今日読んでいるのは詰パラ507号(平成10年6月号)。まずは表紙の小西作から紹介することにしよう。
小西逸生
(詰パラ 平成10年6月号表紙)
13銀、23玉、15桂、14玉、26桂、同と、23桂成、同玉、35桂、同金、
14龍、同玉、24馬迄13手詰。
3手目の局面から桂2枚を使った準備工作をしておいて、最後は龍をズドン。2手目の変化も程よく、解後感は非常に良い。表紙はかくあるべし。
続いては順位戦から。
市島啓樹
(詰パラ 平成10年6月号、A級首位作)
A17馬、イ26飛、同馬行、46玉、B47金、同玉、C37飛、ロ46玉、35馬、同と、
47飛、同玉、48金、46玉、37馬迄15手詰。
A34金は同玉、16馬行、同飛、25金、43玉、42馬、同玉、72飛、31玉で逃れ。
イ34玉は16馬行、同飛、25金、43玉、42馬、同玉、52飛以下。
イ26合は34金、同玉、16馬上以下。(飛・金は売り切れであることに注意!)
B48飛は57玉以下逃れ。
C67飛は57銀、37馬、58玉以下逃れ。
C87飛は77歩以下逃れ。
ロ58玉は59金、同玉、77飛以下。
17馬という味の良い初手に対し飛の移動捨合で応じる序も迫力があるが、続く47金-37飛が無筋の攻めに見えて、やり難いことこの上ない。重ねた大駒も即座に捨て去り、着地も華麗に決める。看寿賞に届かなかったのが実に惜しまれる、いかにも市島氏らしい重量感のある傑作!
尚、8手目の変化には見覚えのある方も多い筈。三谷氏公認で、氏の作品を下敷きとしたものらしい。参考までにその図も引用しておこう。
(参考図)三谷郁夫
(将棋世界 平成元年9月号、第1回年間優秀佳作賞)
58銀、同玉、59金、同玉、77飛、68玉、59馬迄7手詰。
最後はフェアリーから、打歩バカ詰の趣向作を紹介します。
神無三郎「輪姫」
打歩バカ詰 173手(詰パラ 平成10年6月号)
37歩、同と、47金、同成香上、37金、同成香、47金、同馬、同銀、
同成香左、37歩、同成香、58角、47成香左、37歩、同金、47角、同金、
38香、37角、同香、同金、58角、47成香、同角、同金、38香、37角、
同香、同金、58角、47龍、同角、同歩成、
(34手目の局面)
ここまでが序。ここから飛び道具を駆使して玉の周りの駒を時計回りに移動させる、1サイクル28手の楽しい趣向が始まる。
「56飛、46角、同飛、同と引、58角、47香、同角、同金、38香、37飛、
同香、同成銀、16飛、26角、同飛、同成桂、14角、25飛、同角、同と、
34飛、35角、同飛、同成香、54角、45飛、同角、同と」
(62手目の局面)
ちなみに、逆回転できない原因は27歩だ。玉の周りの駒は全て金の利きなので、26から37へは動けても逆には動けない。シンプルながら洗練された仕掛けである。
「56飛、46角、同飛、同金…54角、45飛、同角、同金」
(90手目の局面)
「56飛、46角、同飛、同成銀…54角、45飛、同角、同成銀」
(118手目の局面)
趣向手順を3度繰り返すとこの局面に達する。実は収束時に欲しいのは桂と香なのだが、このまま惰性で進めると成桂と成香の位置が離れているために巧く収束することができない。そこでこの瞬間を見計らい、と金と成桂を入れ替える破調が入る。
56飛、46角、同飛、同成桂、58角、47香、同角、同と、38香、37飛、
同香、同成桂!
(130手目の局面)
ここが本作を攻略するうえでの最大のポイント。こうしておいて趣向手順をもう一度繰り返す。
「56飛、46角、同飛、同と…54角、45飛、同角、同と」
(158手目の局面)
これでやっと37成香-47成桂の配置が得られ、収束することができる。
56飛、46角、同飛、同成桂、58角、47成香、同角、同成桂、
38香、37成桂、同香、同と、28桂、同と、37歩迄173手詰。
(詰上がり図)
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