜g筋の白Pのどれかだが、いずれにせよ黒Kが不動のまま成ることはできない。よって黒側のキャスリングは不可能。
(B)Sが白Rを取っていない場合
黒Sがb3に来たとき、まだ白Pb3はa2にいる筈なので、この場合白Rはb1-d1のいずれかに避難したことになるが、するとこのRがa6に到達する為には白Kが不動ではあり得ない。よって白側のキャスリングは不可能。
つまり、キャスリングの権利はどちらか一方にしかない。このことより、白が先にキャスリングしてしまえば(B)を否定することになり、結果として黒のキャスリングの権利はなくなってしまう。即ち作意は、1.0-0 Kd8 2.Rf8#となる。
ここで使われているロジックは、mutually exclusive castlingと呼ばれている。これについては「どちらか一方にのみキャスリングの権利があるからといって、白にキャスリングの権利があるといえないのではないか」などの疑念が発表当時からあるようだ。
ちなみに、一号局は以下の図である。
(Reference Problem)
(5-a)H.A.Adamson(The Problemist Fairy Chess Supplement 1932)
#2 (11+12)
1.0-0 Kd8 2.Rf8#
今回の出題作はレトロではない。Ortho-reconstructionというこのルール、フェアリー詰将棋の「バカ千日手」に極めてよく似たもので、奇数手で出題図に戻すのが目標である。しかし、その為にはどこかでtempoを失う必要がある。さて、その手段とは?
(6)Luigi Ceriani(La Genesi delle Posizioni 1961)
黒から指し始め、奇数手で局面を完全に復元せよ (16+13)
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