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2020年05月15日17:01

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塞翁が馬

 緊急事態宣言が大きく影響してかこのところのTV番組は、再放送ものや以前放送したものを編集し直したものが多いようだ。我家で愛聴している「NHK俳句」も同様で、この連休中の3回の日曜朝には、昨年に順次放映されたものが使われていた。
(昨年度一年間、俳人宇多喜代子姉御と俳句好きの女優小林聡美さんによる「昭和のくらしと俳句」をテーマにした番組は、メインの視聴者の投句とその選評と共に、今は忘れ去られようとしている戦後昭和のくらしに纏わる楽しく軽妙なオシャベリが最高だった)。

 再放送されたのは、昭和10年生まれで敗戦時9歳だった喜代子姉御が語る戦後昭和のくらしの話のあれこれ。私奴ら世代にとってはチョッピリ甘酸っぱくチョッピリ塩辛くチョッピリ切なくもある想いを誘発させる。第1回目の番組では足袋繕いなど始末な暮らしぶりのアレコレ、第2回目では氷利用の冷蔵庫など電気に頼らないくらしが語られ、第3回目ではちゃぶ台・おひつなどがある風景と家族などの話。
このような番組が新コロナウイルス禍による緊急事態宣言のお陰で再放送され、自粛自粛と縮こまりがちな私奴の生活の気分を晴らしてくれた。
まさに「塞翁が馬」ってところ。

 ついで話だが、氷利用の冷蔵庫の話の中で、「冷蔵庫にいつも卵のある不安 前田典子」が紹介された。宇多さんの解説によると、「いつも冷蔵庫には卵はあるのだが、いつもあるものだけにふっとないのではと不安になる時がある」と言った気持ちを詠んだものだと(平穏な日常があるのだが、ある時その平穏な日々がふっと崩れるのではとの不安がどこかにある)。 
(今日の新コロナウイルス禍は、こんな不安が現実のものとなって襲ってきたのかも)

 この再放送ものに刺激されてか、連休の後半は「増殖するは俳句歳時記」で宇多喜代子姉御の句を引っ張り出して読んでみたり、女房殿の部屋に転がっていた本(食のこと、戦争の記憶、失われゆく日本の文化や自然を綴ったエッセイ集『俳句と歩く』宇多喜代子著)に噛り付いたりしていた。

 無論、もっぱら籠居の憂さ晴らしとばかりに庭に出て、庭木の散髪(電動ノコという新兵器を入手して片端からバサバサと)、網戸の張替え、プランタの土替えとゴーヤ・朝顔の苗植えや賄い屋稼業といったものにも励み、家庭の平和維持にもあい努めたことは言うまでもありません。

 なお、「昭和のくらしと俳句」をテーマとしたNHK俳句の再放送は、もう一回予定されている(Eテレ17日(日)6:35、再放送20日(水)15:00)。団扇にまつわることどもの話。

写真左:宇多喜代子著『俳句と歩く』
写真中央:プランダのゴーヤと朝顔(夏のグリーンカーテンの準備)
写真右:ラジオ体操仲間から頂戴した蕨と今日の昼食「わらびとツナの和風パスタ」
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