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2020年12月24日13:39

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「アーニャは、きっと来る」美しい風景の中の戦争

『戦火の馬』のマイケル・モーパーゴの作品の映画化。
フィクションだが、山越えを助けた人々がいたことは事実。

「アーニャは、きっと来る」
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=10258677&id=5054476

https://cinerack.jp/anya/

行列に並ばされ、列車でどこかに送られていくユダヤ人たち。
父親が連れていた女の子を逆方向に行く列車に押し込んで託す。

1942年、ピレネー山地で、羊飼いの少年ジョー(ノア・シュナップ)は、
祖父(ジャン・レノ)と母親と暮らす。父親は戦地に出ている。

ある日、ジョーは熊に襲われ、かろうじて逃げ、村人は熊を狩る。
ジョーは飼い犬を探して森に入り、仔熊にミルクをやる男と出会う。

その男ベンジャミン(フレデリック・シュミット)は、
森の1軒屋で豚を飼う義母(アンジェリカ・ヒューストン)と、
ユダヤ人の子どもを、山を越えてスペインに逃がしていたのだった。

ベンジャミンは「娘のアーニャを待っている」とジョーに告げるのだ。

美しい緑の牧場、戦争とは全く関係の無さそうな村。
そこにも軍靴は響き、友好を装うナチスと村人とのきしみ。

知恵遅れの少年と鷹を観に行った伍長(トーマス・クレッチマン)と、
ジョーは親しくなる。娘を失った伍長の悲しみは誰しもに共通する。

「もう、誰も失いたくない…二度と」というベンジャミンの悲哀。


手の怪我でドイツの労働収容所から帰された父親は酒を飲んで荒れる。
祖父は、村人から敬遠されている男の義母と、親しいようだ。

ジョーがこっそりと12人もいる子供達に運ぶ食料も尽きてきた。
スペインに逃がさなくてはならない。この子たちをどうやって逃がすか。

ジョーの母親(エルザ・ジルベルスタイン)がアイディアを出し、
村人たちに密かに伝え、こぞって協力をするその日。

ナチスの目を逃れて、子供達は山を越えられるのか。
アーニャはいつ来るのか…。

村人の朴訥でありながら賢明さや狡さを合わせ持つ描写。
絵のように美しい山々、草原、村の佇まい。

ベンジャミンや伍長の娘を思う心。知恵遅れの少年の懸命さ哀れさ。
最初に語られたように、ジョーは大人にならざるを得なかった。
決して甘いだけではない結末に、戦争の無残さを潜ませる。

フランスの田舎町なのに英語なのが違和感で、ちょっと残念。
ノア・シュナップの寡黙な演技がとても良かった。 ★は4.5
6 12

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