手塚治虫の愛と狂気を描いた漫画が原作で、令息の手塚眞監督のもと、
稲垣吾郎と二階堂ふみが主演と聞いて好奇心が疼いた。
当たり前だが、漫画と違って実写だから、すご〜くリアル。
漫画では、何となく可笑しく笑えるような部分は削がれ、
映像ならではの幻想的耽美的なシーンが強調される。
「ばるぼら」
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=10258677&id=5051380
https://barbara-themovie.com/
人気小説家の美倉洋介(稲垣吾郎)は、新宿駅のガード下で、
酔っ払った薄汚い少女ばるぼら(二階堂ふみ)に出会う。
立ち去ろうとしたその時に、美倉は彼女のつぶやきを聞く。
「秋の日のヴィオロンのためいきのひたぶるに身にしみてうら悲し。
…げにわれはうらぶれてここかしこさだめなくとび散らふ落葉かな」
(ポール・ヴェルレーヌの「落葉」上田敏訳)。
何故か見捨てられずに美倉は、ばるぼらを自宅に連れ帰る。
「先生金持ちだ〜」「本読んだけど、どうってことない」と言い放ち、
相変わらずお酒を飲んでは、ゴロゴロしているばるぼら。
追い出そうと思いつつ美倉は、「まともな本書きなよ」という
ばるぼらの存在に創造の意欲が湧く。飲んだくれミューズかルシファーか。
作家で独身の美倉には、自分の娘を嫁にという話も持ち込まれるが、
美倉は申し分のない美しい令嬢たちに、もう一つ食指が動かない。
マネキン人形相手の幻想や、ばるぼらの母親の占い師(渡辺えり)に
黒魔術に引き込まれたりと、美倉は混沌の闇に堕ちていく。
この作品、美しく芸術的と思うか、猥雑な世界と思うか。
猛烈に好きな人と、嫌いな人が分かれるだろうと思う。
私は正直、漫画の方が好きだが、好きな人には堪らない映像世界だろう。
二階堂ふみのばるぼらは、薄汚い酔っ払いなのに妖しく美しい。
手塚治虫の『ばるぼら』を少しでも見たい方は、「試し読み」をどうぞ。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B013JN8TX4?ref=dbs_p2d_P_R_kindle_available_T1
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