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2020年01月20日21:34

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【OP向け】ポーターの競争戦略 補足

ポーターの競争戦略論に参加されたOPの皆様、お疲れ様でした
なんか難解とか情報量多すぎてわけわからんかったみたいな正直な感想を聞いたので補足しておきたいと思います。入山先生の『世界標準の経営理論』のいくつかの部を限界まで端折ってまとめているので興味が湧いた方は是非お読みください。

【ポーターはどんな理論に立脚しているの?】
ポーターの背景にあるのは経済学の産業組織論です。SCP(structure-conduct-performance)パラダイムと呼ばれるこの理論は、ある産業が儲かる構造になっているかを体系化しています。
1.無数の企業がいて市場価格を操作できない
2.参入障壁がない
3.企業の製品やサービスが同質
このとき完全競争となって全く儲からない状況になります。もし儲かっているなら即参入が起き(2)、製品の質で勝負できず(3)、価格勝負となって(1)どんどん利益が落ちるためです。
そこでSCPは完全競争から離れているほど儲かる業界であると主張します。この3条件を外すように動けばいいわけです。
【結局、ポーターって何が言いたいの?】
企業レベルでの差別化(3の逆)が障壁を築き、市場を支配できるということ。少しでも独占に近づけたものの勝ちなのです。
【ポーター以後の経営学】
SCPが言うほど産業構造では収益性は決まりません。誰をライバルとして意識しているかと心理的な戦略グループ間で収益性が決まっているようです。また、ポーターは持続的な競争優位を強調していますが、それを実現できている企業は2~5%にすぎません。実際的には一時的な競争優位が連鎖している形になっています。
【RBV】
差別化するにはどうしたらいいのかと疑問が当然湧くと思います。
製品・サービス提供のためのリソース(技術や人材)が他企業に簡単に移動できるなら製品は同質化します。ならば模倣しにくくすればいいわけです。この点に着目した経営理論はリソースベーストビューと言われます。
【それ以外にどんな経営理論があるの?】
経営学は経済学・認知科学・社会学の背景を持った人が研究しています。
認知心理学に基づき企業イノベーション・クリエイティビティ・組織学習・リーダーシップ・モチベーションなどを論じる人もいます。
社会学の人は人と人あるいは企業と企業の繋がりを研究しています。弱いつながりの強さ(関係性が弱いほど重要な情報が流れてきたり人事採用に繋がったりしうる)、ストラクチャル・ホール理論などがあります。
【各経営理論はどんな競争分析に適しているの?】
SCP:完全競争。規模の経済による参入阻止や差別化戦略をとるといい。
RBV:独占的競争。各企業は差別化製品を持って競争している状況。真似されないような資源を確保するといい。
ダイナミックケイパビリティなど:イノベーションを要する競争。不確実性が高い。知識を何とかして深めたり探索したりしなくてはならない。

読書会中は初心者の方もいるテーブルだったし知識マウンティングしてくるモンスター参加者と捉えられるのが嫌なので以上挙げたことはほとんど喋らなかったです。みんながみんな学術的に調べたいわけじゃないと流石の私も大人なのでわかっております。。。
でも整理しておきたいと思った参加者の方の一助にもしなれば嬉しいです。

参考文献
入山章栄 世界標準の経営理論
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