mixiユーザー(id:103028)

2020年04月03日06:39

102 view

読書メーター・2020年3月まとめ

2020年3月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2358ページ
ナイス数:32ナイス

https://bookmeter.com/users/37400/summary/monthly
■タスマニア最後の「女王」トルカニニ
19世紀前半、大英帝国の場末植民地オーストラリアの更に場末のタスマニア島を舞台に、まつろわぬ原住民族(豪州本土のアボリジニとは少し違うタスマニア人)をなんとか帰順させようとした結果、絶滅させてしまった悲劇の歴史を掘り起こした珍しい内容の本。その政策の中心となったイギリス人と、その愛人となり、有能な助手となったタスマニア人女性との関係を中心に、狩猟民のタスマニア人が離島に強制移住させられ、農業を強いられ、生きる気力を失なって絶滅する過程を綴っている。当時の欧米人が、非欧米人に対し、いかに冷酷だったかがわかる
読了日:03月04日 著者:松島 駿二郎
https://bookmeter.com/books/1477129

■自転車に乗る漱石―百年前のロンドン (朝日選書)
十九世紀から二十世紀への変り目にロンドンに留学していた夏目漱石の日記やエッセイから、「漱石の見たロンドン」を探る英文学者のエッセイ。お題は、地下鉄、古本屋街、劇場、ストリート・ミュージシャン、子供の独楽遊び、四辻掃除人、自転車など幅広い。特に、「下宿の食事は頗る不味い」から始まる、英国の食事の歴史には力が入っている。そして、漱石がいた時期に大流行した絵葉書も又興味深い。しかし、漱石の日記とチャップリンの自伝に接点があったとは驚く。動物役で初舞台を踏んだ11歳のチャップリンを、漱石が見ていたかもしれないのだ
読了日:03月08日 著者:清水 一嘉
https://bookmeter.com/books/29427

■リスボンの春―ポルトガル現代史 (朝日選書)
1920年代のサラザール独裁政権から、1970年代の民主化革命、そして1980年代の民主化定着までを概観。カリスマ性も思想もない不思議な独裁者サラザールの政権が1970年代に軍部内の急進派や左翼政党に打倒されるが、革命後は軍と政党は権力闘争を繰り返す複雑怪奇な政局が80年代まで続くという、混迷のポルトガル現代史が書かれている。人物を整理しながら読まないと途中でわけがわからなくなった。後半は革命時の当事者とアフリカの旧植民地からの引揚者へのインタビュー。政治家は一様に口が重く、引揚者は植民地への郷愁を語る。
読了日:03月14日 著者:野々山 真輝帆
https://bookmeter.com/books/618889

■ラディカル・ヒストリー―ロシア史とイスラム史のフロンティア (中公新書)
モスクワ公国に遡る、ロシアとイスラムとの深い関係をムスリムの視点で辿った刺激的な内容。従来のロシア史が意図的に無視してきたイスラムに侵略され、支配され、逆に征服していく過程での影響と共存を見ていくと、いわゆる「タタールのくびき」という史観は表面的なものである事が伺える。それはロシア革命後も続き、ボルシェビキに参加したムスリム達が指導部の推進する女性解放に面従腹背で骨抜きにしていた事例などが「イスラム共産主義」の矛盾を物語る。そして、ソ連時代に形成されたイスラム諸国は民族問題を内包し、それは今も続いている。
読了日:03月18日 著者:山内 昌之
https://bookmeter.com/books/36052

■冷戦とは何だったのか―戦後政治史とスターリン
1947年から1953年にかけての冷戦の黎明期、当時は一枚岩で強大な勢力と西側には見えていた、ソ連と東欧がどう動いていたかと冷戦後開示された資料や証言を参照しながら検証していく。ソ連の指導者スターリンの偏執狂的な猜疑心、東欧諸国の共産主義者達の思惑、その動きを読み取ったり、読み誤ったりする西側、そんな変数要因が冷戦への道を作っていく。スターリンはしばしば錯誤を犯し、最晩年は耄碌していた。冷戦は恐らく避けられなかったが、あのような形で始まったのか、又もっと早く終結する可能性もあったのか、色々と考えさせられる
読了日:03月21日 著者:ヴォイチェフ マストニー
https://bookmeter.com/books/22059

■サウジアラビア―岐路に立つイスラームの盟主 (中公新書)
アラブ産油国の雄であり、厳格な教義に基づく政教一致の社会であるサウジアラビアの歴史を、王家であるサウード家の勃興から1990年代初頭まで概観。統治の理論的主柱であるワッハーブ派の教義は国民国家形成を阻害し、潤沢な石油収入は国民を懐柔するための慢性的バラ巻き財政を生み、王家内部にも各部族との婚姻に由来する権力闘争が常にある。又、サウジ内部にはサウード家の本貫地東部内陸と古代以来の先進地である西部沿岸ヒジャーズ地方との伝統的対立もあった。やはり石油関係の解説が詳しく、欧米メジャーやOPECの関係もわかる。
読了日:03月24日 著者:小山 茂樹
https://bookmeter.com/books/978691

■ディートリッヒ〈下〉
こんな事までぶっちゃけなくてもいいのに、と思うほどぶっちゃけている、娘による母ディートリッヒの伝記。下巻は、1930年代後半から亡くなるまで。兎に角、ディートリッヒは周りの人間を支配に置かねば気が済まぬブラックホールのようなエゴの持ち主だった。映画スターとしての全盛を過ぎた、この時期からは更にそれが肥大し、夫の愛人を精神崩壊に追い込み、共演者を愛人にしようとし、その支配から逃れようとした夫も経済的に自立出来ずに困窮。著者のマリアは、母親のつけた家庭教師の女性にレイプされるという悲惨な体験をする。圧巻の内容
読了日:03月30日 著者:マリア ライヴァ
https://bookmeter.com/books/2259360


▼読書メーター
https://bookmeter.com/

4 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年04月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930