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2020年02月25日18:53

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野口さんの出版記念会

昨日の午後、野口やよいさんの初めての詩集『天を吸って』の出版記念会を荻窪の「ジュノン」というところで開いた(『冊』同人主催)。

コロナウィルスが地表をさまよい、今や感染ルート不明で発症する潜在期に入ってきた。そんな時期に不要不急の集いはどうか、との意見もあるだろう。しかし昨年から準備してきたので、止められない。感染爆発の前に逃げ切ろうという雰囲気だった。4〜5人の直前キャンセルがあった。それは仕方のないことだと思う。来てくれた方に深く感謝したい。

前にも書いたが同詩集は日本詩人クラブ新人賞を受けた。日本詩人クラブ賞は本多寿さんの詩集『風の巣』で、彼はこの記念会に来てくれることが前から決まっていて、二人の受賞者が揃うことになった。というわけで明るいお祝いムードに包まれた。

『冊』の出版記念会は前半は真面目な批評をするのが伝統なので、第一部は柴田三吉さんの小講演、武田いずみ、高田真、中村明美さんらのそれぞれ「私の好きな一編」、最後に「20の質問」を北村真の設問(草野信子代読)、野口やよい回答で締めた。文字だけでなく話すと対話が生じて楽しいものだった。以上は『冊』61号に掲載するのでお楽しみに。柴田さんの講演はマイクが調子悪く、しょっちゅう交換するのだが、すぐに音が割れて聞えなくなる。ほかの人は大丈夫なケースも多かったが柴田さんはマイクに嫌われる人なのであろうか。後半ではマイクなしを選ぶ人も出てきた。

第二部のオープニングは清野裕子さんの野口詩「青いキルト」の朗読と、その詩にイメージを重ねたピアノ演奏だった。当日まで曲名は内緒、と言われていたが、湖の底のような深さとうねりを連想させる美しい曲で、演奏もすばらしかった。演奏後教えられたな曲名はプーランクの即興曲15「エディット・ピアフを讃えて」だった。翌日YouTubedeでいろいろな演奏を聴いたが、なま演奏ということもあるのかもしれないが、清野さんの演奏が深みとゆったり感で一番よかった気がする。この曲と詩「青いキルト」の組み合わせは絶妙である。

参会者からのご挨拶は詩人の本多さん、松下育男さん、茂本和宏さん、フリーライターの上原隆さん、写真関係の友人で詩集を装丁した中林亜実さん(野口さんは写真もやっていて表紙の写真は自分のもの)、また予定していた『冊』創立メンバーで版木舎の代表である村上和生さんが体調を崩して欠席されたので、急遽代理で乾杯の音頭をとってくれた長谷川縁さんは詩集冒頭の「呼吸」を英訳して朗読してくれた。最後のほうで英語にまじってヘブライ語「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」が聞えた。イエスが最後に神に問いかけた「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」を連想せずにはいられなかったからだと長谷川さんは言った。野口詩の最終行はこの逆で「どうしてわたしを/見放さないのですか」である。

ヒロインの野口さんは「娘に化粧してもらった、どう?」とか言っていたが、こちらはえ?いつも化粧してないの?とそっちのほうに驚いた。「ぐんときれいになったよ」と私は紳士になったのであった。たくさんの花束やプレゼントに囲まれて忘れられない一日となったことであろう。答礼の言葉に加えて、「呼吸」を朗読した。その詩は最初、詩集に入れる作品には入っていなかったそうだ。柴田さんがあの詩がないけど、と言ったそうな。詩集というのは不思議なものである。入っていなければ詩集名も変わっていただろう。最後に上手が主催者からのお礼と閉会の言葉を述べた。酔っ払っていた^^;。

一部・二部を通じてあらきひかるさんが司会進行を担当してくれた。同じ場所での二次会は持込可方式だったが、その準備も彼女が中心でやってくれた。獅子奮迅の活躍とはこのことだろう。感謝あるのみである。写真はあらきさんが作ってくれたプログラムと、高田真さんが作ってくれた看板。可愛いでしょ。


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