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2014年11月26日23:42

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プロパラを振り返る(112)

(223)上田吉一(Problem Paradise no.46)
フォト
H#21(2+3+2)
UltraSchachZwang, K-Madrasi,Circe
Neutral Pao h2
Neutral Grasshopper f8
Grasshopper g1

Circe:駒を取るとき、取られた駒は初形位置に再生する。R及びSの初形位置は、取られた場所の桝目の色によって決まる。Pの初形位置は取られた筋の2段目、フェアリー駒の初形位置は、取られた筋の8段目。取られた駒の初形位置が他の駒によって占領されているときは、その駒は通常通り盤上から消える。再生したRはキャスリング可能。
Pao:駒を取らないときはRのように動くが、駒を取るときはその線上で敵又は味方の駒を一つ飛び越えて、その先にある駒(直後でなくてよい)を取る。
Grasshopper:Qと同じ方向に、駒を一つ飛び越えてその次の桝に着地する。そこに敵の駒があれば取れる。

 1.nGh6+ nGh1
「2.nPAh7+ nPAh5 3.nGh6+ nGh4 4.nPAh7+ nGd8 5.nGf6+ nGa1 6.nGc3+ bxc3(nGc1) 」
「7.nGh1+ nPAh5 8.nGh6+ nGh4 9.nPAh7+ nGd8 10.nGf6+ nGb2 11.nGd4+ cxd4(nGd1) 」
「12.nGh1+ nPAh5 13.nGh6+ nGh4 14.nPAh7+ nGd8 15.nGf6+ nGc3 16.nGe5+ dxe5(nGe1) 」 17.nGh1+ nPAh5 18.nGh6+ nGh4 19.nPAh7+ nGd8 20.nGf6+ exf6(nGf1) 21.nGh1+ nPAxe7#

neutral Grasshopperが盤上狭しと跳び回る趣向作。白Pb2をf6まで運んだ後、PaoでPe7を取ることでMadrasi状態を解除して詰みとなる。
 ところで、Crisanの解説の結びが‘A real Ueda eerie!’となっているが、意味がよく分からない。誤植だろうか?

(224)上田吉一(Problem Paradise no.46)
フォト
H#23(2+2+1)
UltraSchachZwang, K-Madrasi, PWC
Fers a2, Grasshopper g4
Neutral Rook f1

Fers:(1,1)-leaper。

1.nRf2+ nRf3 2.nRg3+ nRa3 3.nRxa2(FEa3)+ nRa1
「4.nRg1+ nRb1 5.nRb2+ FExb2(nRa3) 6.nRg3+ nRb3 7.nRxb2(FEb3)+ nRb1」
「8.nRg1+ nRc1 9.nRc2+ FExc2(nRb3) 10.nRg3+ nRc3 11.nRxc2(FEc3)+ nRc1」
「12.nRg1+ nRd1 13.nRd2+ FExd2(nRc3) 14.nRg3+ nRd3 15.nRxd2(FEd3)+ nRd1」
「16.nRg1+ nRe1 17.nRe2+ FExe2(nRd3) 18.nRg3+ nRe3 19.nRxe2(FEe3)+ nRe1」
 20.nRg1+ nRf1 21.nRf2+ FExf2(nRe3) 22.nRg3+ nRf3 23.Ge2+ FEg1#

 FersがnRと互いに取り合うことで、徐々に右方向へと位置をずらしていく。初手よりnRをg1-a1としても同様の趣向に入れるが、これだとFersがf2に来た時のnRの位置がe1になってしまい収束には入れない。
 明らかに本作は、先週紹介した(222)と対になる作品である。作者がどちらを先に構想したのかは分からないが、「nBでできることはnRでもできる」との思想の下に創作されたのはほぼ間違いないし、先に述べた紛れが作意と鏡像関係にあるのは決して偶然ではない筈だ。これらの作品には、作者のdualityに対する深い洞察が垣間見える。

 最後に原さんの作品を一作紹介しよう。

原亜津夫(Die Schwalbe 2008 TT-199, 4th Prize)
フォト
S#3(15+7)

1...Bc6(a)/Sxd4(b) 2.Bb6+/Qb6+ axb6#
1.Sc5(A)/Bc6(B)? 1...Bc6(a)/Sxd4(b)!
1.Sf7!(2.Qc6+ Bxc6 3.Bb6+ axb6#)
1...Rxc4 2.Sc5!(A) Bc6(a) 3.b6+ axb6#
1...Rf3 2.Bc6!(B) Sxd4(b) 3.b6+ axb6#

14ページに‘Prize Winner by Atsuo Hara’と題されて、原さんが海外誌初投稿でいきなり2作とも受賞するという快挙を成し遂げたことが報告されている。上の作はそのうちの一作だ。残念ながら何というテーマなのか分からないのだが(Vladimirov themeでもないよね)、紛れでは白の着手A/Bに対して黒がa/bとすれば逃れるのに、key moveの後で同様にA/Bとするとa/bと受けても詰むというのが主題なのだろう。巧い人は何を作っても巧いねえ。
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