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2021年06月01日12:29

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オロロと動揺して

 しばらく日記にご無沙汰している間に、はや6月に入った。節気:小満、候:蚕起食桑。蚕がさかんに桑の葉を食べ始め、麦は大きく穂を実らせ、陽気が良くなって万物の成長する気が天地に満ち始めるのだとか。遅まきながらもワクチン確保が動きはじめ、なんとか各地での接種態勢も形ができ始めたなといったところか。
それにしても5月は下旬に至るまで、感染拡大様相が続く中でワクチン接種の具体的目途も立たない状態が続いた上に私奴の個人的な事情も加わって、私奴にとっては、何ともこころ揺さぶられる日々が続いた。

 以下の二件は、この5月の、コロナ禍の下での私奴のこころの動揺体験のお話。

 大型連休明けに私奴ら夫婦のワクチン接種券が届いていて、ネットと電話による集団接種の予約は15日からとあった。15日早朝即刻申し込みをするも既に予約満杯で次回は6月初めだと。仕方なく、かかりつけ医での接種の予約を試みたが、受付は私奴が17日から女房殿が24日からとあった。しかし、17日以降に何度電話してもマッタク繋がらず、19日に通りかかったのでかかりつけ診療所に立ち寄ってみるに、「電話以外の受付はできませぬ」とけんもほろろのご挨拶(「その電話が通じないから来たのに」とムカッとなった)。

 TVや新聞報道によると「高齢者を優先に大至急…」とあるがなかなか思わしく接種計画が進んでるとも思えない。「まあ、こうなりゃあ7月以降ならなんとかなるだろう」と思っていたのだが、散歩仲間などから「もう、予約取ったよ」「オレなんか医者の方から電話してきたよ」「オレは早朝に診療所に行列してやっと予約取ったよ。オマエ、ぼんやりせずに努力しろ」等との情報が忍び寄って来て私奴の心をかき乱した。

 女房殿も「ノンビリしていて大丈夫?」と言うし、アメリカの娘からも「さっさと接種する努力をして! 病気になっても帰国出来ないんだから」と脅迫されたりで、私奴の心も千々に心が乱れて始めた。
結局、アレコレの情報を集めるとどうやら特定曜日の早朝に診療所前に行列すれば、予約受付がしてもらえるらしいと分かった。で、24日早朝診療所が開く1時間も前の8時に女房殿と行列に参加した。二時間強もガマンして、やっと6月中の接種予約ができた。
(もう一週間もジッとガマンすれば、長い行列をつくる必要もなかったのに。とはいえ、「アレコレとこころ惑わせ、我さきがちに走り回り、セカセカと生きる」なんてのは、まあ私奴も凡俗そのものということなのだろうと諦めモード)


 接種申し込み開始日だったかに、滋賀県高島に住む兄が緊急入院しているとの報せが義姉からあった。病状は小康状態が続くが全面面会禁止で誰も病院内に立ちれないという。コロナ感染症対応基幹病院なので、救急車で担ぎ込まれる姿を見送って以来一切の院内立入りができないでいるとかなので、面会に走ることなく様子をみることにした。22日主治医から限定された近親者のみに面会に来るようにとの報せが有り、横浜から長男が京都からは弟の私奴が、急遽車で走った。

 1.5時間ほどの走行で病院に着いたが、院内に入り兄と面会するまでに2.5時間かかった。主治医の10分程度の経過説明を聴き、10分程度の面会だった。(1時間近く病院駐車場で待たされた上で、病院裏口でドライブ・スルー方式でPCR検査を受け、結果が判明するまで、さらに1時間半近く車内で待たされた。車内で待たされたのはその間に他の人と接触を避けるためだった)

 主治医から呼び出しのあった時点である程度の覚悟はできていたが、あの病院駐車場での2.5時間は、なんとも長い時間であった。目の前に見える病院建物の窓のどれかの部屋に兄はいるのだが、飛び込めない。病院の建物が何か邪な巨人に見えた。アレヤコレヤとこころが動くが身はジッと社内に留めざるを得ない。諸々に動く自身のこころの落ち着きの無さに唖然とした。
(結局のところは、入れ替わり院内に入った長男が終始患者に付き添い、24日午前に息を引き取るのを見届けた。幸いなことに、兄自身はコロナ陰性だったので、死亡後ただちに帰宅が許され、とどこおりなく葬儀はおわった。)

 私奴は、過去3年間に渡って、月に3回ほど禅の修行道場で坐っている。ご承知のごとく、仏教では多少の宗派による違いはあるにせよ、こころを静かに保つことが言われる。
3年間坐ったとて何程の事か、と言ってしまえばそれまでのことだが、現下のコロナ禍にからむこの五月の体験は、こころを保つことの難しさを、イヤというほどに思い知らされた。
 
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